2018年の夏、皆既月食や、火星が接近などの天体のイベントが続いています。今回は星空撮影でのQ&Aに答えていきます!基本的に星景写真とはどういうものなのか、星空を背景に風景や都市夜景などを撮るときの疑問や注意点、撮影で用いるカメラ機能や比較明合成時のテクニックについてもご紹介いたします。
Question.1 星景写真を撮るときの露出は何に合わせる?
Answer. 自然風景など暗い場所では空に合わせますが、明るい街で星の軌跡を入れる場合には街の明るさに合わせます
星の露出はほとんどの場合、自動露出の値で撮影しても星が写らないので、テスト撮影をして決める。テスト撮影で何カットか撮った後、街灯などがほとんどない暗い場所では、空の明るさを確認し、星が見える露出を選択。街明かりが入る場合は、まず街並みが白とびしないことを第一に考え、空に星が写っているかどうかを確認して撮影を開始する。いずれも明るすぎると後処理での補正が困難なので、迷ったときは少し暗めに撮影するといいだろう。
【テスト撮影】
ISO200 F42秒
街並みが暗かったので本番では思い切って2・1/3段明るくした。
ISO200 F3.5 8秒
比較明合成の場合も1枚はテスト撮影して露出確認
比較明合成しながらの露出チェックは時間もかかり現実的ではないので、1カット撮影してみて露出を決定する。比較明合成すると星が線になって目立ってくるので、単体の写真では星がかろうじて写っているくらいでも大丈夫だ。
【テスト撮影】
ISO400 F3.2 70秒
少し暗いが長時間露光に伴いバックグラウンドが明るくなってくる。そこで本番では少し絞り込んで撮影。
ISO400 F3.5 430秒
長時間露光時は露光1分でテスト
長時間露光の場合も、同じ露光時間でのテスト撮影は現実的ではないので、1分ほどの露光でテスト撮影を行って露出を決定。長時間露光と同じ感度とF値でテストして、少し暗い程度の露出を選ぶ。
Question.2 星景写真を撮るときの注意点は?
Answer. 撮影場所が明るかったり、近くに街灯があったりするとその光の影響を受けてゴーストなどが目立ってしまいます
最近のレンズはコーティングが改良され、従来ほど影響が出なくなったが、レンズに強い光が入ってしまうとゴーストやフレアの原因になる。そのため、フレーミングするときには街灯など強い光を出すものを避けよう。画面の外からの光がフレアの原因になることも多いので、なるべく暗い場所で撮影し、余計な光を防ぐフードは必ず使用。また、撮影中の夜露にも注意が必要だ。気温が急に低くなるときは特に注意が必要で、それを防ぐにはレンズヒーターが有効だ。
人が多い場所で撮影する場合は、三脚に人がつまずいたりすることもある。周囲に人が多いと三脚やカメラが振動を拾うこともあるので、それらの点に十分注意したい。
急に気温が下がるとレンズが結露してしまい、撮影に影響が出る。フードと、レンズヒーターを使ってレンズを温めることで結露を防止することができる。
明るい光を避けてカメラを設置
画面内はもちろんのこと、画面の外からの光もフレアの原因になるので注意しよう。この写真では、避けたつもりだった車のハザードランプの明かりが写り込んでしまっている。
Question.3 比較明合成用の写真に不要なものが写った場合の対処法は?
Answer. パソコンで合成する場合は、余計なカットを削除したり、マスク合成で明るくなりすぎた部分を消したりできます
カメラ内での比較明合成では、撮影したものがそのまま合成されてしまうので、余計なものが画面に入っても対処できないが、パソコンで合成するなら、不要なカットを削除したり、必要な部分だけを合成したりできる。また、パソコンを使うことで、街と空との輝度差が大きくなりすぎた場合や、余計なものが手前に写り込んでしまった場合などは、比較明合成に加えて写真の前景だけを別途撮影した最適な明るさの写真に代える「マスク合成」などを行うこともできる。
手前に複数の明るい被写体が入り込んでしまった
計85分の露光を行い比較明合成した写真。星はきれいに写っているが、手前に船などの光が入って目立っている。こうした場合は、前景だけを、ほかの写真に代えるマスク合成が有効だ。
船などが入っていないカットを選び出す
連続撮影した写真から、船などの余計な光源が写っていないカットを選ぶ。このカットの前景だけを上の比較明合成した写真に重ね合わせる。
マスク合成で理想的な前景と背景の写真を合成
パソコンソフトを使って、比較明合成した写真。空の部分と前景がきれいに写っている写真の前景部分を重ね合わせて合成。この処理をマスク合成という。連続撮影してパソコンで比較明合成すると、こうした処理も可能だ。
星景撮影では、比較明合成で、星の軌跡をきれいに映し出すことが可能です。カメラ内での比較明合成もありますが、パソコンで合成する方が、様々な点で、加工が簡単に可能になります。比較明合成をする場合は、テスト撮影を何度かしながら、比較明合成用写真を撮影し、パソコンでの補正をおすすめします。