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ペット写真家・小川晃代さんの3ステップRAW現像術! 猫のいるシーンでは毛の描写と全体の雰囲気づくりに気を配る

多くのカメラマンはRAW現像で仕上げることを前提に撮影しているが、その現像工程は意外にも簡潔だったりする。今回は、ペット写真家・小川晃代さんが実際に行っているRAW現像を3ステップで紹介する。

<Before(現像前)>


窓際で動きまわる子猫を撮影。光の差し込み具合がコロコロと変わる中、白い毛の部分が白トビしないように少し暗めに撮影した。


<After>

全体の明るさを調整した後、このシチュエーションを生かした色味に。彩度を落とすことで物静かで落ち着いた雰囲気に仕上げた。

 

調整はしすぎず、自然な仕上がりを心掛けている

ペットの撮影では、瞬間を逃さずに撮ることが何よりも重要だ。特に子猫などはじっとしていてくれない。今回は窓際のフチ沿いを歩いてもらおうと猫じゃらしで遊びながら撮影したのだが、ベストポジションにとどまっていてくれるのはほんの一瞬。それを逃さずに撮るため、猫じゃらしの魔術師である夫に猫のあやし係をお願いし、二人一組で撮影している。

 

画面右側にレフ板を置いてはいるものの、猫が右を向いてしまうと顔が暗く写ってしまう。そのため猫が窓際を向くように猫じゃらしで視線を誘導。ペット撮影では被写体を希望どおりに操ってくれるパートナーが重要となる。

 

撮影はRAW+JPEGで行っている。基本はJPEGでそのまま使えるようなフレーミング、明るさ、色温度を目指しているが、白と黒の毛が混ざったペットの場合はより注意深く露出を決めなければならない。特に白い毛が入った被写体の撮影では、白トビをしないように普段よりも暗めに撮り、RAW現像でハイライトとシャドウの調整をして明るさを整える。

 

私がRAW現像で主にする作業は、全体の明るさやハイライト・シャドウの調整、色味の整えだ。さらにISO感度を上げた撮影ではノイズを除去する。あとはその場に添えた小物やシチュエーションの雰囲気に合わせて、絵のテイストを整えていく。RAW現像での調整はあまりやりすぎず、ナチュラルな仕上がりになるように心掛けている。

 

明るさ調整とホワイトバランスでナチュラルな雰囲気に仕上げる

使用ソフト【 ソニー/Imaging Edge Desktop(ver.1.0)】

 

ステップ1. 毛並みがキレイに見えるよう明るさを調整する

<Before>


<After>


暗めに撮影したので、まずは露出補正「+0.6」で画面全体を明るくする。明暗差が激しかったので、コントラストを下げて緩和。ここでは「-10」にした。さらに、薄っすらと明るくなった黒毛部分を締めるために黒レベルを下げ「-6」、白トビを抑えるためにハイライトも「-3」に。このとき「白トビ表示」を出しながら調整していくとわかりやすい。

「シャドウ」と「黒レベル」の違いは?
シャドウは写真の暗い部分を補正するときに使う。プラスにすれば暗い部分が明るく、マイナスにすればより暗くなる。画面内の明るい部分には影響を与えない。黒レベルはシャドウよりも暗い部分(黒)を補正する際に有効。今回はコントラストを下げたことで黒が薄くなったので、黒レベルを下げて黒を締めた。

 

ステップ2. 色温度調整と色補正で少し緑がかった色味を補正する

<Before>


<After>


基本は撮影前にシチュエーションに合った色味に設定して撮っているが、RAW現像でホワイトバランスをいじって、よりイメージに近づけることもある。例えば、少し青みを強くして早朝感を出すなど。だが今回は、ナチュラルに実際の見た目どおりの色味でいくことにした。全体が少し緑がかっていたので、色温度調整「5200K」、色補正「+3」で赤味が増すように微調整する。

 

ステップ3. ナチュラルな木の質感を生かすため、彩度を下げて落ち着いた雰囲気にする



今回は懐かしさを感じるような木の窓枠が印象的だったので、素材感を損なわないように落ち着いた雰囲気を目指す。彩度を下げて色を落とし気味にすることで、古びた感じと静けさを表現。ここでは「-15」を選択した。あえてノイズを加える手法もあるが、今回は手を加えずにナチュラルに仕上げた。これで完成!