滝の知識、基本設定、切り取り術など自己流の撮り方を徹底解説!
暑い夏に、涼を求め、マイナスイオンを浴びながら滝の撮影に挑戦したい。今回はガイドブックにあるような滝写真ではなく、個性が際立つ「俺流」の作品を目指して、滝の種類から基本の設定、切り取り術までをご紹介しよう。
デジタル一眼で滝を撮影する最大の魅力は、ISO感度を操作してシャッター速度を自由に変えられること。さらに、ホワイトバランスや仕上がり設定などを細かく調整すれば、より納得のいく1枚に仕上がる。
ISO感度を変えてシャッター速度を調整
以前、フィルムカメラで滝を撮っていた頃は、画質を重視して低感度フィルムを使っていました。そのため必然的にスローシャッターとなり、滝に強い光が当たらないと高速シャッターを切ること自体難しかったのです。
現在では、高感度性能が向上したデジタル一眼によって、感度を上げるとシャッター速度を簡単に高速側にシフトできるようになりました。そういった意味で水の流れを表現する滝撮影において、デジタル一眼は最適な機材です。
さらに、ホワイトバランスや仕上がり設定を1枚ごとに変えられるのも魅力。これらの機能を最大限に活用して、自分のイメージに合った作品作りをしましょう。
撮影モードを「Av(A)」か「Tv(S)」に合わせる。
ISO感度は固定し、同じ滝をF22とF5.6で撮影。シャープに写った葉を拡大すると、その細部描写は雲泥の差となっている。
階調補正機能は、初期設定で「標準」などと、ON状態の機種が多い。
撮影の重要ポイント① シャッター速度
高速シャッター使用時は流れが止まったように写り、スローシャッター時は滑らかな描写となる。
滝を表現するうえで、いちばんのキモとなるのがシャッター速度である。高速で撮れば荒々しく、スロー(低速)側では優美な印象になる。まずはシャッターを切る前に、自分がどのようにその滝を表現したいか考えることが大切だ。
F5.6 1/40秒 ISO100
1/40秒だと水の流れが中途半端に表現され、落下する水の美しさも荒々しさも伝わってこない。この前後のシャッター速度は滝撮影には不向きだ。
→ ISO感度を上げて高速に!
F5.6 ISO1600 1/640秒
ISO感度を上げることで、1/640秒の高速シャッターが得られた。水のしぶきが止まって描写され、新緑の木との相乗効果で画面に躍動感が生まれた。画面から大きな滝音が聞こえてきそうだ。
→絞りを絞ってスローに!
ISO100 F16 1/5秒
絞りをF5.6からF16まで絞り、 1/5秒で撮影。水が滑らかに表現され、落ち着いた印象になった。スローシャッターで撮影する際は、周りの木々などが風でぶれて写らないように注意したい。
撮影の重要ポイント② ホワイトバランス
WB「太陽光」で流れが白く写らず黄色みがかってしまったら色温度で調整かWB「オート」に。
ほとんどの場合は「、太陽光(晴天)」に設定して撮影すれば色みに問題はない。しかし、「オート」を使ったほうが水の透明感を強調できることもある。また、色温度を調整すると、より細かく自分好みの雰囲気に仕上げることが可能だ。
WB/太陽光
2つの虹が架かる滝。いつもどおり「太陽光」に設定して撮影すると、画面全体が黄色っぽくなり、水が濁ったような印象になってしまった。
↓
WB/オート
「オート」で撮ると黄色みは消えて水が白く写り、清涼感が表現された。水の白さが強調されたことで下部の虹も際立った。
色温度設定/4600K
「オート」でも完成度は高いものの、若干冷調気味。それが気になるようであれば色温度で調整。ここでは「オート」よりほんの少しだけ黄色みをプラスした。
滝撮影の面白さは、滝のしぶきをいかに撮影するか。ISO感度を調節しながらシャッター速度を速めたり遅めたりしながら、水の流れを表現しましょう。また、ホワイトバランスを変えることで、水の透明感を出すことができるので、撮影環境にもよりますが、適宜、微調整しましょう。
写真・解説/伊藤亮介