階調補正とは、明暗差の大きいシーンでも見た目の明るさに近づくように補正が働き、白とびや黒つぶれを最小限に防ぐことができる機能。逆光での撮影など、極端に明るい部分と暗い部分の両方が混在するシーンでは、露出補正をしてもどちらかに明るさが偏ってしまう。階調補正機能を使うとこの露出差が緩和され、白とび部分や黒つぶれ部分が再現できる。
階調補正機能の名称や仕組み、その効果は各メーカーによって異なる。しかし、写真のコントラストを自動解析し、露出不測で暗くなりすぎた部分だけをやや明るく、また露出過多で明るくなりすぎた部分だけをやや暗くという仕組みはほぼ同じ。
最近のデジカメは、効果の強弱が調整できたり、「オート」を設けたりしている機種もある。ただし、強く掛けすぎると不自然な写真になったり、シャドウ部のノイズが目立ったりすることもあるので注意が必要だ。シルエット描写など意図的に明暗をつけたいときはオフにしよう。機種によって初期設定が異なるので、確認しておきたい。
▼ 各メーカーの階調補正機能の名称
オリンパス / ハイライト&シャドウコントロール
キヤノン / オートライティングオプティマイザ、高輝度側・階調優先
ソニー / Dレンジオプティマイザー
ニコン / アクティブD-ライティング
パナソニック / インテリジェントDレンジコントロール
富士フイルム / ダイナミックレンジ
ペンタックス / D-Range補正
キヤノンのオートライティングオプティマイザの設定画面。
写真/井村 淳
日陰と日なたが混在するシーン。普通に撮影すると、画面上の木は黒くつぶれ気味に、背景の景色は明るくとび気味に写った(上写真)。そこでオートライティングオプティマイザを「強め」に設定して撮影。明暗差が縮まり、両方をきれいな明るさに近づけることができた(下写真)。
ニコンのアクティブD-ライティングの設定画面。
写真/深澤 武
夕方の逆光シーン。オレンジ色に染まる空と桜を絡めて撮影した。アクティブD-ライティング「しない」だと、桜はほとんど黒つぶれし、夕焼け空の色も淡い(上写真)。「オート」にすると、空の色がぐっと深みのある橙色に染まり、桜の黒つぶれも防げた。