ソニーのミラーレスカメラやコンパクトデジタルカメラ利用者に無償で提供されるアプリケーションソフトウェア「Imaging Edge(イメージングエッジ)」。その機能の1つ「Edit」では、RAWやJPEG、TIFFファイルを取り込んで画像の調整を行うことができる。今回は「周辺光量」について解説する。
※JPEGやTIFFファイルの場合、RAWデータに比べると調整できる項目は限られます
暗くなった周辺の明るさを補正する
[周辺光量]は、暗く写ってしまった写真周辺部の明るさを補正するための機能だ。周辺が暗く写る原因は、使用したレンズの性能や特性、撮影時の設定などさまざま。構図やアングル、被写体によっては周辺光量が不足していても気にならない場合もあるが、違和感を覚える場合は、この機能を使ってきっちりと補正するとよい。
使いこなし(1)3つのスライダーの意味を理解する
まずは[中心部半径]、[中心部強度]、[周辺部強度]という3つのスライダーの働きを理解しておこう。[中心部半径]は中心部と周辺部の境界のことで、[中心部強度]では境界の内側の明るさを、[周辺部強度]では境界の外側の明るさをそれぞれ調整できる。
<元の写真(±0)>
あえて周辺光量が暗くない写真で確認してみよう
ここでは各スライダーの働きを理解するために、周辺光量が低下していない写真を用意した。1つの値だけを変え、他の2つの値を固定しておくことで、周辺部の明るさがどのように変化するかを見てほしい。
中心部半径
[中心部半径]を動かすと、補正する円の大きさが変化する。
<中心部半径 20>
<中心部半径 50>
<中心部半径 100>
中心部強度
[中心部強度]を動かすと、境界の内側の明るさが変化する。
<中心部強度 0>
<中心部強度 50>
<中心部強度 100>
周辺部強度
[周辺部強度]を動かすと、境界の外側の明るさが変化する。
<周辺部強度 0>
<周辺部強度 50>
<周辺部強度 100>
使いこなし(2)レンズ特性による周辺光量の不足を補正する
[周辺光量]機能が最も役立つのは、使用したレンズの特性によって、周辺光量が暗くなってしまった写真を補正する場合だ。強く補正しすぎると逆に不自然になることもあるので、プレビューを確認しながら最適な補正値を探ってみよう。
<元の写真(±0)>
【改善Point】レンズの特性によって四隅の光量が低下
元の写真は、レンズの特性によって周辺光量が低下している。この写真のように背景に空を大きく写すと、周辺光量不足が目立ちやすい傾向にある。これを気にならないように補正しよう。
周辺に白い輪が出ないよう調整を加減しよう
[周辺部強度]を20に設定すると、空の明るさがほぼ均一になり、最適な状態になった。[周辺部強度]を60まで高めると、周辺が白くなって不自然だ。
<中心部半径:50、中心部強度:0、周辺部強度:20>
<中心部半径:50、中心部強度:0、周辺部強度:60>
使いこなし(3)撮影条件が原因となる周辺光量の不足を補正する
レンズの性能とは関係なく、被写体や撮影シーンの状態によって周辺部が暗く写ってしまうことがある。そんなときも[周辺光量]機能によって明るさを補うことが可能だ。
<元の写真(±0)>
【改善Point】照明があたらない周辺部がつぶれ気味
元の写真は、水族館のクラゲの水槽を捉えたもの。水槽のフレーム外の部分は照明があたっていないため暗く沈んだように写っている。これを明るく補正しよう。
水槽のフレームが出るよう[周辺部強度]を上げる
[周辺部強度]を30に設定すると、水槽のフレーム外の部分がやや明るくなったが、まだ不十分。[周辺部強度]を100まで高めると、狙いどおりに周辺が明るくなった。
<中心部半径:50、中心部強度:20、周辺部強度:30>
<中心部半径:50、中心部強度:20、周辺部強度:100>
【参考本紹介】
ソニー イメージングエッジ完全マスター
ソニー純正画像ソフト「Imaging Edge (イメージングエッジ)」のガイドブック。ミラーレスカメラ“α”シリーズをはじめとするデジタルカメラユーザー向けにソニーが無償提供しているイメージングエッジの使いこなし方がわかる。特にRAW現像は、プロの画像調整テクニックを詳しく紹介。カメラとスマートフォンの連携もわかりやすく解説している。
2019年12月24日(火)発売
A4判 オールカラー130ページ
本体 2,500円(税別)
ISBN 978-4-05-611548-2
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