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女性ポートレートは肌の描写が命!プロはこうして仕上げている

写真家のリアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸 × ソニー Imaging Edge

写真家は作品を仕上げるときに、どのくらいRAW現像やレタッチをしているのだろうか。実際に仕上げ方次第で写真は変わる。撮影後のパソコン作業が多いであろう女性ポートレート写真の、肌をきれいに見せるためのリアルなRAW現像術を萩原和幸さんに聞いた。

 

仕上げのひと手間で写真は劇的に変わる! 萩原流・仕上げの一手

女性ポートレートは肌の描写命!! コントラストと色温度調整で“透明感”のある肌色を目指す

Before(元画像)
リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

After
リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

 

 
撮影前に完成をイメージする
明るい日差しの中でこちらを見つめる女子高生。制服が示すとおり、青春を感じさせる爽やかさと、ナチュラルで透明感のある肌描写を目指したい。まずは、撮影前に完成をイメージすることが大切。その上で撮影時にできるだけのことを行なう。

レフ板を使って撮影時にできるだけ緑カブリを防ぐ
露出の調整は、イメージに応じてどのくらいの肌の明るさにするか決める。撮影場所は樹々に囲まれた公園なので緑カブリする。レフ板を使用し、できるだけ緑被りを防いでおくのもポイントだ。彩度は、撮影時は誇張のないように抑えめにしている。

RAW現像やレタッチが作品にきらめきを与える
私は、撮影時に9割は完成しておきたいと考えている。ポートレートは人物と相対するジャンル。その場の距離感や空気感、匂いが作品の雰囲気を左右する。ゆえにパソコン上での作業は、あくまでも完成イメージに追い込むための補足みたいな感じで、撮影との割合は「9:1」くらいの感覚だ。しかし、その1割でしかないRAW現像やレタッチ作業は、作品にきらめきを与える大切な1割でもあることも自覚している。

最初は露出とコントラストから
RAW現像での手順は、基本的には露出とコントラストからスタートする。いちばん見せたい肌の明るさと、透明感や艶やかさを引き出すメリハリ調整のコントラストを先に行なうと、以降の調整の効果がわかりやすいし、完成イメージがぶれない。その後、色調調整、明暗の階調調整へとつなげることで、若さ溢れる上のカットのような、健康的で、かつ透明感ある肌に仕上がる。あとは余分な髪やほこりなどをレタッチで消して完成だ。今回はRAW現像作業までを紹介する。

 

萩原流・透明感のある肌色に仕上げるRAW現像術

使用ソフト:ソニー Imaging Edge(ver.1.4.00)

リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

 

① コントラストを上げて色調を引き締め、ハイライト部に透明感を出す

透明感を引き出すには、露出と、メリハリを感じさせるコントラストが重要になるので、まずはここから。明るさは撮影時にできるだけ追い込んだので、ここでは後でもう一度細かいコントラスト調整をすることを前提に、やや明るすぎるかなと思う程度までコントラストを上げる。この際、白トビには注意する。

リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

 

② 彩度を上げ、肌を中心に色彩を出す

彩度は鮮やかさとともに華やかさを感じさせてくれる。今回は「+10」にして、肌の色を中心に色彩を引き出した。逆にやりすぎると繊細な階調が失われ、ベタッとした印象になり不自然さが出てしまう。特に唇の発色には細心の注意を払いたい。

リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

 

③ 透明感を出すために色温度調整で若干青みをプラス

色を整える。撮影時のデフォルトWB「太陽光」ではやや黄色に偏り、撮影時にカブリを軽減させているはずの緑も浮き上がってきた。色温度を調整し、自然な肌色を引き出す。ここでは「5100K」にセット。血色の良さも出てきた。やりすぎると青みがかって不健康に見えてくるので気をつける。

リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

 

④ ハイライトを抑えつつ、シャドウは締めて、メリハリを出してRAW現像は完了

今回は背景の緑の濃い部分と髪の階調つぶれを考えて、階調補正「Dレンジオプティマイザー」をほんの少しプラスに。さらに白レベルで白トビしそうな部分を抑え、ハイライトで明るい領域の階調を整える。同様にシャドウ部をやや明るくして階調を出す。やりすぎると黒の締まりが失われるので頃合いを見ながら。最後に黒レベルで黒を締めて、RAW現像は完成。

リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

リアルRAW現像レタッチ術【ポートレート編】萩原和幸

 

 

「白レベル」と「ハイライト」の違いとは?
白レベルは、白(最も明るい色)の強さを決めるところで、数値を低くし暗くすることで白トビ改善につながる。数値を上げて白を明るくすることでコントラストは高くなる。ハイライトは明るい領域の明暗を調整する機能。補正をカバーする領域の違いがあるので、それぞれに目的を持って使い分けると良い。

 

 
〈写真・解説〉萩原和幸
〈モデル〉鈴木海那(シェリーズ・エンタテインメント)