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望遠レンズは心強い相棒! 鉄道写真コンテスト「TEKKEN!」11月の入選作品発表

TEKKEN!入選作品2025年11月

CAPAの鉄道写真コンテスト「TEKKEN!」2025年11月の入選作品発表! 今回のテーマは「望遠 (100mm〜)」。審査員・村上悠太先生の講評とともに紹介します。

今回のテーマ「望遠 (100mm〜)」

被写体に物理的に接近しづらい鉄道写真にとって、望遠レンズはある意味「標準レンズ」とも言える心強い相棒。単に離れた被写体をアップに撮影できるだけでなく、圧縮効果や大きなボケなど望遠レンズの特徴を最大限に生かした力作を寄せていただきました!

〈審査員〉村上悠太

Railマイスター「海街の彩華」三浦星夢 (神奈川県藤沢市)

Railマイスター「海街の彩華」三浦星夢
キヤノン EOS R7 EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM+EXTENDER EF1.4×III 絞りF8 1/1250秒 ISO800 WB : オート C-PLフィルター使用 (2022年12月11日 江ノ島電鉄 江ノ島~腰越間)

作者コメント
588mm相当で腰越海岸を走る鮮やかなウインドサーフィンと江ノ電のコラボを狙いました。

村上悠太先生の講評
これまでもたくさん江ノ電の写真を送っていただいた三浦さんのアングルには、そのどれもに湘南の日常風景が色濃く写っていました。今回の写真はウインドサーフィンの姿と家並み、船などが望遠レンズで圧縮され一体となった世界観に引かれました。

TEKKEN!賞品
Railマイスターには、スピードと信頼性を併せ持つサンディスクのSD UHS-Iメモリーカードをお贈りします。

入選「林間鉄道」柿崎弘志 (山形県酒田市)

入選「林間鉄道」柿崎弘志
富士フイルム X-T3 XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR 絞り優先オート F8 ISO800 (2021年6月2日 JR陸羽西線 古口~高屋間)

作者コメント
ここから狩川までは、林間鉄道区間。1日も早い運休解消を。

村上悠太先生の講評
全体的にグリーンの色調でまとめ、爽快感ある写真になりました。すっと伸びた直線の線路も軽やかな印象を見る人に与えています。列車をセンターに配置しつつも線路を左側に逃がしたアングルによって、構図に変化が出ました。

入選「業務を終えて…」佐浦元泰 (福島県鏡石町)

入選「業務を終えて…」佐浦元泰
ニコン D5300 タムロン 18-200mm F/3.5-6.3 Di II VC 絞りF20 1/60秒 ISO400 (2023年3月5日 JR東北本線 郡山駅)

作者コメント
終着駅について、乗務員たちが駅舎へ向かう姿を撮影しました。

村上悠太先生の講評
モノクロームと望遠レンズの組み合わせで余分な情報がない写真です。そのシンプルな情景に、乗務員さんが日ごろ抱えている責務を感じました。車体のシャドー部をもう少し持ち上げて階調を出してもよかったかもしれませんね。

入選「去りゆくテールライト」栗原正隆 (大阪市天王寺区)

入選「去りゆくテールライト」栗原正隆
ソニー α99 70-300mm F4.5-5.6 G SSM 絞りF5.6 1/20秒 +1補正 ISO3200 WB : 電球 (2023年12月9日 阪神阪神なんば線 桜川~大阪難波間)

作者コメント
赤いテールライトの光をトンネル内に反射させて走り去って行きました。

村上悠太先生の講評
カメラの進化と望遠レンズのコラボレーションで、今ではトンネル内の光景をも写し止めることができる時代になりました。ただ撮るだけでもインパクトのある光景ですが、うねりを感じるトンネルの情景が楽しい1枚です。

入選「雨中の補修点検」池田淳二 (埼玉県久喜市)

入選「雨中の補修点検」池田淳二
ニコン Z6 NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR 絞りF6.3 1/320秒 +1補正 ISO800 (2024年6月18日 西武池袋線 西所沢駅)

作者コメント
激しい雨の中、歩行による軌道点検している姿をありがたく思いました。

村上悠太先生の講評
明るめの露出のためさわやかな印象がある写真ですが、その内容は強雨の中の大変な作業。この差異に興味が湧きました。さらにもう50mmほど望遠にシフトするか、トリミングをして左のカーブミラーをカットしたいところです。

入選「力行」佐藤隆之 (横浜市旭区)

入選「力行」佐藤隆之
ニコン D850 AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR 絞りF6.3 1/800秒 +0.3補正 ISO400 WB : オート (2020年1月19日 真岡鐵道 茂木~天矢場間)

作者コメント
冬の峠道をゆっくり力強く登ってくるC1266号機。超望遠で迫力重視の切り取り方をしました。

村上悠太先生の講評
煙のバランスと先頭部の描写、そして編成の最後尾まできちんと入れ込む端正なフレーミングにシビれました。モノクロームのトーンも美しい仕上がりです。SLの音や煙の香りを想像させる、力強い写真です。

入選「力強く」藪下茂樹 (三重県鈴鹿市)

入選「力強く」藪下茂樹
ニコン D850 AI AF-S Nikkor ED 300mm F2.8D II (IF) 絞りF13 1/8000秒 ISO320 WB : 太陽光 (2022年12月23日 近鉄名古屋線 伊勢若松~箕田間)

作者コメント
生まれたばかりの太陽を横目に駆け抜けます。

村上悠太先生の講評
ちょっとでもカメラがずれたらこの世界が壊れてしまうシビアなフレーミング。望遠レンズでギリギリまで攻めたアングルに藪下さんの覚悟のようなものを感じます。パンタグラフをしっかり入れ込んでいる点も見逃せません。

入選「元日の五能線」安保邦夫 (秋田県大館市)

入選「元日の五能線」安保邦夫
ソニー α7R IV タムロン 50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD 絞りF9 1/640秒 ISO3200 WB : オート (2023年1月1日 JR五能線 広戸~深浦間)

作者コメント
近くの神社にお参りしてからの撮影でした。冬の季節は運行してくれているだけで感謝したくなります。

村上悠太先生の講評
夏のおだやかな光景とはがらりと印象の異なる冬の荒れた日本海。元旦からこの写真を撮影された、安保さんの行動力に脱帽です。これがこの沿線の日常であるという、テーマがしっかりと伝わる写真です。

入選「ススキの道」饗庭正志 (神奈川県南足柄市)

入選「ススキの道」饗庭正志
富士フイルム X-T3 XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR 絞りF5.2 1/4000秒 ISO800 WB : オート (2020年11月14日 JR豊肥本線 赤水~市ノ川間)

作者コメント
復旧開通を待ちわびた豊肥本線。線路脇のススキが美しく輝く中を、正面からストレートに撮影できる踏切から狙いました。

村上悠太先生の講評
夕陽に染まる鉄路とススキ。その中をゆっくりと走ってくるキハ40。この写真を一目見ただけでさまざまな単語が思い浮かぶ、そんなストーリーにあふれた1枚です。背景の踏切や電柱、電線、そのすべてに物語を感じました。

入選「菜種梅雨のいすみ路」樫山範征 (埼玉県久喜市)

入選「菜種梅雨のいすみ路」樫山範征
キヤノン AE-1プログラム タムロン SP 300mm F/2.8 LD [IF] 絞りF3.5 1/125秒 フジクローム PROVIA 100F (2024年3月1日 いすみ鉄道 総元駅)

作者コメント
桜の咲く前の菜種梅雨で冷たく濡れた総元駅をあとに、雨に霞む森の中へ消えゆく列車を撮影しました。

村上悠太先生の講評
単純にまっすぐな線路ではなく、小さなカーブを挟み込んだことで写真の世界観に奥行きを出すことができました。鮮やかな春ではない、日常の春。派手さがないこの写真に、列車が走り続ける日常の尊さをふと感じました。

村上悠太の “鉄” 視線「ゆっくりゆっくり緑をぬけて」

全線にわたってゆっくり走る銚子電鉄。この区間は駅に向かって下り坂で、より慎重に、よりゆっくりと列車がやってきます。緑のトンネルの中では、残暑の厳しい太陽光線もどこへやら。圧縮効果とボケを最大限に使って、ベテラン車両の風格とともに、銚子電鉄が持つのんびりムードを描いてみました。

村上悠太「ゆっくりゆっくり緑をぬけて」
キヤノン EOS R1 RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM 絞りF6.3 1/2000秒 ISO3200 WB : 太陽光  (2025年9月8日 銚子電鉄 観音〜本銚子間)

「TEKKEN!」募集終了のお知らせ

CAPAの鉄道写真コンテスト「TEKKEN!」は2025年12月20日の発表をもちまして終了とさせていただきます。作品募集は終了いたしました。

■12月のテーマ「秋・冬の鉄道情景」
締切 : 2025年10月31日 (金) ※募集は終了しました
発表 : 2025年12月20日 (土)

■審査員
村上悠太先生 (日本鉄道写真作家協会会員)

■毎月のRailマイスター賞品
サンディスク Extreme PULS 64GB

→ TEKKEN!毎月の入選作品