桜を撮影するとき、どのような背景にするかで、その明るさや色は大きく変化する。その際決め手となるのがそれぞれの背景に見合ったベストな桜色で、それをいかに引き出すかがポイントとなる。背景に応じたベストな桜色コントロール術をマスターして、傑作をモノにしよう。
プロの桜撮影術① 春しか撮れないピンク色のサクラの魅力をいかに引き出すか? https://getnavi.jp/capa/special/291417/
締まった黒、抜ける青空で桜の色をクッキリと見せる
桜は背景とのメリハリをうまく生かすことで、さらにその存在感を際立たせことが出来る。逆光線であれば、シルエットとなった背景を選ぶと、爽やかな桜の白さが引き立つ。階調補正機能をオフにして明暗差を出し、マイナス補正で背景の黒を締めるとより効果的だ。
このときゴーストやフレアが出てしまうとシャドー部が霞んだように明るくなってしまう。そこで、レンズに直接太陽光が入らないよう必要に応じてハレギリを行ない、フレーミング内の明暗のメリハリを保つことが大切だ。
<日陰・青空> 暗い背景はより黒く締め、桜色をクッキリ見せる
暗い背景では階調補正機能をOFFにしてみよう
階調補正機能弱め
階調補正機能標準
階調補正機能OFF
桜の輝く色を強調するには、階調補正機能はOFFに
暗い背景に逆光線で透ける桜を際立たせたい場面。階調補正機能が「標準」だとシャドーに黒の締まりがなく桜が輝かない。「オート」は「弱め」と同程度の効果だが、それでもシャドーが若干明るく見えてしまう。階調補正機能を「オフ」にすることで背景の黒を引き締め、桜色をより際立たせることができた。
絶妙なマイナス補正で黒を引き締め、くっきりした桜色に
−0.3補正
±0
−0.7補正
補正なしでは桜の花が露出オーバーになってしまう
日陰などの暗い背景では、露出計が暗い被写体と判断するため、補正なしでは背景の森が明るくなり、メリハリが出ない。桜の花が白トビして色が失われることもある。そこで-0.7補正すると背景が黒く引き締まり、白く輝いていた桜が際立った。桜の白色の輝きが失われると元も子もないので、明暗の対比が生きる露出判断が大切だ。
青空が背景の場合はややプラス補正に
爽やかな青空に映える桜のピンク色をプラス補正で描く
丘の上に立つシダレザクラを広角レンズで仰ぎ見るように撮影すると、桜の枝振りや空の広がりを生かせる。このとき補正なしでは桜色が沈んでしまうので、+1補正で爽やかな青空と共に輝くような桜色を捉えた。
ニコン D850 AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR 絞り優先オート F11 1/125秒 +1補正 ISO200 WB:5000K
青空を背景にするときは、桜の艶やかな色合いを引き出したい。逆光では肝心な背景の青空の色が薄くなってしまうので、順光やサイド光で狙うのが基本となる。ただし、順光だと桜に立体感がなくなりベタ塗りのようになってしまうので、斜光やサイド光が当たる桜を狙うほうがベターだ。このとき、PLフィルターを使うと青空の深みが増し、青空と桜の対比を描きやすくなる。構図の縦横を変えた場合、PL効果が最大から最小になってしまうので、再度PL効果を調整することを忘れないようにしよう。
また半逆光の場合、桜と青空に大きな明暗差が生まれてしまい青空が薄い色になりがちだ。そんなときは階調補正機能を強めの設定にして青空に深みを増すようにすると、鮮やかで透き通るような桜になってくれる。
±0
+1補正
プラス補正で抜けるような青空に映える桜色に
青空を背景にした桜は補正なしだと露出アンダーになりやすい。プラス補正で爽やかな青空を引き出せば、桜色も明るく輝くように仕上がる。このときは+1補正でソメイヨシノらしい白色となった。補正なしや+0.7補正程度でよい桜色を引き出せることもあるので、モニターを確認しながら補正値を調整したい。
青空を背景とするときはPLフィルターを使ってみよう
PLなし
PLあり
青空に深みが増し、桜も色濃く写る
PLフィルターを使うと空気中の塵などによる乱反射が抑えられ、より深みのある青空に仕上げられる。青空を濃く見せると、深みのある背景との対比で桜色がより際立つ。同時に桜のテカリを抑えられるので、桜らしい濃いピンク色も引き出せる。PLフィルターを回転させて、青空が最も濃くなるよう効果を調整しよう。
写真・解説/深澤武