三好和義さんが写真集『東大寺』を上梓した。B2判の超大型本で、小学館の新レーベル「SUMO (すもう) 本」の第一弾となる。
三好さんはこの巨大な判型にふさわしいテーマとして、壮大なスケール感を持つ東大寺を選んだ。
「長い歴史を誇る東大寺の全てを見ていただきたいという思いで制作しました」
三好さんにとって、東大寺は特別な存在といえる。中学時代には徳島から夜行船に乗って奈良に通い、「東大寺から撮影を依頼されるような写真家になりたい」と当時から夢を抱いてきた。本格的に撮影を始めたのは10年ほど前から。その後、夢が現実となり、奈良に居を構えて取り組むようになる。
2年前に出した写真集『天平の楽園・東大寺』では天平時代をテーマにしていたが、今回は鎌倉時代以降も網羅した。大仏殿をはじめ、念願叶って特別に許可を得て撮影した秘仏「法華堂執金剛神立像」、さらに1269回を迎えた今年の修二会、四季折々の佇まいなど、東大寺を長年見つめてきた三好さんだからこそ捉えることのできた、学術的にも貴重な写真が収録されている。
そして特筆すべきは、その圧倒的な迫力と臨場感だ。見開きで横1mとなる本書は、ニコン「Z 7」「Z 6」といったフルサイズミラーレスカメラで高精細に描写されており、肉眼では見えない質感や、いにしえの人々の息遣いまでもが観る者に迫ってくる。
「生涯、最高の写真集ができたと思っています」
大型書店を中心に本書の見本が巡回中で、8月にニコンプラザ新宿 THE GALLERYで開催される三好さんの写真展「日本の楽園島」(2020年8月20日〜9月7日) でも展示される。
三好和義写真集『東大寺』
B2判・902ページ
本体 360,000円(税別)
2020年5月25日発売
小学館
〈文〉鬼沢幸江