4つの撮影ポイントを意識しながら「渾身の一枚」を撮ろう
撮影実習の場所は、生徒たちがゆ~とびさんを連れていきたいと選んだ3か所 (各30分程度)。どこも八丈島の自然や歴史を感じる場所で、ゆ~とびさんも前日に自身の撮影を兼ねてロケハン済み。実習といっても基本的には各々で撮影し、渾身の一枚を狙う。時折、ゆ~とびさんがきれいな光の場所を教えたり、悩んでいる生徒に声をかけたり、生徒を被写体に撮影したりとフレンドリーに進められた。
撮影① 八丈植物公園
高校から徒歩5分、島特有の植物を楽しめる広大な公園。ガジュマルやゴムの木など約100種の熱帯・亜熱帯植物を有する。ゆ~とびさんはこれらの植物に感動していたが、生徒はいつでも行ける見慣れた場所。さあ、何を撮る?
■沖山さんの作品
撮影② 南原千畳敷
夕景が人気の撮影スポット。冷えた溶岩が黒い岩となって形成された台地が続く。火山岩の向こうには海原が広がり、その奥には八丈小島、そして振り返って陸地を見れば八丈富士の大パノラマ。しかし、生徒たちは下ばかり見ている。
撮影③ 陣屋跡の玉石垣
大里地区にある玉石を使った美しい石垣。遠島申し渡しで八丈島にやってきた流人たちが海岸から玉石を運び上げ、六法積みと呼ばれる独特の技法で造られたとされる。高校から車で10分ほどだが、初めて訪れたという生徒もいた。ここではゆ~とびさんを被写体に撮影する場面も。
■中川さんの作品
露出の仕組みを理解! 全員がMモードで撮影
撮影実習スタート。みんなで移動しながら最初こそ同じ被写体を撮っていたが、しばらくするとカメラを向ける方向はバラバラに。そして、チラッとモードダイヤルに目を向けると「M」。隣にいた生徒も「M」。……6人全員がマニュアル露出 (Mモード) で撮っていた。
写真部顧問の田崎先生に話を聞くと、特にMモードで撮影するような指導はしていないそうだが、先輩から後輩へ、代々その撮影設定が受け継がれているという。しかも、被写体やシーンを問わずMモードだと。生徒たちに露出の話を振ると、絞りとシャッター速度の関係をきちんと理解して撮影している。また写真プリントを見て、Mモードを使いこなしていると感じた。
先生との事前打ち合わせのときに、「八丈島という環境で育ったからか、構図や色彩のセンスを持っている生徒が多い」と話していた。部員全員が高校から写真を始め、1年生は入学から5か月ほど。シャッターボタンを押せばきれいに写る時代で、感性だけでもうまい写真は撮れるが、生まれ持った感性に撮影技術がプラスされればそれは最強である。これが写真強豪校たるゆえんと理解した。