『CAPA』本誌連動企画として毎月公開している、月例フォトコンテスト「学生の部」ピックアップ作品レビュー。今回は『CAPA』2025年2月号で惜しくも選外となった作品の中から、審査員の須藤絢乃先生が目を留めた “気になる作品” をピックアップしてアドバイスします。さらなるレベルアップのためのヒントが満載です!
〈講評〉須藤絢乃
取り残された2人
内山優香 (新潟県長岡市 / 16歳 / 中越高等学校 / 写真部)
光の当たっている奥側の温かい光と、影になっている手前の冷たい光、自然の曲線と、人工的な建物の直線の対比、外と中にそれぞれ顔を向ける二人、2つの要素が美しく織りなす世界がこの1枚の写真に存在しています。二人の表情も影になり、読み取れないのがまた想像力を掻き立てます。まるで文学作品のような情景だと思いました。
中毒
後藤優仁 (宮城県仙台市 / 16歳 / 宮城県泉高等学校 / 写真部)
後ろには目の覚めるような美しい緑が広がっているというのに、それには目もくれず複数の携帯に夢中になっている被写体の表情をよく見ると額に少し汗をかいているようにも見えて、抜かりない演出がなされているのに感心しました。被写体の表情の出し方もプロ顔負けといった具合です。プリントの解像度が若干粗いのは無意識なのか、それともわざとなのか、不気味なリアリティを出すのに一役買っています。
カオ
藤沢 心 (大阪府松原市 / 16歳 / 大阪府立生野高等学校)
左手前はゴミ捨て場でしょうか。防犯ライトの横にある能面が、防犯カメラより恐ろしい眼差しで人々を監視しています。中心の人物にうまく影が入り、顔が見えないことで、私たちの顔は知らないうちに何者かに取り込まれているのだなと気付かされます。夢の中で毎回出てくる知らない路地を見るような、少し不気味で興味をそそるミステリアスなフレーミングが魅力的です。