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フードロスは環境にどれほど悪い? 温室効果ガスの排出量が判明

2023/4/28

気候変動の原因の一つとされているのが、世界で生まれている食品廃棄物です。国連はSDGsの目標の中でも「つくる責任 つかう責任」として、2030年までに食品廃棄物を半減させることを目指していますが、そこには気候変動が関わっています。最新の研究では、食品廃棄物から排出される温室効果ガスは、世界中の食料システム(※)に由来する温室効果ガス排出量の半分程度を占めることが判明。「食品ロス」を減らす声がますます広がっています。

※食料システムは食料の生産、加工、輸送及び消費に関わる一連の活動のことを指す(参考:農林水産省

もったいないうえにCO2も排出

 

先日、オンラインジャーナルの「Nature Food」で発表された南京林業大学の研究では、2001年から2017年までの期間に、穀物や豆類、肉類、動物性食品、果物、野菜など54種類の食べ物の廃棄物から排出された温室効果ガスの量を164の国と地域で調査しました。

 

収穫、保管、輸送、取引、加工、小売りなど、食べ物が収穫されてから消費者の手にわたり廃棄されるまでのサプライチェーンの各工程で温室効果ガスの排出量を調べた結果、2017年に93億トンに上ったことが判明。これは同年のアメリカとEUで排出された温室効果ガスとほぼ同量に匹敵するといいます。

 

また、中国、インド、米国、ブラジルの4か国では、食品廃棄物によって排出された温室効果ガスは、世界全体の食品廃棄物関連の排出量の44%を占めていることも明らかになりました。

 

世界の食料システムが温室効果ガス排出量に占める割合は約3分の1とされており、さらに、そのうちの半分程度が食品廃棄物に由来していると同研究は言います。気候変動に与えるフードロスの影響がわかりやすく表されているでしょう。

 

この研究では、食品廃棄物が半分に減れば、世界の食料システムで排出される温室効果ガスの総量が約4分の1にまで減少すると見ています。今日では多くの国で食品廃棄物などの生ごみは焼却処分または埋立てされていますが、生ごみは腐敗すると温室効果ガスの一種であるメタンを発生させます。それを防ぐための方法の一つとして、生ごみを堆肥化するコンポストの使用が勧められています。

 

日本で出ている食品廃棄物の量は年間522万トン。国民1人あたり、お茶碗一杯分のご飯を毎日捨てているのと同じと言われています。私たちの身近な行動が気候変動に直結しているのだと改めて考えてみる必要があるのではないでしょうか?

 

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