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【都市情景撮影の基本②】逆光での撮影がうまくいかない!そんな時は……?

高層ビルやシンボリックなタワーなどのランドマークから路上や路地といった街の情景まで、都会ならではの被写体の撮影方法を、これまでたくさんご紹介しておりますが、今回は、撮影時のカメラの設定のひとつとして「階調補正機能」をご紹介いたします。

 

撮影:吉森信哉

 

都市と自然とを問わず、風景撮影では全般的に空と地上に明暗差があり、逆光時は特にそれが顕著に現れます。肉眼ではあまり明暗差が気にならない場面でも、写真ではその影響が大きく、空に露出を合わせれば地上は暗く落ち、地上に合わせれば空は白とびするくらい明るく写ります。この明暗差を調整し、両方をある程度写し出してくれるのが「階調補正」機能です。画面内の白とびや黒つぶれを軽減することで、自然な階調再現が得られます。

露出補正と階調補正の違いは、露出補正が画面全体の明るさを調整するのに対し、階調補正は全体の明るさは変えずに、明暗が極端な部分だけが補正されること。階調補正は明暗差の激しいシーンに特に有効ですが、逆に明暗のメリハリをつけたいときはOFFにするのが鉄則です。なお、階調補正機能はメーカーによって名称が異なります。

 

階調補正の効果

「階調補正」はONとOFFを切り替えるだけでなく、ほとんどのカメラでは効果の強度を調節することができる。一般的には「標準」や「オート」がおすすめだが、画面内の明暗差が極端でなければ「弱」に、明暗差が極端なら「強」にする。
(撮影:吉森信哉)

 

OFF

 


 

標準

 


 

明暗差がかなり大きなこのシーンでは「強」が◎
この逆光シーンは太陽も写し込んだため、明暗差がかなり大きい。そのため、日陰部分をシルエットで見せる意図がなければ、階調補正は強めに設定したい。陰った城と青空のバランスを見ると、「標準」もしくは「強」が適切な設定だと思われる。「OFF」だと日陰の芝生や石垣は黒つぶれ寸前になっている。

 

 

ONとOFFの使い分け

逆光時などに「階調補正」機能を使うか使わないかは、撮影者の表現意図や好みによって変わってくる。だが、一般的な判断としては“被写体と周囲との明暗差の程度”や “極端に明るい部分や暗い部分の有無”によって決まる。

ONにしたいとき

●光が当たる明るい部分の白とびを抑えたい
●背景の青空の濃度を上げて美しく見せたい
●被写体の日陰になった部分を明るく見せたい

 

撮影:吉森信哉

 

OFFにしたいとき

●明暗差が少ないシーンでメリハリをつけたい
●日陰の被写体や背景をシルエットで描写したい
●白とびや黒つぶれで“光と影”を強調したい

 

撮影:吉森信哉

 

 

逆光でも、撮りたい!被写体はありますよね。ですが、被写体が真っ黒になって望んでいないのにシルエットになったりすることもあります。逆に太陽光で白飛びしてしまったりすることもありますので、適宜、階調補正のON・OFFを使い分けましょう。