ニコンから2本の標準ズームレンズが登場した。開放F2.8とは思えないスリムな「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」と、ニコンユーザー待望の新24-120mm F4「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」。その実力を実写で検証した。まずは「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」からチェック!
- NIKKOR Z 28-75mm f/2.8 実写レビュー
- NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 実写レビュー
コンパクトでコスパに優れた大口径標準ズーム「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」
Zレンズ群の構築に注力するニコン。なかでも標準域をカバーするFXフォーマットが手厚い。これまでもキットレンズとして定評のあった「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」と、高級タイプの「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」が用意されていたが、そこへ新たに「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」と「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」が仲間入りした。豊富なラインアップに目移りするが、ニューフェースの「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」から見ていこう。
開放の柔らかな描写とボケを生かしてスナップ
日常のちょっとしたシーンでも、ボケを楽しめるのが大口径ズームの良さ。前ボケ、後ボケともに自然で好感が持てる。開放では少し柔らかな印象だが、絞り込むにつれてシャープさが増す。
光の反射を強調しF8のシャープな画質で印象的に
絞り開放から2~3段絞り込めば画質は向上。橋脚のコンクリートや鋲などの質感が、「Z 7II」の高精細画質との相乗効果で、気持ちのいい描写を見せる。ここでは橋脚の反射を強調させるため、マイナス補正を加えて撮影した。
明るい開放F値がここぞという時に役立つ
シャッター速度1/6秒では、歩道を歩く人物の足だけが残像として残った。カメラ内手ブレ補正の公称値は約5段。大口径レンズでは、ISO感度とシャッター速度の組み合わせにゆとりができるのがうれしい。
広角端で近づき背景を生かしてクローズアップ
最大撮影倍率は0.34倍。広角側の最短撮影距離でおおむね名刺サイズを画面いっぱいにできる。描写性能はマクロレンズには及ばないが、中心部はまずまず。複写のような使い方でなければ気にならない。
スリムな大口径ズームでF2.8のボケが手軽に楽しめる
「NIKKOR Z 28-75mm f/2.8」は大口径でありながらスリムなスタイルが目を引く。24-70mm F2.8が主流になるまでは、高級ズームレンズの代名詞的な存在だったが、現代においてはライトな大口径ズームとしての立ち位置だ。最新技術を駆使したレンズは、細身でフィルター径は67mm。レンズ情報パネルやレンズFnボタンは割愛されているが、「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」比では240g軽い約565gを実現している。
シンプルな作りだが、ズームリングの幅はタップリ設けられ、操作性は上々。本来、大口径レンズがあまり得意ではなかった近接撮影も、広角側でおおむね名刺サイズまで寄れるので、日常的に使うにはマクロ撮影も十分楽しめる。名称にSラインの称号は与えられていないが、描写は全体的に不足を感じることはなく、カメラ自身の性能を存分に引き出してくれる。
フルサイズの持つ大きなボケを楽しみたい、暗いシーンでもゆとりがほしい、軽快に動きたいという願望を、お手ごろな予算で実現したいユーザーにピッタリのズームレンズだ。
扱いやすいスリムでシンプルなデザイン
F2.8の大口径ズームにも関わらず、細身で最大径は75mm。ズームリングとコントロールリングのみの極めてシンプルなデザインで、操作に戸惑うことはない。
幅広のズームリングでスムーズに操作できる
フードは2本爪の花型を採用。フィルター径は67mm。ズームリングは幅が広く操作しやすい。ワイド側からテレ側に回すと全長は約25mm伸びる。ズーム自体もトルク変動がなくスムーズだ。
最新光学設計により画質性能と小型化を両立
スーパーEDレンズ1枚、EDレンズ1 枚、非球面レンズ3枚を含む12群15枚構成。防塵・防滴に配慮しつつ、前玉には防汚コーティングが施されている。
NIKKOR Z 28-75mm f/2.8
発売日 2022年1月28日
希望小売価格 140,800円 (税込)
マウント ニコンZマウント
レンズ構成 12群15枚
最短撮影距離 0.19m (焦点距離28mm) 〜0.39m (焦点距離75mm)
最大撮影倍率 0.34倍
絞り羽根枚数 9枚 (円形絞り)
フィルター径 φ67mm
最大径×長さ 約φ75×120.5mm
質量 約565g
※本レポートは『CAPA』2022年2月号掲載の記事を再構成したものです。撮影にはベータ機を使用しています。