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誕生から20周年! キヤノン「デジタル EOS 5」シリーズ歴代7モデルの進化を実写作例で辿る

2005年にフルサイズ一眼レフカメラ「キヤノン EOS 5D」が登場してから今年がちょうど20周年。最新のミラーレス「EOS R5 Mark II」まで、フルサイズの高画質・高性能一眼として進化を続け、キヤノンの看板カメラを担ってきたのが「5」シリーズ。ここでは作例写真家として撮影を行なう伊達淳一さんが、歴代の全機種で当時撮影した作例を一挙掲載する。「5」の進化をその目で確認してほしい。

※本記事では「EOS 5Ds」と「EOS 5DsR」は1機種のバリエーションと捉えて記載しています。

EOS 5D

2005年発売

EOS 5D

EFレンズの超広角がそのままの画角で使えたのが新鮮だった

2005年当時、フルサイズのデジタル一眼レフは非常に高価で、プロでもなかなか手が出せなかったが、「EOS 5D」の発売で一気にフルサイズが身近な存在に。35mmフィルム一眼レフと同じ画角、同じ被写界深度で撮影できるという、今では当たり前のことがようやく楽しめるようになったのは衝撃的。特に、APS-C専用レンズには高性能な超広角がなかったので、Lレンズの超広角ズームが使えるのは大きなメリットだった。また、フルサイズならではの大きなボケも魅力であった。

EOS 5D 作例
キヤノン EOS 5D EF300mm F4L IS USM 絞り優先オート F4.5 1/1600秒 ISO160 WB : 太陽光

EOS 5D Mark II

2008年発売

EOS 5D Mark II

デジタル写真の圧倒的な画質を知らしめフィルム一眼からの乗り替えを促した

「EOS 5D Mark II」の画素数は約2110万画素。現在のデジタルカメラから見れば高画素というわけではないが、当時の機種と比べると約1.5~2倍もの画素数で、ピクセル等倍鑑賞しても揺るぎない高精細描写に圧倒されたことを鮮明に覚えている。特に、紅葉など赤の単色で構成された微細な被写体を広角で撮影しても、ちゃんと葉が分離して解像したのを見て、これは35mmフィルムを完全に超えたな、と確信した。

EOS 5D Mark II 作例
キヤノンEOS 5D Mark II EF16-35mm F2.8L II USM 絞り優先オート F11 1/100秒 +0.3補正 ISO100 WB : 太陽光 16mm域

EOS 5D Mark III

2012年発売

EOS 5D Mark III

画質に加えて上位機並みのAFシステムで動きモノが撮りやすく

「EOS 5D Mark II」までは9点+アシスト6点AFだったのに対し、「EOS 5D Mark III」はフラッグシップの「EOS-1D X」と同じ61点レティクルAFに超進化。連写スピードも6コマ/秒と速くなり、風景など静止した被写体だけでなく、望遠で動体を狙えるだけのAF&連写性能も備えたオールラウンダーに。「EOS 5D Mark III」で撮影する被写体も、超望遠を使った動体の比率が一気に高まった。

EOS 5D Mark III 作例
キヤノン EOS 5D Mark III タムロン SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD シャッター優先オート 1/1600秒 F6.3 −1.0補正 ISO320 WB : オート 600mm域

EOS 5Ds / EOS 5DsR

2015年発売

EOS 5DsR

20~30Mピクセル時代に登場した50M超高画素の驚き

EOS最多の約5060万画素センサーを搭載。「EOS 5DsR」は、「EOS 5Ds」からローパスフィルター効果をキャンセルし、モアレのリスクよりも高解像を優先したモデルで、レンズの解像性能を最大限に引き出せるのが特徴。使用したのは「EF50mm F1.8 STM」で、いわゆる撒き餌レンズだが、収差が少なくなり、小絞りボケの影響も受けにくいF8で撮影することで、ポスターサイズに大伸ばししても揺るぎない解像が得られている。

EOS 5DsR 作例
キヤノン EOS 5DsR EF50mm F1.8 STM 絞り優先オート F8.0 1/500秒 −0.3補正 ISO100 WB : 太陽光 50mm域

EOS 5D Mark IV

2016年発売

EOS 5D Mark IV

動画機能やライブビューAFが進化。ミラーレス時代を予感させる1台

画素数が約3040万画素に、連写スピードは7コマ/秒に強化。「EOS 5D Mark III」と比較して、一眼レフとしての進化は緩やかだが、EOS 5Dシリーズ初のデュアルピクセルCMOSセンサーが採用され、ライブビューAFが高速化。Wi-Fiを使ってスマホアプリでライブビューを確認しながらのリモート撮影も快適で、このカットも4mのポールに設置したカメラをリモートライブビューで俯瞰撮影したものだ。

EOS 5D Mark IV 作例
キヤノン EOS 5D Mark IV EF24-70mm F2.8L II USM 絞り優先オート F11 1/125秒 −0.3補正 ISO250 WB : 太陽光 25mm域

EOS R5

2020年発売

EOS R5

EOS Rシリーズにハイミドル機の王道を呼び覚ました人気モデル

画素数は約4500万画素と、「EOS 5Ds / 5DsR」の5060万画素よりも少ないが、ショートバックフォーカス設計のRFレンズと撮影時に適用されるデジタルレンズオプティマイザの効果で、同等以上の解像感を達成。また、一眼レフのEOS 5Dシリーズは液晶モニターが固定式だったが、「EOS R5」はバリアングルモニター採用で、ファインダー撮影では難しいポジションからでも自由なアングルで撮影できるのが強みだ。

EOS R5 作例
キヤノン EOS R5  RF24mm F1.8 MACRO IS STM 絞り優先オート F5.6 1/400秒 +0.3補正 ISO200 WB : 太陽光 24mm域

EOS R5 Mark II

2024年発売

EOS R5 Mark II

EOS R1のきょうだいモデルとも呼べそうな実力MAXの最新「5」

画素数は4500万画素で、「EOS R5」と比較して画質面での進化はないが、積層センサー採用で電子シャッター撮影時の動体歪みが少なくなり、DIGIC Accelerator搭載で被写体認識力+トラッキング性能が大幅に進化。プリ連写機能も備え、高画素と高速連写を両立した準フラッグシップモデルともいえる存在だ。テレコンが使える「RF70-200mm F2.8 L IS USM Z」や800mmをカバーする「RF200-800mm F6.3-9 IS USM」など超望遠との相性も◎。

EOS R5 Mark II 作例
キヤノン EOS R5 Mark II RF70-200mm F2.8 L IS USM Z + EXTENDER RF1.4x シャッター優先オート 1/6400秒 F4.5 −0.3補正 ISO3200 WB : 太陽光 280mm域

 

〈写真・解説〉伊達淳一

 

2025年9月20日発売の『CAPA』11月号では、「キヤノン デジタル EOS 5 フルサイズの進化がわかる “5” の魅力再発見」と題し「デジタル EOS 5」シリーズの歴史を振り返る企画記事を掲載。詳しい解説はそちらをお読みください。