富士フイルムは、大口径中望遠単焦点レンズ「フジノンレンズ XF50mmF1.0 R WR」を2020年9月24日に発売する。ミラーレスカメラ用の交換レンズとして、開放F値1.0の明るさを実現した世界初のAFレンズだ。価格は200,000円 (税別)。
「XF50mmF1.0 R WR」は、35mm判換算で76mm相当・開放F値1.0の大口径中望遠単焦点レンズ。Xシリーズ用交換レンズとしては35本目のレンズとなる。当初、Xシリーズで50mmに相当する「焦点距離33mmF1.0」として開発が進められていたレンズで、2018年に公開されたレンズロードマップには、大口径標準単焦点レンズ「XF33mmF1 R WR」と記されていた。
ところが開発を進めていくと、重量1300ｇで台座が必要な大型のレンズとなったことから設計を見直し、焦点距離を50mm (76mm相当) に変更。レンズの描写も開放での解像度優先からボケ味優先に変更して、開放F値1.0の明るさを生かした、なめらかで美しいボケ味を実現したコンパクトなレンズに仕上げた。
■開放F値1.0の明るさ
大口径レンズの採用などにより、開放F値1.0の明るさを実現した「XF50mmF1.0 R WR」は、非球面レンズ1枚、EDレンズ2枚を含む9群12枚のレンズ構成を採用する。ガラスモールド金型に精密加工を施して、ボケの中に発生しやすい同心円状の模様の発生を徹底的に抑制している。
■なめらかで美しいボケ味
「XF50mmF1.0 R WR」は、球面収差をコントロールすることで、なめらかで美しいボケ味を実現し、被写体を際立たせた写真撮影を可能にする。F1.0では背景ボケの柔らかさを重視し、意図的に球面収差をわずかに残しており、開放F1.0では後ろボケの柔らかさを生かした設計となっており、F1.2では「XF56mmF1.2 R」と同等の解像性能を実現。F2.0では「XF90mmF2 R LM WR」のように画面周辺まで口径食の少ない丸いボケを得ることができる。
■ポートレート撮影で威力を発揮
DCモーターの搭載と像面位相差AFとを組み合わせることにより、スムーズなAFを実現。高いピント精度が求められる浅い被写界深度を生かした撮影でも、素早く正確に被写体を捉えることができる。
顔・瞳AF機能に対応しており、ポートレート撮影で威力を発揮する。また「FUJIFILM X-T4」「FUJIFILM X-Pro3」装着時には、低照度限界は−7EVとなっており、暗闇に近い環境下でもスムーズなAFを実現する。
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「X-T4」装着時 |
「X-Pro3」装着時 |
また、フォーカスリングを回した際に被写体のサイズが変化してしまうブリージングは、0.047％に抑えられており、動画撮影でも扱いやすいレンズとなっている。最短撮影距離は0.7ｍ、絞り羽根は9枚の円形絞りを採用する。
■操作性
マニュアルフォーカス (MF) リングの操作性が改善され、MFリングの分解能は従来比8倍を実現する。また回転角120°と、小さな動きでリングを回すことができるため、最短撮影距離から無限遠まで、ピント位置を素早く調整することが可能で、滑らかな操作性も実現した。
■その他の機能
開放F値1.0と極めて明るいレンズながら、質量845ｇ・全長103.5mmと優れた携帯性を発揮する。鏡筒の11か所にはシーリングが施されており、防塵・防滴・−10℃の耐低温構造となっている。
また、デジタルカメラ側のファームウェアを最新版に更新することで、開放F値1.0で撮影した際の色シェーディング (色ムラ) の補正が可能となる。
FUJIFILM フジノンレンズ XF50mm F1.0 R WR 主な仕様
マウント FUJIFILM Xマウント
焦点距離 50mm (35mm判換算 76mm相当)
開放絞り F1.0
最小絞り F16
レンズ構成 9群12枚 (非球面レンズ1枚、EDレンズ2枚)
画角 31.7°
絞り羽根枚数 9枚 (円形絞り)
最短撮影距離 70cm
最大撮影倍率 0.08倍
フィルターサイズ φ77mm
サイズ (最大径×長さ) 約φ87×103.5mm
質量 約845ｇ
〈文〉柴田 誠