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CP+2020開催中止へ。新型コロナウイルスの感染拡大で懸念されるカメラ業界への影響

CP+を主催する一般社団法人カメラ映像機器工業会は、2020年2月14日に「CP+ (シーピープラス) 2020」の中止を発表した。総合的カメラ映像ショーとして11年目を迎えるCP+の歴史の中で、全日程中止は初めてとなる。

CP+2020ロゴ

2月27日 (木) 〜3月1日 (日) の4日間、パシフィコ横浜と大さん橋ホールを会場に開催される予定だった「CP+2020」の中止の理由は、新型コロナウイルスへの有効な治療薬や対処法の先行きが見通せない状況を踏まえ、来場者や出展関係者の健康や安全面などを第一に考えた結果と説明している。

 

CP+2020中止案内
▲CP+公式サイトに掲載されている中止の案内。

■御苗場は会場と日程を変更しての開催を検討

また、大さん橋ホールを会場に開催される「御苗場 Vol.26」(主催:株式会社シー・エム・エス) も、「CP+2020」の開催中止を受けて、当初予定していた日程での開催を中止し、会場を変更して開催の延期を検討していることが発表されている。一方「CP+2020」をコアイベントとし、1月から横浜の各所で開催されている「PHOTO YOKOHAMA」(フォト・ヨコハマ) からは、中止や延期といった発表は2月16日時点ではまだない。

 

CP+2019大さん橋ホール
▲「御苗場」などが開催された昨年の「CP+2019」大さん橋ホール会場風景。

 

CP+の来場者数は毎年約7万人。カメラメーカーのほとんどが日本の企業ということもあって、日本で開催されるCP+は、アジア最大級のカメラの展示会になっている。そうした理由もあって、近年は海外からの来場者や取材に訪れる海外メディアも増えている。不特定多数の来場者が、最新のカメラとその関連商品を実際に手に取って、操作感や感触などを確かめることができるのが大きな魅力のコンシューマーショーだけに、来場者の感染リスクを避けることが重要と判断し、中止を決定するに至ったとしている。

 

CP+2019会場風景
▲昨年開催された「CP+2019」パシフィコ横浜の会場風景。

■新型コロナウイルスがカメラ業界にも影響を与える?

各社から次々と新製品が発表され、「CP+2020」開催に向けて連日SNSで発信される登壇者や出展社の情報に期待を膨らませていただけに、中止のアナウンスは残念としか言いようがない。しかし、新型コロナウイルスの感染例は世界各地で見つかっており、収束する見通しも見えない今の状況では、中止の判断は賢明な対処と言える。

EOS R5
▲2月13日に開発発表されたキヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5」は「CP+2020」で初披露の予定だった。

 

今後心配されるのは、部品の供給ができずに製品の販売や出荷が遅れていくことだろう。たとえ工場が中国になかったとしても、何らかの部品が中国製の場合には、生産に遅れが生じるリスクは高い。小さなネジが1つ足りなくても生産がストップしてしまうのだから。

ニコンD6
▲ニコンは、2月12日に発表した「D6」とZレンズについて、新型コロナウイルス感染症の影響により発売延期や供給が遅れる可能性があるとしている。

 

中国国内では春節 (旧正月) 休みの延長を繰り返している状態のため、まだ工場の稼働状況が把握できないところも多くあるようだ。また、都市を丸ごと封鎖して新型コロナウイルスの封じ込めを行っているところがいくつもあるため、物流も大きな打撃を受けている。さらに、税関での検査や消毒などにも時間を要するだろうから、サプライチェーンが正常に機能するようになるには、相当に時間がかかりそうだ。

いずれにしても、新型コロナウイルスが猛威をふるい続ければ、世界中で中止されるイベントや展示会が増えるばかり。1日も早く収束に向かってくれることを願ってやまない。

 

 

〈文〉柴田 誠