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食料の約8割を生産!「女性が活躍する農業」を途上国が模索

2023/4/11

発展途上国では食料生産をほぼ女性が担っているにも関わらず、女性の社会的・経済的地位は男性に比べて依然として低いまま——。このようなジェンダーギャップは途上国の農村で顕著であり、生産性にも影響を及ぼしていると近年では言われています。農家の女性へのエンパワメントが急務となる中、現状を変えようとする取り組みが少しずつ現れています。

女性が途上国の農業を支えている

 

農業は、途上国におけるジェンダーギャップの典型的な例と言えます。FAO(国連食糧農業機関)によれば、ほとんどの発展途上国において食料のおよそ80%を女性が生産しています。ところが、日々の農作業や食料生産に欠かせない存在であるにもかかわらず、女性は土地の所有や農産物の販売などの権利において差別に直面しています。

 

例えば、ケニアでは慣習法が女性の土地の所有権と財産権を制限しており、同国の65%の土地はその慣習法によって管理されています。つまり、農家の女性は夫か息子を通してしか土地を持つことができません。農家の男性が都市部に移住してしまった場合、残された女性は、男性の同意なしで土地の手入れをしたり、担保にしたり、生産物を売ったりする権利がないこともあるようです。

 

農産物の生産と供給における女性の役割の重要性を考えると、持続的に食料を確保するためには女性が土地などの生産資源を活用できるような取り組みが必要でしょう。

 

世界経済フォーラムによると、女性が男性と同じように土地などの生産資源を使用できれば収穫量が20%~30%増加し、飢餓が最大で17%減少するとのこと。また、女性は利益を家計に還元するため、貧困を根本から緩和することが可能になると言われています。

 

ケニアでの成功例

このように、農業における女性のエンパワメントが喫緊の課題となっていますが、それを実現するための施策はあるのでしょうか?

 

同じくケニアの事例を見てみましょう。ライキピア北部の女性農業グループであるライキピアパーマカルチャーセンターは、持続可能な農業システムを目指すケニアパーマカルチャー研究所と共に、コミュニティの長老たちに協力を要請し、女性の農業従事者25人に数エーカーの土地を割り当てました。

 

この女性たちは、それまで不毛だった土地に水を流す仕組みを構築すると、土壌を回復させ、農業ができるようにしました。その結果、アロエベラの栽培とミツバチの飼育から収入が得られるようになり、家族を養うことができているそう。女性が中心となって農業を建て直すとともに、地域コミュニティを支える仕組みが生まれたのです。

 

一方、日本政府も東南アジアの途上国などに対し、農業分野における女性のエンパワメント支援を手がけています。政府はカンボジア政府からの要請により、カンボジア女性省・州女性局の能力強化をはじめ、農業分野におけるジェンダー主流化に関する技術協力を提供。JICA(独立行政法人国際協力機構)もこのプロジェクトにおいて、現地関係省庁のジェンダー視点に立った政策策定や取り組みをサポートするなど、農業に携わる女性の経済的エンパワメントの促進を図っています。

 

農業を底上げするためにも女性はもっと経済活動や意思決定にかかわるべきであり、ジェンダーギャップの解消は途上国における農業全体の発展につながるでしょう。そのためには、女性が自立して経済活動に参加できるような仕組みを国や企業、協力団体が率先して進めていくことが求められます。

 

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