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製薬産業に革新を!「医薬品」の輸入依存から脱却を進めるアフリカ

2022/4/14

新型コロナウイルスのパンデミックは全世界のサプライチェーンにダメージを及ぼし、各国経済に多大なダメージを引き起こしました。先進国はもちろん、新興国も景気の回復に向けて戦略を模索していますが、昨今アフリカで喫緊の課題となっているのが医薬品不足。この問題は住民の健康に悪影響を及ぼすだけではなく、経済成長も鈍化させ、貧困を拡大させるリスクを併せ持っています。

もはや輸入に頼ってばかりではいられない

 

10億人以上の人口を持つアフリカ大陸には、その膨大な需要に対応するだけの医薬品メーカーが存在しません。コンサルタント企業のマッキンゼーによると、その数は同大陸全体で約375社で、同程度の人口を有する中国やインドと比較すると圧倒的に少なく(中国は約5000社、インドは約1万500社)、医薬品の多くは輸入品に頼らざるを得ない状況です。さらに、コロナ禍における輸出制限やサプライチェーンの混乱などのため、大陸全域で医薬品の入手が困難になりました。

 

今回のパンデミックで、慢性疾患の治療や経口避妊薬、精神安定剤など、すべての医薬品がアフリカ全土で不足状況に陥っています。また、アフリカは世界人口の約17%の人口を占めているにも関わらず、新型コロナウイルスのワクチンにおいては、全世界で生産された約90億回分のワクチンのうち6%程度しか供給されていません。

 

そんな状況を変えるために、アフリカも動き出しています。例えば、新型コロナウイルスパンデミック初期の2020年4月、日本のJICAとアフリカ連合開発庁はアフリカの保健医療分野に関わる企業の支援策「Home Grown Solutions(HGS)アクセラレータープログラム」をスタートさせました。本プログラムは、選出された対象企業に対して、個々の企業のニーズに応える形で約6か月間サポートするもの。例えば、2021年にサポート対象になった注射器等の基礎医療用品メーカーのリバイタル社(ケニア)においては、複数の投資家から約7億円の資金調達に成功、製造ラインの拡大と共に注射器の生産量が約3.5倍に拡大、製品輸出も増加させるなど目覚ましい結果を残しています。

 

医薬品の自国生産能力が乏しいアフリカでは、元来低所得者が多く、医療保険制度も未発達な状況にあり、これからどこまで自前で医薬品を製造できるのかが大きなチャレンジ。アフリカ連合開発庁は同大陸の55の国と地域からなるアフリカ連合のグローバルパートナーシップ調整機関で、JICAを含めた他国のサポートだけでなく、先進国の民間企業の進出も望まれています。東アフリカ地域からスタートしたJICAのHGSプログラムは、今後アフリカ全土に波及していくことが見込まれており、ヘルスケア市場の成長および医薬品生産能力向上に大きく貢献していくことが期待されます。

 

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