CAPAのモータースポーツフォトコンテスト「流し撮りGP 2025」第5戦の結果を発表します。
鈴鹿8耐を撮影した作品がそろい踏み
「鈴鹿8時間耐久ロードレース (ハチタイ)」作品がたくさん送られてきました。半世紀近く続く夏の風物詩、レース界の歳時記のひとつである伝統のイベントです。皆さんの作品からは、そのドラマやエモーショナルなシーンを映像化しようとする思いが伝わってきます。背景にある物語を共有できる映像。認知度の高いクラシックイベントは、そんな作品を作るチャンスに溢れています。
〈流し撮りGP審査委員長〉小林 稔
GP1位「アタックラップ」園田 滋 (ルーキー応募)

作者コメント
今回の富士F1テスト (TPC) でのマシンは2年前のハースVF-23。テスト走行では、本当の限界ギリギリアタックまでは行えない。それでも、燃料を軽くして新品タイヤを付けてのアタックラップは坪井選手の気合がビンビン伝わってくる。縁石外側ギリギリまでは攻めないが、スキッドプレートからの火花が鈍く光る。
小林 稔 審査委員長の講評
F1マシンの迫力と坪井選手のアタックにかける意気込みが重なりあった「力強い作品」に仕上がっています。低い撮影ポジション、超望遠レンズによる圧縮効果が成功。大胆にマシン左側をフレームアウトさせた構図から生み出された前後ボケは、マシン本体を浮き上がらせるとともに、路面と縁石の表情をより引き出すことにも成功しています。画面全体として高い緊張感と迫力に満ちた「静かだけど熱い」作品です。
GP2位「リベンジを誓う夏」中谷 洋

作者コメント
水野選手にとっては怪我からの復帰戦となった鈴鹿8耐。レース結果は完璧ではなかったけど「秘めたる闘志」を感じました。観覧車がガラスに映る位置を選んで鈴鹿サーキット感を出しました。白いライダースーツが暗くなった景色に映えてくれました。この後、全ライダーがゴールし、レーシングコースが観客に開放され「感動の表彰セレモニー」を迎えます。
小林 稔 審査委員長の講評
手を掲げるライダーとマシン、2つのチェッカー旗、夜のピットビルと窓に写り込んだ観覧車。「8耐フィニッシュのすべて」を盛り込んだ画面構成です。要素はとても多いのだけど、シャープにクッキリと写し止められたマシンの姿に主題としての強い存在感があり、画面全体の「ドラマを語るバランス」がとても良い作品に仕上がっています。
GP3位「密戦」渋谷裕貴

作者コメント
スタートラップの密集具合を超望遠500mmレンズの圧縮効果で強調しました。11号車と60号車のサイドバイサイドをセンターにし、「我れ先に」に行こうとするレースの熱さを表現しました。
小林 稔 審査委員長の講評
たまらない密集感! 超望遠の圧縮効果を生かしきったレンズ選びと撮影ポジション選択の勝利です。いつものSUPER GTとは違う「スプリント戦の1周目」を見事にアピールしています。
GP4位「フルスロットル」山田和宏

作者コメント
夕陽の中、バックストレート走る抜けるタイミングで撮影。遠い距離感の穴埋めでポストのオフィシャルも加え「レース終盤のストーリー」を感じさせる1枚に仕上げました。
小林 稔 審査委員長の講評
「淡々と・正確に・ひた走る」。耐久レースの走りに求められるそんなイメージを上手に描いています。西ストレートの路面上に長く伸びてきた陰影から、炎天下の8耐に「たそがれ感が漂い始める午後のムード」が伝わってきます。
GP5位「光の祝福」川島康平

作者コメント
長く厳しいサバイバルレースを終え、多数の光に包まれるホームストレート。8位入賞を果たしたカワサキは、歓声に応えるようにスタンディングでチェッカーを駆け抜けた。
小林 稔 審査委員長の講評
花火大会のような夜のフィニッシュシーン! 「夏祭りとしての8耐」の1シーンを見事に切り取っています。ライダーのポーズよってKawasakiグリーンが際立ち、見事なアクセントとなって強くアピールしています。
GP6位「残陽」小林祐太

作者コメント
デグナーを立ち上がる99号車を撮影。ちょうど陽が沈みかけでしたが、ライダーを照らすように陽が入る時間帯でもあったので「耐久レースらしさ」を感じさせる1枚に仕上げました。
小林 稔 審査委員長の講評
低くなってきた夕刻の光を活用して「8耐らしさ」を上手く描いています。サイドライトでメリハリの効いたライダーの姿と縁石のまだらな明暗差で「終盤戦に入る」時刻感を演出しています。
GP7位「目指すもの」細野 勉

作者コメント
会心のレースで勝利した歓喜のパレードラップ、太田選手が掲げた指先に、目指すものを見据えた決意と凄みを感じました。
小林 稔 審査委員長の講評
勝利の喜び! が素直に表現されています。目線アングルを狙ったシャッタータイミングの良さとともに、太田選手のサイズ感とマシンのフレーミング (切れ方) がマッチして「ドライバーの気持が写る画面」に仕上がったように感じます。
GP8位「追跡の眼光」久家 怜 (ルーキー応募)

作者コメント
追走する23号車のヘッドライトの光芒をアクセントにして、画面下側にフェンスを入れてフレーミングを整えました。
小林 稔 審査委員長の講評
キラリとクロス光を放つ後方マシンのヘッドライトが「追走バトル」を表現するキーポイントになっています。追われる前方車 (脇役) のブレ流れ具合が適度で、主役 (後方車) のサイズは小さいのですがその存在感をしっかりと感じます。写真は乱暴ですが魅力ある作品です。
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