機材レポート

8年ぶりの新モデルは上質感も表現力も進化していた!「OLYMPUS PEN E-P7」実写レビュー

オリンパスPEN E-Pシリーズに8年ぶりの新モデル「PEN E-P7」が登場。個性的な写真表現が楽しめるカメラに進化した。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー

手軽に使える楽しさと「PEN-F」の上質感を両立

ミラーレス一眼ブームの火付け役となった「オリンパス PEN E-P1」が発売されたのが2009年7月。そこから「オリンパス PEN E-P5」(2013年6月発売)、「PEN-F」(2016年1月発売) に至るまで高級志向が続いたが、以降は廉価なE-PLだけが「10」までシリーズ展開され、メーカーとしてはOM-Dシリーズに力を入れる状況が続いていた。

「PEN E-P7」は見た目も小さく、337gと軽量に作られているが、シリーズの特徴であるシンプルで上質なデザインは踏襲。アルミ削り出しの2ダイヤルで操作性を向上させたり、「プロファイルコントロール」をボディ前面に搭載するなど、クラシカルデザインで人気の「PEN-F」を彷彿させる。

モノクロプロファイルでスナップがアートに

ボディ、レンズを含め、ミラーレス機の大型化はユーザーにとって悩みの種。その点、「PEN E-P7」は小型軽量でかさばらず、バッグから取り出しスッと撮れる。プロファイルコントロールやアートフィルターで作品アレンジも思いのままだ。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー
OLYMPUS PEN E-P7 M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ 絞り優先オート F5.6 1/1600秒 -0.3補正 ISO200 WB : 晴天 モノクロプロファイル : プリセット2

高品位なアルミ削り出しパーツを採用

各ダイヤルにはアルミ削り出しパーツを採用。フロントダイヤルやリアダイヤル、モードダイヤルの周囲にはローレット加工が施され操作性にも配慮。「PEN-F」を彷彿させる上質なデザインを追求している。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー

今の時代にマッチした機能を搭載

M.ZUIKO DIGITALの描写力を最大限発揮してくれるのが2000万画素のLive MOSセンサーと画像処理エンジンTruePic VIII。最大4.5段のボディ内5軸手ブレ補正も高画質を支えている。121点のAFポイントによる高精度なピント合わせや顔優先・瞳優先AF、タッチ操作、内蔵フラッシュなども幅広い層に受け入れられる設計だ。

下方向180°、上方向80°まで可動する下開きチルト式モニターは自撮りに使え、高精細な4K動画を手持ち撮影したり、専用アプリ「OI Share」を使ってスマホと連携し、画像転送や遠隔撮影など多様な使い方ができるので、スマホやSNS発信を楽しむ現代ユーザーにもマッチしている。

カラスの幼鳥をチルト液晶で俯瞰して狙う

知人宅のベランダにてカラスの巣を俯瞰撮影。日差しが強くコントラストの高い条件だったが、幼鳥の毛並みや、黒羽の階調や質感も明瞭に出ている。天気の良い屋外撮影では、液晶モニターを明るめに調整すると見やすくなる。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー
OLYMPUS PEN E-P7 M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO 絞り優先オート F2.8 1/4000秒 -0.7補正 ISO200 WB : 晴天

チルト式モニターが撮影の幅を広げる

下方向180°、上方向80°まで動く下開きチルト式モニター。ハイアングルやローアングル、自撮り、悪条件の場所など、角度を変えることで撮影の幅が広がる。タッチ操作で撮影や設定変更も可能。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー

強力な5軸手ブレ補正が速写をアシスト

ピッチとヨーの2種類の並進ブレに加え、ボディ内手ブレ補正だから抑制できる光軸回転ブレを最大4.5段補正。暗所撮影はもちろん、とっさのシャッターチャンスにも効果絶大だ。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー

仕上がりをカスタマイズして自分だけの写真表現を楽しむ

プロファイルコントロールはフィルム風に仕上げられる人気の機能だが、これまでに搭載されたのは「PEN-F」のみ。それ以外のユーザーはRAW現像で楽しむしかなかった。「PEN-F」ではダイヤルで「OFF / ART / COLOR / MONO」を選んでいたが、「PEN E-P7」では「通常撮影 / プロファイルコントロール」の切り替えスイッチとなり、細かい設定はメニューで行なう。ユーザーにとっては好みの設定が見つかれば、撮影中は頻繁に変更することもないため「PEN E-P7」のほうが親切な設計に感じられる。

プロファイルコントロールはカラー、モノクロともにプリセットが4種類あるが、設定をカスタマイズすれば世界に一つだけの表現が生まれるかもしれない。「PEN E-P7」は個性的な作品づくりが手軽に楽しめるカメラだ。

モノクロフィルムの絵作りをデジタルで再現

モノクロプロファイルを「プリセット2」に設定するだけで、コントラスト高めのザラッとしたモノクロフィルム風に仕上がった。カラーフィルターやシェーディング、ハイライト&シャドウも調整できるので、モノクロ現像をやっていた人には懐かしく、デジタル世代には新鮮に映るかもしれない。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー
OLYMPUS PEN E-P7 M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ 絞り優先オート F5.5 1/500 秒 -0.3補正 ISO200 WB : 晴天 モノクロプロファイル : プリセット2

インパクトのある色彩で印象的に描く

コッテリとしたインパクトのある色調に仕上がる「クロームフィルムリッチカラー」(プリセット2) で撮影。4つのプリセット以外にも12色の彩度調整や、モノクロプロファイルと同様にシェーディング、ハイライト&シャドウも調整できるため、より自分好みの表現が可能だ。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー
OLYMPUS PEN E-P7 M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 絞り優先オート F2.2 1/800秒 -0.3補正 ISO200 WB : 晴天 カラープロファイル : プリセット2

2つのダイヤルで直感的にコントロール

手のひらサイズのコンパクトボディに2つのダイヤルを装備し、絞りやシャッタースピード、感度などを素早くコントロール可能。ボディ上面左側にフラッシュを内蔵し、背面のアクセサリーポートは廃止された。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー

クリエイティブな写真表現がカンタン

ボディ前面にプロファイルコントロールスイッチを装備。カラー、モノクロともにプリセットが用意され、カスタマイズすることもできる。

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー

OLYMPUS PEN E-P7

OLYMPUS PEN E-P7 実写レビュー

発売日 2021年6月25日
参考価格 ボディ 94,000円、14-42mm EZ レンズキット 108,000円 (いずれも税込)

カラー シルバー、ホワイト
マウント マイクロフォーサーズマウント
撮像素子 有効約2030万画素 4/3型 Live MOSセンサー
画像処理エンジン TruePic VIII
ISO感度 ISO 200〜25600 (ISO LOW 約100相当)
AFシステム 121点 (コントラストAF)
シャッター 最高1/4000秒 (電子シャッター 最高1/16000秒)
連写 約8.7コマ/秒 (連写H)
手ブレ補正 ボディ内5軸手ブレ補正 (補正効果4.5段)
内蔵フラッシュ GN5.4 (ISO100・m)
ファインダー 非搭載
液晶モニター 3.0型 約104万ドット (上80°/ 下180°チルト式・タッチパネル)
動画機能 4K/30p対応 (約29分)
大きさ 幅118.3×高さ68.5×奥行き38.1mm (突起部を除く)
質量 337g (バッテリー、メモリーカードを含む)

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。