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どうやって撮ればいい? 星の軌跡をキレイに写す「比較明合成」のテクニック

デジタルカメラなら、連写で捉えた夜空の写真を比較明合成するだけで、幻想的な星の光跡が撮影できます。CAPA創刊40周年フォトコンテストで優秀賞を受賞した湯淺光則さんに、いま注目の比較明合成テクニックを聞きました。まずは基本の撮影方法から紹介します。

比較明合成の撮影テクニック

目次

  1. 比較明合成の撮影テクニック
  2. 比較明合成の合成テクニック
  3. 比較明合成の応用テクニック : 星の光跡+人物
  4. 比較明合成の応用テクニック : ホタル

「比較明合成」ってナニ?

比較明合成とは、複数枚の画像を重ねて1枚の画像に合成する際に、ピクセルごとの明るさを比較して、明るいほうのピクセルを選んで合成する方式のこと。光の動きを連続で撮影した画像を比較明合成することで、光跡として描くことができるので、星の光跡撮影やホタルの撮影によく用いられる。また加算平均合成とは、ピクセルごとの明るさの平均をとる合成のこと。滑らかな画像に仕上がるが、光跡は薄く目立たなくなる。

比較明合成でこんな写真に仕上がる!

東の空を超広角で狙い光跡の面白さを捉える

星の光跡が直線となる東の空を中心に撮影。左に行くほど北、右に行くほど南の方角となり、光跡のアールがきつくなっていくのが面白い。この写真では光跡の両端を露出調整してスムーズに描いている。

比較明合成の撮影テクニック
キヤノン EOS 6D サムヤン MF 14mm F2.8 絞りF4 300秒×60枚 ISO1600 WB : オート RAWデータ

三脚でカメラを固定し低速シャッターで連写しよう

光跡を捉えるためのポイント

  1. どの方角の星の光跡が、どのような形になるのか事前に調べておく。
  2. 撮影中に雲がかかるときれいに合成できないので天候を確認しておく。
  3. ほかに撮影者がいたり、車などが通ったりする場所は避ける。

北極星を中心とした日周運動の写真を見たことがあるだろう。フィルム時代は長時間露光が基本だったが、デジタルカメラでは連続撮影した写真を比較明合成して仕上げることができる。

撮影自体は簡単だ。三脚にカメラを据え、ピントはMFで無限遠に固定すればよい。シャッタースピードは30秒を基本に、絞りとISO感度を決めていく。テスト撮影ができれば確実だが、絞りF4・ISO1600を中心に考えるといいだろう。

星をたくさん捉えたい場合はISO3200、やや少なめでもきれい画質を求めるならISO1600やISO800に設定する。シャッタースピードやISO感度を変えたり、ソフトフィルターを使ったり、自分だけの表現を見つけよう。

30秒の露光で連続して2~3時間程度は撮影したいので、途中で雲が掛かると撮影が台無しになってしまう。また、車が通るような場所はライトが写り込んでしまうので、天候や撮影場所は事前に調べておくことが大切だ。

何を準備すればいい? 比較明合成のための撮影の基本

① 高感度に強いカメラと超広角レンズで狙う

美しい光跡を捉えるにはセンサーサイズが大きく、高感度画質に優れたカメラがおすすめ。レンズは星空をダイナミックに狙える広角から超広角が面白い。画面周辺まで星が点に写る高性能レンズが理想だ。

比較明合成の撮影テクニック

② 1カット30秒を基本に絞りF4・ISO1600で連写

多くのカメラはマニュアル設定時の最長シャッタースピードが30秒なので、1カット30秒を基本に連続撮影するのがカンタン。絞りF4、ISO1600を中心に撮影するといい。

比較明合成の撮影テクニック

③ 長時間撮影のためのアクセサリーを準備

三脚は通常の撮影よりもしっかりしたタイプを選ぼう。撮影はインターバルタイマーでも代用できるが、インターバルを「0」にできない場合はレリーズが望ましい。夜間の長時間撮影になるため、レンズヒーターも準備しよう。

比較明合成の撮影テクニック

長時間の1枚撮りはノイズとの戦い!

何十分もの長時間露光はノイズだらけの写真になってしまう。カメラのノイズリダクションは、露光時間と同じ時間が処理にかかるので現実的ではない。撮影後にRAW現像やレタッチでノイズを処理する必要がある。

50分長時間露光で撮影した例

比較明合成の撮影テクニック
キヤノン EOS 6D カールツァイス Distagon 21mm F2.8 絞りF8 50分 ISO200 WB : オート RAWデータ
比較明合成の撮影テクニック
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次回は比較明合成の合成テクニックを紹介します。