ソニーのミラーレスカメラやコンパクトデジタルカメラ利用者に無償で提供されるアプリケーションソフトウェア「Imaging Edge(イメージングエッジ)」。その機能の1つ「Edit」では、RAWやJPEG、TIFFファイルを取り込んで画像の調整を行うことができる。今回は「コントラスト」について解説する。
明暗を調整して、写真の印象を硬くしたり柔らかくしたりする機能
[コントラスト]は、写真の明暗差を調整する機能だ。スライダーをプラス側に動かすと硬い印象の写真になり、マイナス側に動かすと柔らかい印象の写真になる。さらに[白レベル/黒レベル]では明部や暗部を中心に明るさを調整でき、[ハイライト/シャドウ]では写真の最も明るい部分や最も暗い部分の明るさを調整できる。
使いこなし(1)狙いに応じてコントラストを調整する
写真にメリハリ感を与えて硬いイメージに仕上げたいときは[コントラスト]をプラスに、逆に明暗差を抑えて柔らかいイメージにしたいときは[コントラスト]をマイナスに設定する。
<元の写真(±0)>
【改善Point】強い日差しによって濃い影が生じている
元の写真は、晴天の太陽光によって大きな明暗差が生じている。より明暗差を強調してシルエット表現にするか、逆に明暗差を抑えて暗部までしっかり見せるか。狙いに応じて判断しよう。
プラス側への補正
[コントラスト]をプラスにすると明暗差がさらに強くなり、バイクのシルエットが際立つ。硬調な印象になり、造形的な面白さも表現できている。
<コントラスト +50>
<コントラスト +100>
マイナス側への補正
[コントラスト]をマイナスにすると明暗差が弱くなり、つぶれ気味だった暗部もはっきりと見えるようになる。HDR的な表現であり、色もいっそう鮮やかになった。
<コントラスト −50>
<コントラスト −100>
使いこなし(2)白とびを抑え、ハイライト部の階調を出す
[白レベル]は、写真の明るい部分を中心に全体の明度を調整する機能。また[ハイライト]は、暗い部分には影響を与えずに、明るい部分のみの明度を調整する機能で、白とびの軽減にも役立つ。
<元の写真(±0)>
【改善Point】明るい部分が白とびしている
元の写真は、強い日差しによって、白い雲の部分が白とびしている。[白レベル]または[ハイライト]を使って、白とびが目立たないように調整しよう。
2つの機能を複合して調整
この場面では、まずは[白レベル]で明部の白い雲を中心に白とびしないようにマイナス側へ調整。全体の明るさが落ち着いてきたら、左右の木々の明るさを確認しながら、暗い部分に影響を与えない[ハイライト]を使って調整していこう。
<白レベル −50>
<白レベル −100>
<ハイライト −50>
<ハイライト −100>
使いこなし(3)黒つぶれを抑え、シャドウ部の階調を出す
[黒レベル]は、写真の暗い部分を中心に全体の明度を調整する機能だ。また[シャドウ]は、明るい部分には影響を与えずに、暗い部分のみの明度を調整する機能で、黒つぶれの軽減にも役立つ。
<元の写真(±0)>
【改善Point】暗い部分が黒つぶれしている
元の写真は、光が当たらないアーチの内側部分が黒つぶれしている。[黒レベル]または[シャドウ]を使って、黒つぶれが目立たないように調整しよう。
青空が残るように[シャドウ]で調整
ここでは前景のアーチの黒つぶれを補正したいが、空の青さを残しつつ、奥の建物の階調も生かしたい。[黒レベル]では全体がやや明るくなってしまうので、暗い部分の明るさのみを調整できる[シャドウ]を使って調整しよう。
<黒レベル +50>
<黒レベル +100>
<シャドウ +50>
<シャドウ +100>
【参考本紹介】
ソニー イメージングエッジ完全マスター
ソニー純正画像ソフト「Imaging Edge (イメージングエッジ)」のガイドブック。ミラーレスカメラ“α”シリーズをはじめとするデジタルカメラユーザー向けにソニーが無償提供しているイメージングエッジの使いこなし方がわかる。特にRAW現像は、プロの画像調整テクニックを詳しく紹介。カメラとスマートフォンの連携もわかりやすく解説している。
2019年12月24日(火)発売
A4判 オールカラー130ページ
本体 2,500円(税別)
ISBN 978-4-05-611548-2
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