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“写真×イラスト”誰かの日常にそっと入り込むようなsaraさん初の作品集「君と紡ぐ日々 〜彼女が僕の写真に落書きする〜」

SNS総フォロワー数80万人超のカップルアーティスト・saraさんによる初の作品集「君と紡ぐ日々 〜彼女が僕の写真に落書きする〜」(玄光社刊)が2025年3月24日に発刊されました。saraは、彼氏であるAraiさんが撮った写真に、彼女のsakoさんが落書きを加えた作品を発表し、SNSを中心に若い世代から支持を集めるアーティストです。2025年4月5日にTSUTAYA BOOKSTORE下北沢にて行われたサイン会にお邪魔して、お二人から初の作品集についてや、普段の作品作りへの想いなどをお聞きしました。

作品集「君と紡ぐ日々 〜彼女が僕の写真に落書きする〜」は、これまで発表してきた作品に、新規描き下ろしを加え、約50点を収録。さらに、出版にあたり、Araiさんがひとつひとつの作品にショートストーリーを綴り、人の心がゆれ動くさまをみずみずしい感性で表現しています。

作品集より「口実」

――作品集「君と紡ぐ日々 〜彼女が僕の写真に落書きする〜」に込めた想いをお聞かせください。
Arai この作品集では、各作品に合わせてショートストーリーを作成しています。読んだ方が少し元気になるような、前向きになって1歩を踏み出せるような、そういった作品になっています。普段持ち歩くカバンにちょっと忍ばせて、疲れたなとか、これからもうちょっと頑張りたいなっていうときに読んでもらって、元気を出してもらえたらなって思っています。
sako 普段はSNSをメインで活動しているので、作品を見ていただくのはスマホやタブレット、パソコンだと思うのですが、今回作品集になったっていうことで、また違った楽しみ方をしていただけるんじゃないかと思っています。あとは、ストーリーが合わさることで、好きな作品をもっと好きになってくれたりとか、こういう想いが込められてるのかな? みたいな感じで作品に対する想像がちょっと膨らむとか、より作品を楽しんでもらえたらなと思っています。
――描き下ろしで加えたかったのはどんな作品なんでしょう?
sako 今までSNSだとショート動画含め縦がメインなので、縦の作品が多かったんですね。でも書籍になって、横でも見てもらいやすいので横の作品をたくさん作りました。
Arai 写真を撮るときは、被写体や構図によって縦がいい、横がいいというのはあります。なので描き下ろしで横の作品を作るに当たって、横の写真だとこういういいのがあるから、じゃあこれで作ってみようっていう感じでした。
sako 今まで縦の写真を優先して作品にしてきたけど、埋もれてしまっていた横のいい写真を今回の作品集で作品として世に出すことができました。
――サイン会にはたくさんの方が来てくださっていましたね。今日のサイン会の感想をいただけますか?
Arai ホントに今日、誰か来てくれるかなってずっと不安だったんですけど、たくさんの方に来ていただいてすごくうれしかったです。作品集の感想を聞けたり、お話もできたので、作品集を出すことができて良かったなと思いました。
sako 今まで活動している中だと、投稿や動画に対するコメントというカタチでしかコミュニケーションができていなかったんですね。それが今日は直接お会いすることができて、なんで知ってもらったんですかとか、どういう作品が好きで、なんでその作品好きなんですかみたいな話ができて、お一人お一人に向き合うことができてうれしかったです。例えば猫ちゃんの作品が好きだっていう方がいたとして、写真が好きっていうのもあるし、猫ちゃん飼ってるからというのもあるし、実家の猫を思い出した…とかなんかいろんな、その人の好きの背景が聞けて、より近くに感じることができました。
Arai ショートストーリーについてもたくさん感想をいただけました。じつはショートストーリーを書くときに、読んでくれた方がそれぞれの経験からさらにストーリーを広げられるように心がけて書いたんです。実際に感想をお聞きしたら、自分が意図したのとは全く違う方向で、「私はこういう作品だと思ってすごく好きでした」っていう方がいらして。それって、その人が想像を膨らませて感じてくれたということだと思うので、狙い通りというか、読んでくれた方に届くものができたのかなと思ってます。

サイン会の様子

――saraさんの作品って、そもそもどうやって生まれたのですか?
Arai じつは諸説あるんですよ(笑)。Araiの意見としては、コロナ禍のときにsakoが暇そうにしてたので、僕から「何か描いてみる? 」って言ってsakoに写真を渡したんです。で、描いてくれたのがすごく良くて、それをSNSにアップしたらバズったのが最初だと思っています。でもsakoの意見もあって。
sako 私の記憶では、Araiさんは元々写真が趣味だったので、SNSに写真を上げたりしていて。で、その写真を見せてもらったときに、私がイラストを描きたいって言い出して、描いたものをAraiさんが気に入ってくれて、SNSにアップしたっていう記憶なんです。
――ちょっと違いますね(笑)。違うけど確かなのは、お互い両想いだったっていうことですよね。作品はどういう発想から生まれたのでしょう?
Arai 写真に文字を入れて作品にしているのは、別に自分たちが初めてではないんです。いろんな方が写真に色々工夫を重ねている中で、SNSを見ていると、たまに「この写真これに見えない?」って言って落書きしたのが、バズってるのを見て。じゃあ自分たちなりに写真に絵を描いて作品にしたら伸びるんじゃないかっていうのが、ひとつの仮説としてありました。ただ仮説であって、1番最初の作品が「線香花火」なんですけど、あれができると思って僕はsakoに写真を渡したわけではないんですよ。とりあえず描いてみる?って何枚か写真を渡して、そしたら1枚あの作品が返ってきて。「うわ、これめちゃくちゃいい!」って思ってアップしたら、予想以上の反響がありました。当時ツイッターで30万いいね近くいただきました。
――作品に対するお2人の共通の想いってありますか。
Arai 作品に寿命はないと思っています。今だけバズるのではなく、100年後、200年後、1000年後でも、人々に見てもらって心に残る作品を作っていきたいなと思っています。
sako 私たちSNSをメインに活動しているんですが、SNSで消費される作品ではなくて、スクロールで終わってしまう作品ではなくて、何度でも見返したりとか。例えば「線香花火」の作品をSNSで見た後に、実際の自然の夕日を見たときに、作品を思い出してもらえるような、誰かの日常に入り込めるような作品を作りたいなと思っています。

作品集より「満月の空はボクの遊び場」

――悩まれた点とかあるのでしょうか?
Arai 今は白線でイラストを描いていますが、sakoは最初イラスト描くときに色を着けたかったんです。白だけだと描く楽しみも薄れますし。でも僕は世界観や統一感を出すために、白線だけの方がいいじゃないかって思って話し合いました。
sako 作品としてではないんですけど、カラーのイラストを着けたものも2,3点はSNSに投稿していて。でも実際にやってみて、写真に溶け込むっていう意味でも、日常の実際の風景を見ても思い出す、思い出される作品っていうのは、やっぱりこういう今にも消えそうな儚い感じの白い線なのかなって思って、そこからは白線で描くようになりました。
Arai 同じ方向を向くことができました。
――今後はどんな作品を作っていきたいですか?
Arai たくさんありすぎて(笑)。今回の作品集のようなものは作っていきたいですね。あと、今年は星空をメインに撮っていきたいなと思っているので。星空好きも満足させられるような写真を撮って、作品を作っていきたいなと思っています。
sako アニメーションもいいなって思っています。今は静止画なんですけど、写真の中を猫ちゃんが歩いているとか、クジラが泳いでいるものもひとつの作品として公開していけたらなと思っています。

作品集より「白鯨」

作品集「君と紡ぐ日々 〜彼女が僕の写真に落書きする〜」

sara著 A5判 128ページ、定価1,980円(税込)玄光社刊

 

sara

写真に落書きする2人組アーティスト。
彼氏であるAraiが撮った写真に、彼女のsakoが落書きしている。
2021年10月にSNSで落書き作品「if」を発表し、大きな反響を呼ぶ。
国内外の若年層から多くの支持を得ている。
SNS総フォロワー数は80万人超(2025年4月現在)。
X:@sara2626_if
Instagram:sara2626_if
HP:https://sara2626.com/