蝶番&金具を使いこなせば、作品の幅が広がる! グレードがアップする!
最もベーシックな平蝶番を筆頭に、自由蝶番、フラッシュ蝶番、バネ蝶番…といった、機能性・デザインの異なるさまざまな蝶番の特徴と使い方を解説した、不定期連載企画をこれまでお届けしてきた。
蝶番以外の金具も種類が豊富で、これらを上手に使いこなせば、建具&家具作りの幅を広げてくれる。今回からは、そんなラッチ、落とし、戸車、ステー…といった建具・家具に使うアイテムを紹介。
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*ラッチ・掛け金の基本とバリエーションはコチラをチェック!
Hardware 06 戸車・レール
引き戸をスムーズに開閉するための金物。ドアの種類や重さなどを考慮して選びたい。
平戸車。レールは使わず、敷居の溝を走らせるタイプ
丸戸車。車輪に丸いくぼみがあり、丸いタイプのレールと合わせて使う。レールも鉄製や真ちゅう製といった種類がある
アルミサッシの取り換え用の戸車。はめ込み式で簡単に取り付けできる。購入する際はアルミサッシのサイズや種類をよく確認しておこう
開き戸を開くスペースがない場所などに有効なのが引き戸。戸車とレールを使えば意外と簡単に作ることができる。また、ドア・窓枠の下を戸車のサイズに合わせて掘れば、金具が表面に見えず、スマートに仕上げられるのも大きなメリットだ。
戸車には上記の「丸戸車」「平戸車」以外にも、車輪の両脇が覆われた「ソデ付き戸車」など、様々なバリエーションが存在する。取り付けるドアの種類や重さ、環境によって種類やサイズを選ぶようにしたい。とくにアルミサッシ用の戸車はメーカーによってサイズや形状が異なるので、交換する際は注意して購入しよう。
戸車・レールの取り付け例(引き戸)
01 今回は枠を相欠きで組み、羽目板を張ったシンプルなドアを使用 02 ドアの下端に、戸車をはめる溝の位置を墨つけする 03 適当な径のドリルで墨線内に穴をあけ、ノミで彫る 04 戸車をはめ、スムーズに回るようなら小クギで固定する 05 戸車をふたつつけた 06 戸車を走らせるレールを床に留め、敷居を作る。レールの位置はドアの厚さに合わせて決める。戸車が引っ掛からないように小クギで固定 07 これで敷居が完成 08-1 ドア上部を支える鴨居を作る。ドアの厚さを考慮して、適度に張り出した位置に板を渡す 08-2 そして鴨居にドアの上部をはめて… 09-1 レールに戸車を載せれば完成 09-2 *レール部分のアップ
戸車・レールの取り付け例(引き窓)
01 上の窓枠に窓をはめるための溝を掘る。丸ノコを少しずつ横にずらしながら切り込みを入れる。なお、今回は刃の深さを15mmに設定 02 ノミでこじって切り込み部分の材を取り除く 03 さらにノミで溝の底部をきれいにさらう 04 上の窓枠に溝が彫れた 05 開口部全体に窓枠を固定する。今回は2×6材を使用 06 開口部の左側は壁にするので2×4材を割いたものを2本固定。上枠の溝より壁材の厚さぶんだけ内側にずらして留める 07 開口部の左側に材を固定。なお、引き窓をふたつ取り付ける場合は、手順6~7の作業を省き、上の窓枠の溝を2本に増やす 08 続いて窓作り。下フレームの両端付近に、戸車をつける位置を現物合わせで墨つけ 09 墨つけ部分をノミで掘る 10 戸車をはめて深さを確認しつつ掘り進める。戸車がスムーズに回る深さになればOK 11 戸車を付属の小クギで固定。これで下フレームが完成 12 上フレームは先ほど作った窓枠の溝に合わせて、平行定規をつけた丸ノコで2方向から切り込んで切り欠く。危険を伴う作業なので自信がない場合は、後述のイラストを参照 13 いったん窓のフレームだけを組み立て、下にレールを仮置きした状態で窓枠の溝にスムーズにはまるか確認。問題なければアクリルをはめてフレームを組み直し、窓を完成させる 14 窓枠にレールを小クギで留める。レールはペンチで任意の長さにカットできる 15-1 窓を上の溝と下のレールにはめれば… 15-2 引き窓の完成!
溝彫りや切り欠きを行なわない引き窓の作り方
断面イメージ図のように、上の窓枠に材をつけて窓がはずれないようにすれば、溝掘り&切り欠き加工は不要。ビギナーにおすすめ。

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*掲載データは2014年8月時のものです。