デジタルカメラなら、連写で捉えた夜空の写真を比較明合成するだけで、幻想的な星の光跡が撮影できます。CAPA創刊40周年フォトコンテストで優秀賞を受賞した湯淺光則さんに、いま注目の比較明合成テクニックを聞きました。今回は応用編第2弾として、ホタルの光を幻想的に演出するコツを紹介します。
目次
- 比較明合成の撮影テクニック
- 比較明合成の合成テクニック
- 比較明合成の応用テクニック : 星の光跡+人物
- 比較明合成の応用テクニック : ホタル
ヒメボタルの比較明合成に挑戦しよう
初夏のフィールドでヒメボタルを撮影した。15~30分程度の長時間露光で撮ることもできるが、星の光跡撮影と同様に、シャッタースピード30秒で連写して比較明合成すれば、幻想的なヒメボタルの写真が出来上がる。
撮り方自体は星の光跡撮影と特に違いはないが、星よりもヒメボタルのほうが暗いので、開放F1.4などの大口径単焦点レンズを使い、ISO感度を少し上げて撮影するとよい。
撮影カットをすべて比較明合成して、光の絨毯のように埋め尽くした写真もよいが、合成するカットを厳選すると違った雰囲気の写真に仕上がる。ホタルの比較明合成は星の光跡のように連続性がなくても違和感がないので、いろいろ試してみるとよいだろう。まずはホタルを連写で撮影して、比較明合成にチャレンジしてみよう。
ヒメボタルを美しく捉える撮影の基本
① 大口径レンズで淡い光を捉える
星の光跡撮影と基本的に同じだが、ホタルの光は星よりも暗く、シャッタースピード30秒、ISO感度は3200を基本に、大口径単焦点レンズで撮影する。
② 明るいうちに絵になる構図を決める
背景となる風景も重要だ。暗くなってからでは難しいので、明るいうちに構図を決めピントを合わせておく。ホタルが光り始めたら撮影を開始する。
③ きれいな光のカットを選んで合成
ホタルの光がいびつに写ったものや車のライトが入ったカットなどを外して比較明合成する。星の光跡では連続性がなくなってしまうが、ホタルの写真では違和感なく合成できる。
こんな写真ができる!
点滅するヒメボタルを30枚の比較明合成で印象的に写し出す
ホタルの撮影も星の光跡撮影と大きな違いはない。シャッタースピード30秒で連続撮影した中から、丸くきれいに光っているカットをバランス良く30枚選んで比較明合成した。ふんわりと奥行きのあるホタルの写真になった。
厳選した4枚を合成して穏やかに光る様子を描く
数十枚ものカットを使わなくても、厳選した少数のコマを比較明合成すると、見た目の印象に近い落ち着きのあるホタルの写真になる。同時に撮影したカットから、イメージの異なる写真を作ることができる。
比較明合成で捉えるホタル撮影のポイント
- 明るいうちに雰囲気の良い場所を探してカメラをセット。
- ホタルが飛び始めたら飛び終わるまで数時間連続で撮影する。
- わずかな光で失敗するのでモニター表示はオフにする。