
CAPAの鉄道写真コンテスト「TEKKEN!」2025年8月の入選作品発表! 今回のテーマは「駅の情景」。審査員・村上悠太先生の講評とともに紹介します。
今回のテーマ「駅の情景」
楽しい旅のスタートも、いつもの通勤通学も、鉄道と私たちの大きな接点となる駅にはドラマがあふれています。今回はいつも以上に皆さんの思いを感じる写真を多く寄せていただきました。やはり駅というのは皆さんにとっても、とても大きな存在なのでしょう。
〈審査員〉村上悠太
Railマイスター「一瞬の賑わい」大森 裕 (東京都杉並区)

作者コメント
田んぼの中の静かな駅ですが、夕刻には帰宅を急ぐ学生さんで賑わいます。
村上悠太先生の講評
暗闇のシャドーと、学生さんが一堂に列車の方に向いているその光景が印象的です。列車の明かりが暗いホームを照らすだけでなく、ぬくもりをも届けてくれるドラマチックな写真。ほのかなライトアップも素敵です。

入選「乗務員交代」柿崎弘志 (山形県酒田市)

作者コメント
超高級列車四季島は、酒田駅で乗務員交代が行なわれます。地元を走ってくれてますが、乗れていません……。
村上悠太先生の講評
四季島独特のヘッドライトを生かしてインパクトを作っています。最上位のクルーズトレインのハンドルを握る乗務員さんたちの、緊張感を感じるシルエットに強く引かれました。
入選「増結シーン」森田 宏 (大阪府東大阪市)

作者コメント
大阪方面に向かう特急の名張駅での増結シーン。駅員さんの真剣な眼差しにシャッターを押しました。
村上悠太先生の講評
乗務員さんのきりりと引き締まった後ろ姿に、作業に臨む使命のようなものを感じます。往年の近鉄特急カラーは重厚感があって、そうした要素もこの写真に対しプラスに作用しています。
入選「夢の跡」安保邦夫 (秋田県大館市)

作者コメント
2009年に廃止となった小坂製錬小坂線の茂内駅です。ガラス越しの撮影になるのでPLフィルターで映り込みを調整しました。
村上悠太先生の講評
6月撮影とは思えない、清涼感にあふれた写真です。PLフィルターを全効かせにせず、適度な効き具合にした技術力が光ります。駅だと明確にわかるフレーミングと余韻が心地よいです。
入選「郷愁」西川誠一 (名古屋市天白区)

作者コメント
普段は無人駅ですが、この日は、駅員さんの列車を見守る姿が見られました。
村上悠太先生の講評
ハイコントラストに仕上げることで、疾走感をより強く見る人に伝えています。これ以上のスローシャッターだと駅員さんがわかりづらくなるので、絶妙なブレ感です。
入選「あれ、来ない?」中本真也 (広島市中区)

作者コメント
御幸橋停留所場の手前で折り返しのため尾灯を灯した列車。偶然にも列車待ちのお客さんの「あれ?」みたいな体勢を入れて撮ることができ、微笑ましい情景になりました。
村上悠太先生の講評
初見ではこの写真の違和感に気づけなかったのですが、中本さんのコメントを拝見して「あれ、ホントだ!」と思わず言葉が漏れました。珍しい大雪の中のユーモアあふれる光景です。
入選「ほのぼの」清水一吉 (神戸市北区)

作者コメント
10年ほど前の写真ですが、このほのぼの感は今も変わってないと思います。
村上悠太先生の講評
いろいろと説明する必要のない、シンプルなロマンが詰まった写真です。最近はインパクトを重視しがちな世の中ですが、いつまでもこうしたやさしい情景を忘れたくないですね。
入選「春の旅路」おどみ岐諷 (徳島県藍住町)

作者コメント
桜に囲まれた大歩危駅に到着した特急列車。観光客が降り立ち、車掌さんに地域の見どころを聞いていました。
村上悠太先生の講評
ナチュラルな情景をそのままに撮影しているため、現場の雰囲気がゆっくりと伝わってくる写真です。きっと楽しみにしていた旅行なのでしょうか。そんなことをも想像させます。
入選「朝靄の夕張線」長井慎二 (札幌市東区)

作者コメント
夕張線の廃線を前に訪ねた晩秋の清水沢駅。濃い朝靄の中、キハ40が現れた幻想的な瞬間を撮りました。
村上悠太先生の講評
秋の濃霧特有の冷気と湿度、キハ40が駆けた日々などを思わず連想しました。画面内で車両が大きいので、今の数カット前で、構図を右に振った写真も見てみたかったかなと思いました。
入選「麦秋」戸田智浩 (広島県福山市)

作者コメント
男はつらいよのロケ地のひとつ美作滝尾駅は、いまでも寅さんがベンチに座っているよう。初夏、東側に広がる畑では麦秋の風景が見られます。
村上悠太先生の講評
どの角度から撮影しても素晴らしい美作滝尾。アングルを下げただけでなく、一目で麦であることがわかるように、前ボケ効果に依存せず、しっかりと絞り込んだ点がポイントです。
村上悠太の “鉄” 視線「夕刻、正月の大阪駅にて」
年始の帰省で帰った関西。正月の大阪駅は、帰省客や年始に出かける人たちで混雑していました。久しぶりの再会、貴重な正月休み。私たちの楽しい時も、駅はいつ何時も表情を変えず、列車と乗客たちを出迎えます。

「TEKKEN!」募集終了のお知らせ
CAPAの鉄道写真コンテスト「TEKKEN!」は2025年12月20日の発表をもちまして終了とさせていただきます。作品募集は終了いたしました。
■11月のテーマ「望遠レンズ (100mm〜)」
締切 : 2025年9月30日 (火) ※募集は終了しました
発表 : 2025年11月20日 (木)
■12月のテーマ「秋・冬の鉄道情景」
締切 : 2025年10月31日 (金) ※募集は終了しました
発表 : 2025年12月20日 (土)
■審査員
村上悠太先生 (日本鉄道写真作家協会会員)
■毎月のRailマイスター賞品
サンディスク Extreme PULS 64GB