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【菜の花の撮り方③】最適な日和は、強い直射光が降り注ぐ晴天に撮影するのがベスト映え!

寒い冬を乗り越えると、暖かい春を迎え、冬には見られなかった美しい花々が咲き誇る季節がやってきます。ナノハナの開花時期は、関東では、3月中旬から4月下旬が見ごろですが、早いところでは、2月中旬ごろから咲き始めます。

鮮やかな黄色が印象的で写真映えする花ですが、黄色一色なので、平凡な写真になりがち。ボケを作ったり、空を背景にしたりして目立たせたり、ナノハナを印象的に撮影する方法やテクニックをご紹介します。

 

 

曇天やかすんだ晴天時は色が濁りやすい、強い直射光が降り注ぐ晴れた日に撮ろう

ナノハナの黄色は青空によく映えるので、光がたっぷりと降り注ぐ天気のいい日には、背景に青空を入れて撮りたいものです。曇っている日や晴れていても太陽が雲で遮られているときは、やわらかい光となるため、通常の花撮影では悪い条件ではありません。しかし、ナノハナのように黄色い色の花では若干濁りが出てしまいます。そんなときは、明るめに露出補正を掛けるときれいに写ります。

そして、鮮やかな青い空を背景にするには快晴時、しかも、太陽の光がナノハナに強く差しているときがベストです。さらに、順光の空だと濃い青空が狙え、PLフィルターを使うのも効果的です。

 

基本テクニック

ナノハナは快晴時に撮影するのがベスト。青空バックがいちばん映える

黄色一色のナノハナ畑において、青空は最適な背景だ。しかも黄色と青は反対色なので、色の差で花がより引き立つ。 青空が生かせないときは周囲のナノハナを背景にするが、色 の差がないのでシャープとボケで差をつけて、主役を際立たせることが必要だ。また日陰を背景にした黒バックだと画面 が引き締まる。いろいろな背景を探して変化をつけてみよう。

 

ナノハナと青空を 捉えるなら順光が◎
ナノハナと青空を組み合わせた基本パターン。強い順光は黄色を鮮やかに見せるし、順光の空は濃度があるので濃く写る。広角系のレンズで花に迫れば、空の最も濃く見える高い位置の空と地上のナノハナ畑の両方を背景に収めることができる。

27ミリ相当 絞り優先オート(F4 1/1000秒)+1補正 ISO100 WB:晴天

 

 

ナノハナが背景のときはボケを生かすこと
薄曇りで青空が望めないため、花を背景にした。色の差がないのでボケを使って目立たせたい。手前の花にピントを合わせ、望遠ズームを使って絞りを開け、花に迫る。さらに、前ボケも入れて主役をやわらかく包み込んでいる。

300ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/1600秒)+1.7補正 ISO200 WB:晴天

 

日陰を背景にすると画面が引き締まるが重たい印象にもなる
日陰を背景にすると黒くなる。目では黒く見えてなくても、花と背景とにある程度の露出差があると写真上では黒く写るのだ。引き締まって見えるが、重たい雰囲気にもなるので、それに合わせて花の向いている方向を切り詰め、寂しげな雰囲気を出した。

120ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/1250秒)+1.7補正 ISO200 WB:晴天

 

応用テクニック①

青空バックにするときは順光で狙う

青空でも、順光と逆光とでは青色の濃度に大きな違いがある。目で見ても順光のほうが濃いのがわかるほど だ。さらに、地上付近と高い位置とでも濃度に差があり、 地上付近は薄く、高い位置は濃い。逆光の空はもともと青の濃度が薄いが、花の手前側が暗くなるのを避けるためにプラス補正を掛けると、画面全体が明るくなる こともあり、逆光ではより青空は白っぽくなってしまう。

 

順光

 

 

逆光

空の色の出方は一目瞭然、順光は青が濃く、逆光は水色っぽい
逆光の写真は、花の前面が陰で暗くならないようプラス2.3の大幅な補正を掛けている。そのせいもあって、空は水色になった。順光の写真は、光が強くナノハナに当たっているため、補正なしで適正露出になった。またかなり下から見上げているため、空の最も濃い部分が背景なっていることもあり、きれいな青空に描写されている。

 

応用テクニック②

光が強いほど黄色いナノハナの存在感は増す

晴れていても雲が湧き始めると、太陽の光が雲で遮られることがある。空は明るいのに花はやや暗くなり、そこに露出差が生じる。このとき露出を空に合わせると花は濁って写り、花に露出を合わせると空の濃度は薄くなってしまう。なので、露出差が生まれない直射光のときがベストなのである。

 

シャッターを切る直前に薄い雲がかかり、光が遮られた。花に露出を合わせるためプラス1.7 の補正をしたことで、空は明るく水色に写った。

 

 

露出補正の差が空の色の出方にも影響する
直射光が差し、花に十分に光が当たっていたので、プラス0.3の露出補正で適正露出なった。上写真との露出補正の差は1.3EVもあるので、空の明るさに差が出たのだ。雲がかかったら、その雲がすぐに抜けるかどうか、風の流れを見て判断するといい。

24ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/1000秒)+0.3補正 ISO200 WB:晴天

 

 

写真・解説/吉住志穂