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「誰かの新たな行動のきっかけを作れるような写真を撮りたい」大島璃音の写真日記 vol.1

元・気象キャスターの大島璃音 (おおしま りのん) さんが「CAPA CAMERA WEB」初登場にして連載をスタート! カメラに興味を持ちはじめ、ソニーの「VLOGCAM ZV-E10」を購入したという彼女の新たなカメラライフに迫ります。第1回は写真を撮る魅力や面白さ、そしてカメラ初心者ならではの素朴な疑問についてお聞きしました。

大島璃音の写真日記 vol.1

「VLOGCAM ZV-E10」は軽くて便利、何より発色の良さに驚きました

大島璃音の写真日記 vol.1
ソニー VLOGCAM ZV-E10 E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS プログラムオート 1/1000秒 F4.0 ISO100 WB : オート

── 大島さんは昨年まで気象情報番組「ウェザーニュースLiVE」でキャスターを務め、今はフリーで活躍中です。現在はおもにどのようなお仕事をされているのでしょう?

大島 今年は大好きなF1や鈴鹿サーキットでのイベントに携わらせていただいたりと、趣味がお仕事につながることが多かったです。少し前にもお仕事でF1のシンガポールGPに行かせていただきましたし、好きな場所で好きな人と好きな時間を過ごせる幸せを、日々噛み締めています (笑)。

── そんな大島さんが最近カメラに興味を持ちはじめているとお聞きし、「CAPA CAMERA WEB」でも連載をする運びとなりました。

大島 ありがとうございます! 趣味と呼ぶにはまだまだおこがましいのですが、今年ソニーの「VLOGCAM ZV-E10」を購入しまして。ちょっとずつですが、いろんな撮影に挑戦しているんです。ですので、こうした連載の機会をいただけて本当に嬉しいです。

── なぜこの機種を選ばれたのでしょう?

大島 カメラを買うにあたって一番重要視したのが、軽くて持ち運びしやすいものにしたいということでした。リコーの「GR」とも悩んだのですが、「ZV-E10」はレンズ交換ができるのと、12〜13年ほど前にCyber-shotを買ったことがあり、多少はソニーのカメラに慣れているというのもありました。それと、もう一つ大きな決め手となったのが動画撮影にも優れている点でした。購入する前は、あわよくばVlogなんかも撮れたらな……という目論見があったんです (笑)。

── それは断念されたんですか?

大島 ちょっと挫折気味ですね (笑)。というのも、いろんな方のVlogを見ていると完成度の高さに圧倒されるばかりで、いざ自分でやってみるとまったくうまくできないんです。大阪・関西万博に行ったときも、せっかくなのでVlogを撮ろうと試みたのですが、全く撮れませんでした (笑)。もちろん、あきらめたわけではなく、これからも挑戦は続けたいと思っています。

大島璃音の写真日記 vol.1

── なるほど。「ZV-E10」を購入する前は、きっとスマートフォンなどで写真を多く撮られていたと思います。実際にデジカメで撮影してみて、違いは感じられましたか?

大島 やっぱり全然違いました。特に発色や陰影が素人目線で見ても段違いにきれいで。普段は「iPhone 16 Pro」を使っているので、そちらも十分すぎるほどきれいなはずなんですが、デジカメのほうが “生っぽい” 色合いだなと感じて私好みなので、すごく気に入ってます。

── 夜景などに関してはスマートフォンのほうが手早く、しかもきれいに撮れたりしますけど、デジカメはちょっと設定をいじらないといけないから難しさがあると思います。

大島 確かにデジカメで夜景を撮るときは手こずった経験があります。上手く撮れていたつもりでも、あとでスマホに移して確認してみたら、暗かったり、ピントが甘かったり。ですので、今は状況に応じてデジカメとiPhoneを使い分けている感じです。

手料理を作って写真に撮ることが、すべて幸せな時間へとつながっている

大島璃音の写真日記 vol.1
ソニー VLOGCAM ZV-E10 E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS プログラムオート 1/160秒 F4.0 ISO1000 WB : オート

── 今はどういったものをよく撮られるのでしょうか?

大島 一番多いのは自分で作った料理です。最初はスマホで撮っていたのですが、「ZV-E10」を買ってからはしっかりとカメラで撮るようになりました。時間をかけて作った手料理ですし、SNSにあげることを考えるとやっぱりきれいに撮りたくて (笑)。

── そうしたモチベーションってすごく大事だと思います。それに、料理撮影って凝り出すと料理の並べ方やお皿などにもこだわりたくなりますよね。

大島 ほんと、おっしゃる通りで、最近、器をたくさん集めるようになりました。いかに美味しい料理を作るかというのも大事ですが、撮影のためにきれいな盛り付けも考えるようになったりと、いろんな楽しみが増えていきましたね。

── もともとお料理はお好きだったんですか?

大島 はい。でも、以前はちょっとした趣味程度でした。昔から切り刻むのが大好きな子どもだったんです。

── 切り刻むのが好き? なかなか聞き慣れないワードが出てきましたが (笑)。

大島 (笑)。子どもの頃から野菜とかの具材を切るのがなぜか好きだったんです。母が料理をしていると近くに寄っていって、「何か切るものはないの?」って聞いたりして (笑)。それもあって台所に立つのは昔から好きでしたね。料理を頻繁に作るようになったのはコロナ禍がきっかけでした。どこにも出かけられないから家での食事にこだわるようになり、それで自分で調理を始めたら、どんどん楽しくなっていったんです。

大島璃音の写真日記 vol.1
ソニー VLOGCAM ZV-E10 E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS プログラムオート 1/60秒 F4.0 ISO500 WB : オート

── 確かにコロナ禍で自炊をする人が増えましたよね。

大島 ただ、その後、会社勤めをするようになり、そのときは逆に料理を作る時間があまり取れなくなっていったんです。勤務時間が毎日不規則だったこともあり、食事のほとんどを外食かコンビニのおにぎりとかで済ませてしまい、一汁三菜の食事が摂れていないことに気づいたんですね。

それに、喉と耳の不調により、しばらく会社をお休みすることになり。療養中は母が心配して、私の好きな料理を作ってくれたりしたのですが、飲み込むにも喉が痛く、あまり食べられないことに申し訳なさや切なさを感じていたんです。それもあって、退社してからは自分で健康的な食事の作り方を勉強し、恩返しじゃないですけど、両親にも健康でいてほしい! と振る舞うようになったんです。

── Instagramにアップしている料理の写真がそれですか?

大島 そうです。今、SNSには手料理の写真を載せている方がたくさんいて、なかには調理の過程を動画にしてわかりやすく紹介しているアカウントもあるんですね。そこに刺激を受けて、私も自分のSNSにアップするようになりました。

── 先ほどの器のこだわりもそうですが、料理の配置や構図なども考えて写真におさめていく作業は、もはや作品づくりに近い感じがします。

大島 まさにです! 私もテーブルやクロスにもこだわり始めましたから (笑)。でも、そうした作業に向き合うのは心に余裕がないとできないことですし、自分にとってはすごく大切な時間だなと感じています。それに何よりも、食事の時間を通して両親と一緒の時間を楽しめるというのがいいですよね。父も母もすごく喜んでくれるので作りがいがあるし、そうするともっと美味しいものを作ろうと思えるし、上手にできたらできたで写真を撮りたくなるし。本当にすべてが幸せな時間に繋がっているんです。

今の目標は人物写真や空の写真をよりきれいに残す技術を身につけること!

大島璃音の写真日記 vol.1

── 撮影の話題に戻しますが、カメラの設定にもこだわりなどはあるんでしょうか?

大島 ……いえ、そちらは何も (苦笑)。というより、いまだにちゃんとした使い方がわかっていないので、設定のいじりようがないんです (笑)。ですので、この連載を通して、もっとカメラについて学んでいきたいなと思っています。

── きっと、大島さんのように「買ってはみたものの、何をどうすればいいのかわからない」という方はたくさんいると思います。

大島 今の悩みは、料理を撮るときのピントの位置や背景のボケ具合ですね。全体にピントが合っているときもあれば、真ん中の料理だけに焦点が合っていることがあって。それを自在に使い分けられるようになりたいなと思っているんです。

── ものすごく簡単に説明すると、幅広くピントを合わせることを「絞り込む」というんです。F値というものがあり、その値を大きく設定していくことで絞れます。大島さんが持っているレンズは望遠レンズですので、ズームの度合いによってこのF値の限界も変わってきますし、それにともなって背景のボケ具合も変化していきます。

大島 たまに耳にする「F値」や「絞り込む」というのはそういった意味だったんですね。理解できると面白いです。

── でも、慣れるまでは標準の「P」モードで撮れば大きな失敗はないと思います。

大島 すごく素朴な疑問ですが、初めてカメラに触れる方は、そういった知識や技術をどういう順番で学んでいくものなんですか? 私、そもそも取扱説明書を読むのが苦手でして (苦笑)。

── “使っていけばそのうちわかってくるだろう” というタイプですか?

大島 そうです、そうです!(笑) でも、あまりにわからなすぎて、何から勉強すればいいのかも謎なんです。

── ぜひ『CAPA』を読んでいただいて (笑)。確かに取説を読んで専門的な言葉が目に飛び込んでくると、それだけで苦手意識が先に出てきちゃったりしますよね。なので、全部の機能を最初から一度に覚えようとせず、まずは撮りたい写真の完成形をイメージして、そこに近づくためにはどういう撮り方をすればいいのかを一つずつ調べていくのがいいと思います。

大島 完成形をイメージするのは大切ですよね。構図に関してはいろんな方の写真やSNSなどを見て勉強しているんです。まずは真似をするところから始めようと思って。そうやって理想的な一枚を撮れたときの幸福度ったらないです。でも今はまだ、“あれ? なんか違うぞ!?” って納得できずに落ち込むことの方が多いです (笑)。

大島璃音の写真日記 vol.1
ソニー VLOGCAM ZV-E10 E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS プログラムオート 1/80秒 F4.5 ISO100 WB : オート

── 今後はどんな写真を撮っていきたいと思っていますすか?

大島 今は料理以外だと、姪っ子ちゃんを撮ることが多いんです。というより、ほぼ姪っ子の専属カメラマンみたいになっています (笑)。やはり画質がいいからなのか、スマホより生き生きとした写真が撮れている気がするんです。撮るたびに写真から姪っ子の成長を感じますし、それが楽しいので、もっと人物写真が上手くなるといいなと思っています。

それと、風景写真も勉強したいです。今は空の写真を撮ることが多いのですが、カメラだと目に見えている景色をすべて収めることができなくて、どうしても一部を切り取ったような写真になってしまうんです。すると、目で見ていた感動とは別物になったりして、いつも悔しい思いをしているんです。

── そういうときのために広角レンズがあるといいですね。でも、確かに空の写真って切り取り方次第で、雰囲気が全然違ったものになりますよね。

大島 大きな雲を撮ったつもりなのに、ダイナミックさが上手く表現できていなかったり。空の青さも日によって当然違いますし、夕暮れの空も茜色だけじゃなく、ピンクがかった色をしているときもある。でも、いざ撮ってみると、“あれ? ピンクどこいった!?” っていう写真になっていたりして (笑)。ですから、そういう技術を少しでも身につけられたらなと思っています。

── そういった風景写真は日記的に撮られることが多いんですか?

大島 それもありますね。純粋に「きれいだな」と思って何気なく撮ることもありますが、あとになって見返すことで、そのときの思い出を振り返られるのも楽しいんです。以前、何かで読んだのですが、日常的に何かしらの出来事を写真で残す家族やカップルと、そうでない方たちとを比べると、思い出の深さに違い出るという研究結果があるそうなんです。“どこで写真を撮るか” とか、”どうやって撮るか” と考えることで、そのときの記憶や感情が強く残って、より長く覚えていられる。それがすごく素敵だなと思って。

それに、料理の写真にしても、SNSなどで発信してくださる方がいるから、私も触発されて料理の楽しさを教えてもらえたところがあるので、私も同じように、誰かの新たな行動を生み出すきっかけを作れるような写真を撮っていけたらなと思っているんです。ですので、カメラをそれなりに使いこなせるまでにはもう少し時間がかかりそうですが (笑)、この連載を通して、私の成長を見守っていただければと思います!

大島璃音の写真日記 vol.1

 

大島璃音 (Rinon Ohshima)

1999年3月19日生まれ。東京都出身。2024年まで「ウェザーニュースLiVE」の気象キャスターとして活躍。趣味は料理・旅行・F1観戦。

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〈文〉倉田モトキ 〈写真〉CAPA編集部