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世界最大のカメラショー「フォトキナ2020」予定通り開催へ、会場では新型コロナ対策も

photokina (フォトキナ) を主催するケルンメッセは、2020年5月にドイツ・ケルンで開催される世界最大の写真・映像用品展示会「フォトキナ2020」の開催概要を説明する記者会見を2020年2月26日に都内で行なった。会見にはドイツ写真工業会のカイ・ヒレブラント会長、クリスチャン・ミューラー リーカー専務理事、ケルンメッセのフォトキナ事業本部長クリストフ・ヴェルナー氏と、日本法人のケルンメッセ株式会社より宮崎元一郎社長の4名が登壇した。

<2020.3.23>
ヨーロッパにおいて新型コロナウイルスへの感染が拡大している状況を受けて、フォトキナ2020の開催中止が発表されました。

 

フォトキナ2020記者会見
▲向かって左からカイ・ヒレブラント氏、クリスチャン・ミューラー リーカー氏、クリストフ・ヴェルナー氏、宮崎元一郎氏。

■現時点ではフォトキナを中止する理由はない

今回の記者会見は、「CP+ (シーピープラス) 2020」の開催スケジュールに合わせて開催されるはずだったものだ。新型コロナウイルスの影響で「CP+2020」は中止となったが、「フォトキナ2020」は現時点では中止する予定はなく、開催する前提で予定通り準備が進められているという。もちろん、会場では効果のある感染予防の措置をとる予定で、救護ステーションには専門の医師や救護アシスタントが待機すると説明があった。

フォトキナ2018ケルンメッセ
▲「フォトキナ2020」の会場となるケルンメッセ。

 

ただし、開催規模は少しコンパクトにならざるを得ないとフォトキナ事業本部長のヴェルナー氏は述べた。その理由はカメラ市場の変化によるもので、カメラの売り上げの減少率が小さくないことが、出展にも影響を与えているとのこと。すでにオリンパス、ニコン、富士フイルム、ライカが出展取りやめを表明しているが、中国企業の出展を前提としていることや、ライカは違う枠組みで出展する予定であることなどが、質問に答える形で説明された。展示ホールは5ホールを予定しているという。これは最盛期の半分にも満たない。

フォトキナ2020記者会見
▲ケルンメッセのフォトキナ事業本部長 クリストフ・ヴェルナー氏。

■コンパクトなイベントにならざるを得ないが新たな企画も展開

「フォトキナ2020」では、ドイツ・カメラプライズと戦略的パートナーシップを結び、ビデオと映画の領域をさらに強化する。またイメージングの大きな変化に焦点を当て、オープニング・キーノートで取り上げるほか、イメージング・イノベーション会議を開催。さらに新たな企画として、イメージングラボを発展させて、世界のスタートアップ企業、イノベーションリーダー、大学、開発者やシンクタンクが一堂に会してイメージング産業の挑戦課題について議論し、先進技術をプレゼンし、イメージングのビジネスモデルを発表する場にしていくのだという。

イメージングに対する関心の高い若年層の来場者の比率が高まっていることから、会場全体にフォトスポットを設けて、カメラを使ってやりたいことを試してもらえるようにする。これは「The Foto-Experience」のコンセプトにヒントを得たもので、特に25歳未満をターゲットにしたフォトキナ初の試みとなるものとしている。

photokina2018
▲2018年9月に開催された前回の「フォトキナ2018」では、女性来場者の多さも目にとまった。

 

また、フォトキナのオンラインチャンネルと見本市の連携もさらに強化。クリエーターがチャンネルや会場でのライブを通して、自分の機材や出展企業の新製品を説明することができるクリエーターラウンジを開催する。これにはレンタル・ポイントで直接新製品を借りて、実際に試すことができるようにするのだそうだ。「コミュニティ・ステージ」は予約でほぼ埋まり、「モバイル・フォトグラフィー」のテーマは、ステージイベントの約1/5を占める予定になっているという。

フォトキナ2018
▲「フォトキナ2018」の会場風景。

■イメージング産業全体でフォトキナを盛り上げたい

ドイツ写真工業会のヒレブラント会長は、スマートフォンの台頭とカメラの販売台数の減少という現実を受け入れるとともに、フォトキナではカメラ産業だけでなくイメージング産業全体を取り上げることを強く望んでいるそうだ。2020年に撮影される画像は1兆400億枚になるという予測や、フォトブックやグリーティングカードなどのフォトフィニッシング業界が急成長していることから、分野横断的なアプローチが必要なのだと説明。また、ロボットが活躍する未来は、カメラとセンサーがなくては実現が難しいことを挙げ、カメラ業界のイノベーションと他産業の創造力とを組み合わせることで、未来への道が開けるのだと述べた。

フォトキナ2020記者会見
▲ドイツ写真工業会のカイ・ヒレブラント会長。

 

フォトフィニッシング業界やスマートフォンメーカーなど、他分野にも出展をアプローチしているということのようではあるが、出展が決まった企業があるかどうかについては明言しなかった。スタートアップ企業の出展決定は遅い傾向があるということで、正確な出展企業の数は、開催の4〜6週間前に発表されるとのこと。2020年5月27日 (水) ~30日 (土) に開催される「フォトキナ2020」の出展社が決まるのは、4月中旬〜下旬頃になりそうだ。

ただし、新型コロナウイルスの影響も予断を許さない状況にある。世界中からの出展、来場、取材を期待しているイベントだけに、渡航禁止や入国制限などの措置が各国で取られ続けると、開催が危ぶまれる事態も想定される。開催まであと3か月。一刻も早い収束を願うばかりだ。

フォトキナ2016

 

 

〈文・写真〉柴田 誠