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【滝の撮り方①】滝の種類によって撮影方法やテクニックは違う!?

滝の知識、基本設定、切り取り術など自己流の撮り方を徹底解説!

暑い夏に、涼を求め、マイナスイオンを浴びながら滝の撮影に挑戦したい。今回はガイドブックにあるような滝写真ではなく、個性が際立つ「俺流」の作品を目指して、滝の種類から基本の設定、切り取り術までをご紹介しよう。

 

 

一口に“滝”といっても幅の広いものや落差のあるもの、水量の多いものや繊細な流れのものなど、さまざまなタイプがある。ここでは滝の形態に合わせて5種類に分類し、それぞれの特徴や撮り方、種類ごとの代表的な滝スポットをご紹介。

 

種類ごとの撮影ポイントもあるので要チェック

日本は世界のなかでも有数の滝王国といわれています。降水量が豊富なうえ、国土の大部分が山地となっているため、山々から湧き出た水が至る所で滝となって流れ落ちているからです。

滝をイメージしたときにまず思い浮かぶのは、一直線に滝壺へ落下する姿や岩肌を伝って優雅に流れ落ちる姿ではないでしょうか。前者は「直瀑」、後者は「分岐瀑」と呼ばれ、国内の滝の多くがこれらのタイプに当てはまります。そのほかには、渓流のように流れる「渓流瀑」、2段、3段と段状になって落ちる「段瀑」、伏流水などがそのまま滝となった「潜流瀑」があります。滝の種類を覚えると撮影方法もおのずと見えてきます。

 

【分岐瀑】水が岩肌に当たって分かれながら落ちる滝。末広がり状のものが多い


落打滝

岩肌の凹凸や形状の違いから、見る角度によって印象が大きく変わるのが分岐瀑の特徴だ。水の流れの表情に変化があるため、全景だけでなく一部分を切り取っても面白い。流れを美しく表現するには、光が均一な曇りの日にスローシャッターで撮影するのが一般的。

 

代表的な分岐瀑
・オシンコシンの滝  (北海道斜里町)
・安の滝  (秋田県北秋田市)
・落打滝  (三重県紀宝町)

 

【直瀑】落ち口から一気に落下する滝で滝壺がある場合は大きくて深い


平湯大滝

水が持つエネルギーをいちばん感じられるのが直瀑だ。高速シャッターでしぶきを写し止めると、迫力が出る絵となる。一般的には滝そのもの をアップで狙うよりも、周りの風景と絡めて撮影すると印象的な写真に仕上がることが多い。

 

代表的な直瀑
華厳の滝(栃木県日光市)
平湯大滝(岐阜県高山市)
那智の滝(和歌山県那智勝浦町)

 

【渓流瀑】傾斜のある岩の上を水が流れる滝。「ナメ滝」と呼ばれる種類もある


竜頭の滝

渓流よりも少し角度のある斜面を流れ下る滝。1枚岩の上を流れるナメ滝もこのタイプ。全長が長かったり、川幅いっぱいに流れる滝が多いので、全景を撮るのは難しい。一般的には一部を切り取って見せることが多い。

 

代表的な渓流瀑
平滑の滝(福島県檜枝岐村)
竜頭の滝(栃木県日光市)
吹割の滝(群馬県沼田市)

 

【段瀑】段状になって流れる滝。多いものでは7段や9段にもなる


三階滝

その名のとおり、階段状に流れる滝。滝の名前に段数が入っているものが多い。撮影をする際には、段数がいちばん密集している部分を中心にフレーミングするのが一般的で、リズム感が生まれてその滝の特徴を表現しやすい。

 

代表的な段瀑
三階滝(秋田県北秋田市)
袋田の滝(茨城県大子町)
七ツ釜五段の滝(山梨県山梨市)

 

【潜流瀑】地表に出た伏流水が滝となって流れ落ちる。横長形状の滝が多い


不易の滝

潜流瀑の水は伏流水なので、水質は抜群にきれいで、滝の周囲には苔が生えていることも多い。水は筋状になって流れているものがほとんどで、一般的にはスローシャッターで捉えて繊細な雰囲気を表現することが多い。日本にはこのタイプの滝は少ない。

 

代表的な潜流瀑
吐竜の滝(山梨県北杜市)
不易の滝(長野県木曽町)
白糸の滝(長野県軽井沢町)

 

暑い夏、涼しい場所に行きたくなる。マイナスイオンがあふれる滝は、最高の場所だ。いくつも種類がある滝の撮影には、種類ごとに撮影ポイントが異なるので、要チェックしていこう!

 

写真・解説/伊藤亮介