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【星と月の撮影の基本⑨】狙いの伝わる写真に仕上げる撮影ポイント

星空のきれいな景色(星景)を見ると撮影したくなるもの。カメラが好きな人にとって、一度は挑戦してみたい!被写体です。星や月、惑星など撮りたい気持ちはあるのだけれど、「難しい!」「真っ暗!」「星が映らない!」など撮影方法の悩みは尽きません。これから流星群や皆既月食、火星の接近など、天体撮影では、イベントも盛りだくさん。カメラを通してきれいに撮る方法やテクニックをご紹介いたしましょう。

 

 

狙いの伝わる写真に仕上げるには、主役となるモチーフを大きく捉え、主役にピントを合わせるのが基本です。AF速度ではファインダーをのぞいたときに使う「位相差AF」が有利ですが、AF精度ではライブビューによる「コントラストAF」が勝っています。ファインダーをのぞいて大まかにピントを合わせてから、ライブビューによるコントラストAFを使うと、スムーズかつ高精度なピント合わせが可能です。広角レンズを使ってパンフォーカスで狙うようなシーンでは、ピントの精度はあまり求められません。そのような場面では、位相差AFによるピント合わせで十分ですが、望遠レンズでボケを生かすときや星や月のように点光源でボケが目立ちやすい被写体ではライブビューを活用するのがベターです。ただし、星は暗くてAFが作動しないため、狙った星をライブビュー画面で拡大して、MFでピントを合わせましょう。

 

【 星のピント合わせ 】MF+ライブビューの拡大表示機能を使う

星に対してAFは作動しないため、MFでピントを合わせるのが基本となる。ファインダーをのぞいても夜空は暗く、ピント精度も低いため、ライブビュー機能を使って一等星や惑星など明るい星を拡大し、MFでピントを合わせよう。最新のデジタルカメラなら、一等星は拡大しなくても視認できるようになった。さらに、合焦後にレンズの自重の影響や誤ってピントリングに触れてピント位置がずれてしまうのを防ぐため、パーマセルテープでピント位置を固定しておくとよい。

 

ライブビューの全体表示では暗い星は見えないため、一等星などを拡大してピントを合わせる。暗くて何も見えないときは、ファインダーで一等星をセンターに捉え、ライブビューで拡大すると星が見えてくる。

 

星を拡大したらMFにセットして、ピントリングを回して星が最も小さく見えるようにしてピントを合わせる。一等星は見つけやすいが、明るすぎてピントは合わせづらい。やや暗めの星のほうが合わせやすい。

 

しっかりピントが合ったら、テスト撮影をしてピント精度を確かめよう。問題がなければ、パーマセルテープなどでピントリングを固定する。少しでも甘いと感じたら納得のいくまでピント合わせを繰り返す。

 

【 月のピント合わせ 】月は明るいのでAFでOK

月は明るいので、AFにピント合わせを任せて問題ない。月と星景であれば月にピントを合わせればよいので撮影は容易だ。月景で月よりも地上の風景のほうが大きく、主役である場合は、地上のモチーフにピントを合わせたい。地上が見えるくらいの薄明かりがあればAFでピントが合うはずだ。天体望遠鏡で月を拡大するときは、当然ながらMFとなる。ファインダーで大まかにピントを合わせておき、ライブビュー機能で拡大して正確にピントを合わよう。

 

日の出直前の薄明かりによってAFで撮影

間もなく日の出を迎える時間帯に、満月に近い月を望遠220ミリで切り取った。雪をまとった木立が主役であり、満月は脇役である。日の出直前で薄明かりがあるため、AFで雪木立にピントを合わせて撮影している。

220ミリ相当 絞り優先オート(F16 1/4秒) -0.7補正 ISO200 WB:晴天

 

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