2018年猛暑が続く中、この夏休みに、滝や渓流などの避暑地で、心も体も癒される方も多いはず。そんな時に、カメラを持って涼しげな撮影を試みる方もおられると思います。緑が覆い茂るこの季節、水流との彩りも美しくなります。ここでは、滝と渓流の基本的な撮影操作のテクニックや、シーン別の構図決定のノウハウなどご紹介いたします。
基本編
水の流れや輝きを捉える5つの基本操作
清らかな水が流れる滝や渓流は、漠然と写すのではなく、水をどのように表現したいのかを考えながら撮影することが大切だ。それに合わせて的確なシャッター速度や露出を選択し、さらにPLフィルターを使って水の表情を引き出す。
基本① シャッター速度で、水の描写をコントロールする
滝や渓流の写真は、シャッター速度によってその印象が大きく変わる。迫力を出したいなら高速シャッターを、やわらかい雰囲気を求めるなら1秒前後のスローシャッターを選びたい。また、1/15~1/4秒域のシャッター速度なら、水流の軌跡を感じさせる表現ができる。
1/1000秒
1/1000秒以上の高速シャッターで水の流れやしぶきを写し止める
高速シャッターを使えば水のしぶきをくっきりと捉えられ、迫力を出せる。流れの速さや水量など条件によっても異なるが、1/500 秒以上の高速シャッターを選べば止めて写せる。この写真ではしぶきを鮮明に捉えるために1/1000秒で撮影した。
47ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/1000秒) -0.3補正 ISO500 WB:4900K
1/2秒
1/4秒以下のスローシャッターで水流を絹のように描く
水の流れを幻想的に捉えたいなら、 1秒前後のスローシャッターがおすすめ。高速シャッターとは違った女性的な優しい流れになり、肉眼では見られない写真独自の描写になる。この写真のように白濁した流れが多い場面でスローシャッターを使うと、より効果的だ。
32ミリ相当 絞り優先オート(F14 0.5秒) +0.3補正 ISO100 WB:太陽光
1/15秒
1/15秒~1/4秒で水が流れているディテールを捉える
1/15 秒~1/4 秒域のシャッター速度では、水が流れている様子やディテールを捉えられる。この写真は1/15 秒で撮影したことで、水面に光の軌跡が描かれた。このような描写は、流れの速さや切り取る画角などによって最適なシャッター速度が異なるため、シャッター速度を変えて何枚か写したい。
△ 2秒
2秒で撮影したカット。水の流れがおとなしくなり、平面的で躍動感に欠ける写真になった。光の印象も弱まっている。
撮影時の必須アイテム
三脚は必需品!
手ブレ補正機能が搭載されていても、1秒前後のシャッター速度で手持ち撮影するとぶれてしまう。シャープに描写するためには三脚が必要で、レリーズを使うとさらにブレが防げる。
滝・渓流撮影のお役立ちグッズ
滝や渓流など水辺での撮影では、カメラやレンズに水しぶきがかかりやすい。そのためブロアーとクリーニングペーパーは必需品だ。また、フェルト底の渓流シューズを履けば水の中に入っても滑りにくく、さまざまな角度から写すことができて撮影の幅が広がる。
ブロアー・クリーニングペーパー
渓流シューズ
ポイントアドバイス!
① 速いシャッター速度が得られないときはISO感度を上げよう
曇天や日陰など光量が少ないときは、絞りを開けても速いシャッター速度が得られないことがある。そんなときにはISO感度を上げてシャッター速度を稼ぐ。ただし、高感度になればなるほどノイズが増えるので、上げすぎは控えたい。
② スローシャッターが得られないときはNDフィルターを使おう
最低感度にして絞り込んでも、光量が多い場面ではスローシャッターが得られにくい。そんなときはNDフィルターの出番。NDは減光フィルターとも呼ばれ、文字どおり光量を減らしてシャッター速度を遅くする効果がある。減光量の違う製品が何種類も用意されている。
1/15秒前後のシャッター速度では水の流れに美しさが感じられない(ND 無)。そこで減光効果 2 段分のND4フィルターを使ってシャッター速度を落とすと、水流を美しく描写できた。
ND無(1/15秒)
ND有(1/4秒)
渓流や、滝の撮影は、水の動きを捉えことが必要になります。動的な撮影はシャッター速度の調節で、水の質感や流れを描写することができます。晴れた日ですと、太陽光の反射などもフレーミングし、効果的に撮影してみましょう。
写真・解説/伊藤亮介