CAPAのモータースポーツフォトコンテスト「流し撮りGP 2025」年間シリーズチャンピオンは、野中翔平さんに決定しました。
2025シーズンの野中さんは、前半は好調にポイントリーダーを守り続けるも、第5〜7戦で痛恨の3連続無得点。そこから最終戦の第8戦で2位を獲得して全8戦の合計ポイントでトップとなり、見事2025年間チャンピオンに輝きました。その栄誉をたたえ、新チャンピオンの野中さん自選による作品集「チャンピオンズギャラリー」をお届けします。
CAPA「流し撮りGP 2025」チャンピオンズギャラリー
待望の時
流し撮りGP 2025 第2戦 1位作品

この1枚は私自身にとっても「待望の時」であり、忘れられない1枚としなりました。流し撮りGPに挑戦を始めて「初優勝」を飾ることができた作品です。レース終盤にコクピット内に入る光の具合を計算し、ウィニングランを撮影するポジションを決めました。石浦選手の嬉しそうな表情と、ガッツポーズをきれいに撮影することができました。運も味方してくれ、カメラ目線までいただくことができました。
猛獣の檻
流し撮りGP 2025 第8戦 2位作品

今季のチャンピオン獲得を決定してくれた作品です。この日の富士スピードウェイは夕方まで富士山がはっきりと見えました。レース終盤、富士山を入れて西日の当たる光景が撮影できる場所を探しました。普段なら嫌う金網ですが、光の当たり方が面白かったことから大胆に画面に取り入れ、狙った光線で富士山とマシンを撮影することができました。「これでダメならチャンピオンが獲得出来なくても諦めがつく!」と言えるほど、今年撮影した中でいちばんのお気に入り作品です。
雨のち晴れ
流し撮りGP 2025 第1戦 2位作品

ADVANコーナーに激感スタンドエリアが誕生。撮影に行く前にサーキットのサイトでこの場所を見たとき、もしかして100Rを立ち上がってくるマシンの正面が撮影できるかもしれない、と心を躍らせながら友人とエリア入場のチケット購入列に並んだことを覚えています。しかし、実際にはそのポジションでマシンを撮影することはできなかった。前日に降った雨のおかげで、濡れた路面が乾いていく中を鮮やかな黄色のフェラーリが駆け抜ける姿を撮影できました。
足跡
流し撮りGP 2025 第4戦 3位作品

友人との会話で撮影ポイントの話題になることがあります。コカ・コーラコーナーのブラックマークをどう生かすか? そんな撮影ポイント談義から生まれた作品です。この日はテスト走行ということもあり、多くのドライバーがいつも以上にコース幅をいっぱいに使って走る光景が目に留まりました。そして、大湯選手が私の思い描いたとおりの位置でマシンを走らせてくれました。話題を提供してくれた友人と大湯選手のおかげで撮影できた1枚です。
Start
流し撮りGP 2021 第2戦 7位作品

流し撮りGPでの初入賞作品です。2014年に1年間流し撮りGPに挑戦しましたが、予選通過も入賞も1度もできず。この2021年から再挑戦をスタートしました。『CAPA』発売日の毎月20日は、いつもより早く家を出て駅の書店に向かっていました。ページをめくり、自分の写真が初めて掲載されているのを見て喜んだと同時に、初優勝とチャンピオン獲得が夢と目標になりました。2021年のシーズンスタートを勢いのある1枚にしたく、流し撮りにて撮影しました。この頃から、単なるマシンの写真ではなく「モータースポーツとしてどう表現した1枚にするか」を考えて撮影するようになりました。
ダイヤモンド富士
流し撮りGP 2022 第6戦 予選通過作品

私はよく「朝練、居残り」と友人達に言いながらサポートレースの撮影をしています。メインとなるレースの前後に開催されることが多く、きれいな光で撮影できることが多いことや、若きドライバー、ジェントルマンドライバー達の熱いバトルが撮影できること、私の写真表現の引き出しを増やすために撮影を行っています。この1枚は、決勝前日のサポートレースの撮影を行っていた際に太陽が富士山頂に向かって沈んでいくことを発見し、明日のレース終盤は天気が良ければこの場所で撮影すると決めて撮った1枚です。
2月の夕日
流し撮りGP 2023 第2戦 3位作品

2月のシーズン前テストです。いつもとは違う太陽の角度、気温の低い時期で空気も澄んだ状態で撮影ができると、撮影に向かいました。普段は通り過ぎるだけの場所でしたが、光線がかっこ良かったので撮影しました。光がきれいにフェンスに当たり前ボケとなり、背景にあるガードレールが奥行き感を出してくれたことで完成した1枚です。
ありがとうNSX-GT
流し撮りGP 2023 第8戦 8位作品

露出をアンダー気味で、霧がかかった森の中を走るホンダNSX-GTを撮影しました。この時期のもてぎは朝方に霧が出ることが多く、低い位置からの太陽がコース周辺の木々の隙間から差し込んで、マシンをきれいに照らしてくれます。翌年から新型シビックへとベース車両が変更になる発表があった時期だったので、ホンダのホームコースと認識できる「MOTEGI」のサーキット看板を入れて、映えるオレンジのNSX-GTを撮影しました。
Move Forward
流し撮りGP 2023 第3戦 応募作品

縁石とその外側の緑ラインをきれいにフーレミングできるので、この場所で撮影しています。最初はスローシャッターでは撮影していませんでしたが、「何か面白いものにできないか」と考えてスロー設定に変更しました。縦に流したことにより、コーナーを加速しながら立ち上がる勢いをうまく表現できたと思っております。
Last Mercedes
流し撮りGP 2024 第2戦 応募作品

翌年からフェラーリへの移籍が発表されていたため、メルセデスに乗るハミルトン選手を日本で撮影できるのはこれが最後のチャンスでした。彼の特徴でもある黄色のヘルメット、マシンのシルバーのノーズをどのように生かすことができるかを考えました。キヤノンEFレンズの高画質性能を活用して、400mmレンズの焦点距離をエクステンダーで延長してドアップで勝負。撮影後のトリミングは考えませんでした。大きく写るのでフレーミングもフォーカスも撮影難易度は高まりますが、F1ドライバーとの勝負を楽しむかのように撮影しました。
深海

海の中を泳ぐ魚をイメージしてレタッチで仕上げた1枚です。デジタル時代となり、写真表現の幅が年々拡大していると感じています。撮影技術の向上と共に、デジタル写真ならではのレタッチ技術も向上していければと考えています。この写真は、撮影後の現像設定で普段は試さないアプローチに挑戦して仕上げました。数学のような「絶対的正解がないのが写真の面白さ」だと思います。日々、SNSや写真展、写真集などで多くの作品を目にして学び、多くの刺激を受けています。
凱旋
CAPA 流し撮りGPフェス開催記念フォトコンテスト「Memories (メモリーズ)」応募作品

この1枚はインディ500で優勝した佐藤琢磨選手が、実際の優勝マシンと共に凱旋帰国し、デモランを行った際の1枚です。世界3大レースのひとつであるインディ500優勝。そんな歴史的なマシンが撮影できると、楽しみに撮影へ向かいました。オーバルコースの感じを生かすためにターン1にて撮影していましたが、走行終了時にドーナツターンのパフォーマンスがあり、その白煙のなかからマシンが飛び出してきたところを撮影することができました。
勝者の後ろに

2023年のSUPER FORMULAの表彰式で撮影した1枚です。優勝した野尻選手が高々と手を挙げた瞬間、影がガッツポーズしてくれました。モータースポーツは、マシンとドライバーに注目が集まりますが、それを背後から支えている多くの方々の気持ちが影となって表れたのではないかと思う1枚を撮ることができました。
歓喜

幸運にも私は、「2022 JRPA (日本レース写真家協会) モータースポーツ写真コンテスト」で四輪部門グランプリをいただきました。この写真は、その応募時に、どちらをコンテストに出すか最後まで悩み続けた作品です。マックスフェルスタッペン選手がチャンピオンを獲得し、チーム全員がRed Bullをかけあい歓喜している瞬間を撮影した1枚です。プロカメラマンのストロボがドラマチックな光となり、撮ることができました。今では日本グランプリが春開催になったため、チャンピオン決定シーンは撮れなくなりましたが、またこんなシーンを撮影したいと思っています。
原点の1枚

私がここまで撮影を続けてこられた「原点の1枚」である作品です。ブノワ・トレルイエ選手がチャンピオンを獲得した日のウィニングランです。2006年に初めて自分のカメラを手にしました。高校生だった私は原付バイクで1時間以上かけて、ツインリンクもてぎで開催されるレースの撮影に行っていました。人との出会いに恵まれ、カメラ設定の基本すらわかっていない状態の私に指導してくれる先輩と出会い、いろいろアドバイスをもらいながら撮影できた1枚です。当時、モータースポーツ専門雑誌『auto sport』の読者投稿写真に応募して、平田勝さん (日本レース写真家協会 [JRPA] 会員) に嬉しい評価をいただけた1枚でもあります。
流し撮りGP 2025シリーズチャンピオン 野中翔平さんの受賞コメント

いつかは「猛獣の檻」の内側で撮るプロ写真家を目標に
流し撮りGPのチャンピオン獲得は夢であり大きな目標でした。『CAPA』が月刊から季刊へと変わった節目のタイミングでチャンピオン獲得ができて感無量です。ありがとうございました。
この結果は、私1人では達成することができなかったと考えています。 家族や職場の同僚の理解と協力、何より多くのモータースポーツ撮影の友人たちの存在が大きかったです。支えていただいた皆様、大変ありがとうございました。
2025年シーズンは、前半戦で初優勝を含む順調なスタートでしたが、後半は3戦連続ノーポイントと厳しい展開。流し撮り仲間の皆様の素晴らしい写真に圧倒されながらも、最終戦の応募作品「猛獣の檻」が2位に入ってくれて、念願のタイトルを手にできました。
サーキットで、その日の撮影現場で、感じたことを大切にしながら、そこで撮影できる私のベストな1枚を追い求めて今日まで撮影を続けております。幼少期から車に魅了され、高校時代にカメラを手にして以来、モータースポーツ撮影に情熱を注ぎ続けてきました。いつかは、「猛獣の檻」の内側でカメラを構えることができるプロ写真家を目標にして、今後も撮影を続けていきます。このたびは、ありがとうございました。
写真展イベント「CAPA 流し撮りGPフェス」1月29日まで開催中!

CAPA 流し撮りGPフェス
皆さんとともに楽しむ写真展イベント「CAPA 流し撮りGPフェス」を2026年1月29日まで開催中です。『CAPA』誌上で1995年に連載を開始して以来、これまでご応募いただいた作品写真を中心に展示しています。ご来場をお待ちしています!
詳しくはこちらをご覧ください。
https://getnavi.jp/capa/special/481410/
会期 2025年12月19日 (金) ~2026年1月29日 (木)
会場 キヤノンオープンギャラリー2
住所 東京都港区港南2-16-6 キヤノン Sタワー2F
時間 10:00〜17:30
休館日 日曜・祝日・12月27日 (土) ~1月4日 (日)
入場料 無料
アクセス JR品川駅 (2階) 港南口方面より徒歩約8分、京浜急行品川駅より徒歩約10分