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かなり画期的! インドのデジタル戦略「NDAP」公開の衝撃

2022/7/1

近年、民間セクターでは、ビッグデータやAIによる分析に基づいて経営やマーケティングを行うデータドリブン企業が多数存在していますが、同じような傾向は途上国の政府でも見られます。インドでは最近、政府が大胆な情報公開戦略を実施。インド政府の透明性と業務の効率化が高まると同時に、同国への進出を検討している企業の意思決定にも良い効果を与えそうです。

インドのパブリックデータを調査せよ(画像提供/NDAP公式サイト)

 

2022年5月、インドの政府系シンクタンク「NITI Aayog」は、政府所有のデータを閲覧し分析することができるプラットフォーム「National Data and Analytics Platform(NDAP)」を公開しました。統計学の回帰分析やデータマイニング、AIが組み込まれているNDAPは、農業やエネルギー、資源、財政、ヘルスケア、交通などの幅広い分野の基礎的なオープンデータを提供。それらは相互運用ができるため、ユーザーは異なる分野を横断的に分析することができます。

 

NDAPの導入によって、インドのデータエコシステムが強化され、データドリブンの意思決定がさらに促進される見込み。例えば、NDAPには治安を保つ機能があります。インドでは警察関連機関がデータ管理能力の向上に取り組んでおり、2022年3月には、インド工科大学カンプール校のベンチャー企業が警察活動を支援するために、高度なAIが搭載された検索エンジンを開発していると報じられました。これにより犯罪捜査はもちろん、監視や犯罪マッピング、分析などにおいて、警察のリソース配分が改善されると見られていますが、政府や警察などの執行機関はさまざまな形で犯罪関連のデータを利用することができ、NDAPでは、それらが金融関連データなどと紐づけられているようです。

 

他国と同様に、インドは政府のデジタル化に取り組んできました。2015年にナレンドラ・モディ首相が公共サービスの電子化を進めるキャンペーン「Digital India」を開始。それ以降さまざまな取り組みが行われ、2021年にNDAPのベータ版が一部のユーザーだけを対象に試験的に導入されました。NDAPの一般公開について、情報通信技術に関するプラットフォームを運営するOpenGov Asiaは「かなり画期的な出来事だ」と述べています。

 

このようなインド政府のデジタル化は、民間企業や海外からの進出企業にとっても有益でしょう。インド進出を目指している日本企業は、自社が所有するデータと政府の公開データを掛け合わせていくことで、より実現可能性の高い戦略やビジネスモデルを構築することができます。NDAPで公開されている情報が、勝敗を分けるかもしれません。

 

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