『CAPA』本誌連動企画として毎月公開している、月例フォトコンテスト「学生の部」ピックアップ作品レビュー。今回は『CAPA』2024年11月号で惜しくも選外となった作品の中から、審査員の鵜川真由子先生が目を留めた “気になる作品” をピックアップしてアドバイスします。さらなるレベルアップのためのヒントが満載です!
〈講評〉鵜川真由子
「ツボ」
當間由奈 (16歳 / 沖縄県沖縄市 / 沖縄県立美来工科高等学校)
制服姿に浮き輪でプールに浮かんでいるシチュエーションが面白く、笑顔が爆発する様子からもその場の楽しい雰囲気が伝わってきます。仲間内で楽しむ分にはそれで十分なのですが、作品として考えた時には「人に見せる」ことを意識する必要があります。縦位置での撮影でいいのか、構図はこれでいいのかなど、楽しみながらも同時に「写真」という行為をしなくてはいけません。「心は熱く、頭は冷静に」を心掛けてみてください。
「本能」(3枚組)
杉山暁飛 (16歳 / 愛知県豊川市 / 豊川高等学校 / 写真部)
ふだんは可愛い猫でも、ハッとするような野生の表情を見せることがありますよね。作品の狙いは伝わってきました。ただし画像加工に表現の大部分を委ねてしまっているため、少し表面的になってしまいました。まずは何をどう撮るかを考える事が大切です。どんな光を使ってどんな表情を撮ればいいのかなど、試行錯誤してみてください。画像の加工はあくまでも仕上げのための作業です。くれぐれもやりすぎないようにしましょう。
「大地を愛でる」(5枚組)
横尾 凜 (16歳 / 和歌山県田辺市 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
「いまもどこかで。」(4枚組)
横尾 凜 (16歳 / 和歌山県田辺市 / 和歌山県立神島高校 / 写真部)
今回送ってくださった2つの作品では、とても私的な世界が描かれていて、何気ない日常へ向けた視線がとても心地いいと感じました。逆にタイトルやキャプションでは傍観者のような印象を受けたため、作品とのつながりが感じられず少し訴求力が薄れてしまったように思います。どちらの組写真も根底ではつながっているように思います。セレクトと言葉選び次第で伝わり方が変わってくるため、もう一度じっくり見直してみてほしいと思います。