機材レポート

F2.8通しの小さな大口径超広角ズームレンズを実写チェック! SIGMA 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2022年9月号 Other Shots

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年9月号
ソニー α7 IV + FE 50mm F1.2 GM (左)、シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary (右)

伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』本誌人気連載の「レンズパラダイス」。2022年9月号の「レンズパラダイス」Other Shotsは、16mmをカバーしながらF2.8の明るさと小型軽量化を実現した「シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary」と、カメラグランプリ2022レンズ賞を受賞した大口径標準レンズ「ソニー FE 50mm F1.2 GM」の描写性能をチェックしてみた。

前編では「シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary」の描写を実写作例で見ていこう。

目次

  1. シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
  2. ソニー FE 50mm F1.2 GM 実写チェック

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック

スペック
[マウント] Lマウント、ソニーEマウント [最大径×長さ] Lマウント φ77.2×100.6mm、Eマウント φ77.2×102.6mm [重さ] 450g [レンズ構成] 11群16枚 [最短撮影距離] 25cm [最大撮影倍率] 0.18倍 [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ72mm

参考価格 126,500円 (税込)

F8まで絞れば周辺まできっちり解像

所沢航空記念公園に屋外展示されているC-46A輸送機。F8まで絞っているが、像面が湾曲していたり、周辺解像が悪いレンズだと、手前の樹や周辺の芝目の描写が乱れやすいが、このレンズならワイド側で中遠景を狙う場合は、F8まで絞れば周辺までキリッとした解像が得られる。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F8 1/320秒 -1補正 ISO100 WB : 太陽光 C-PLフィルター使用 (16.8mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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色ズレやにじみもなく収差も感じない

西武新宿線・航空公園駅の東口駅前広場で展示されているエアーニッポンのYS-11。C-46A輸送機と同じF8で撮影しているが、YS-11までの距離が近いので、左に見える遠くのマンションは微妙に被写界深度外。手前のフェンスは色ズレやにじみもなく、解像限界で偽色が浮くほど解像している。歪曲収差も感じない。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F8 1/640秒 -0.7補正 ISO100 WB : 太陽光 C-PLフィルター使用 (16mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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細部まで鮮明な描写が得られる

所沢航空記念公園のC-46A輸送機を囲んでいるフェンスの上から撮影。フェンス内で草刈り作業中だったため、作業する人を入れないように切り取ってみた。これまたF8での撮影だが、奥行きのある被写体を撮る際にはこれくらいの絞り値が小絞りボケの影響が軽微で、レンズの解像性能を生かすことができる。C-46Aのリベットや塗装のテクスチャーまで鮮明な描写だ。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F8 1/320秒 -0.3補正 ISO100 WB : 太陽光 C-PLフィルター使用 (19.5mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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キレのよい解像と滑らかなボケで自然な奥行き感に

ひまわりガーデン武蔵村山にて。団地の建て替えで空き地になっていたエリアに毎年ヒマワリが植えられていたが、それも今年で最後。例年になく見事な咲きっぷりで、これで撮り収めということで、開催初日から3日間連続で撮影してきた。トップライトに照らされた後ろ姿に妙に惹かれたので、手前のヒマワリに寄って、絞り開放で撮影。少し周辺減光はあるが、キレのよい解像と滑らかなボケで、自然な奥行き感が出ている。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F2.8 1/1000秒 ISO100 WB : 太陽光 C-PLフィルター使用 (21mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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違うほうを向くヒマワリにワイド端で迫り孤高感を強調

ヒマワリが太陽の動きに合わせて首を振るのは成長段階で、花が咲くときには、太陽が昇る東の空を向くのが基本。ただ、朝に日陰になっていたり、ほかのヒマワリの陰になってしまうと、より多くの光を浴びようと南や西向きで咲く個体もあり、これもその例。みんな東の空を向いているのに、一人だけ西を向いている孤高感がおもしろく、ワイド端絞り開放で迫り、この個体以外をぼかしてみた。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F2.8 1/1250秒 +0.7補正 ISO100 WB : 太陽光 C-PLフィルター使用 (16mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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解像とボケの描写が絶妙なバランス

テレ端の28mm絞り開放で撮影。ボクはヒマワリの中央に陰ができず、明るく見えるのが好きなので、午前7時から午前10時がゴールデンタイム。これは9時20分過ぎに撮影したカットで、電線や建物を入れないように、カメラをローポジションで構え、後ろのヒマワリがバランスよく見える構図を模索してみた。一般的な大口径標準ズームの絞り開放よりも解像とボケのバランスが取れた描写だと思う。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F2.8 1/1000秒 +1補正 ISO100 WB : 太陽光 C-PLフィルター使用 (28mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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周辺部の点光源はF5.6で点に写る

横浜大桟橋からの暮景。絞り開放でも試してみたが、みなとみらいのビル群の周辺描写が微妙に乱れ、手前の港湾施設も微妙に甘くなるので、最終的にはF5.6まで絞って撮影。絞り開放では周辺の点光源がコマ収差の影響でくさび形になりやすいが、F5.6まで絞ればピクセル等倍でもちゃんと点に写る。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F5.6 1.6秒 +1補正 ISO100 WB : 太陽光 (16mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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絞り開放時はライブビュー拡大でピント合わせをしたい

ワイド端絞り開放では、周辺解像が微妙に低下するので、画面中央でピントを合わせるのではなく、左端に見えるビルをライブビューで拡大し、周辺解像重視でピントを合わせて撮影。ごく周辺部は少しだけ解像とコントラストの低下があるものの、ワイド端絞り開放としては安定した解像が得られている。このレンズは、わずかなピント位置の違いで絞り開放時の周辺解像が変わるので、ライブビュー拡大をうまく利用してピントを合わせるのが解像を引き出すコツだ。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F2.8 1/80秒 ISO400 WB : 太陽光 (16mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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ゴーストはほとんど生じず、光条はやや太めに伸びる

光条の出方を確認するため、画面内に太陽を入れてF13まで絞って撮影してみた。葉っぱの隙間などに太陽を入れればもう少し光条が伸びるが、光条の線はやや太め。ただ、逆光でも目立ったゴーストが出にくく、かなり意地悪にテストしない限り、作画を破綻させるようなゴーストは出ない。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F13 1/200秒 -1.3補正 ISO100 WB : 太陽光 (16mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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逆光でもゴーストやフレアは感じない

同じく逆光テスト。夕日で少しは眩しさが低減しているとはいえ、並のレンズなら淡いゴーストやフレアが出てもおかしくはないシチュエーション。光源周り以外が暗く、なおかつ、露出オーバーで撮影しない限り、目立ったゴーストは生じず、フレアも少なめなので、安心して太陽を画面内に入れた構図で撮影できる。センサーの焼き付きには注意したい。

シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
ソニー α7R IV シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 絞り優先オート F11 1/125秒 -0.3補正 ISO100 WB : 太陽光 (20.8mm域)
シグマ 16-28mm F2.8 DG DN | Contemporary 実写チェック
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※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。

後編では「ソニー FE 50mm F1.2 GM」の描写力をチェックします。