2023年7月25日から28日まで北海道・東川町で開催された「写真甲子園」。今年も全国各地から昨年の過去最多を超える584校の応募があった。1994年よりフィルムカメラで始まった写真甲子園は、今年で30回目の開催となり、町全体でも大きな盛り上がりを見せた。高校生が猛暑の中を駆け抜けた、本戦大会のレポートをお届け!
「心・技・眼」がキーワード! 写真づくしの4日間
写真の町・東川町で毎年開催されている写真甲子園(全国高等学校写真選手権大会)。今年も応募校は過去最多を記録し、全国の高校写真部員たちの「憧れの舞台」となっている。そして、今年は昨年の大会期間中に途中棄権となった1校が特別招聘校として参加し、例年より1校多い19校で競い合った。大会期間中の4日間で2つのテーマが与えられ、選手は高校生らしい自由な発想と視点で撮影に挑む。開会式で審査委員長を務める立木義浩氏は「自分のことを信じて、ブレずに大会を楽しんでほしい」と話した。
写真甲子園とは
主なルール
大会の基本ルールは「同一条件下」。貸し出された機材やアクセサリーは19校全て同じ。撮影時の記録画質はJPEGのみ。クリエイティブフィルターの使用やアスペクト比の変更、画像のトリミング、撮影後の画像加工は禁止。ただし、撮影時のホワイトバランスとピクチャースタイルの変更は可能。撮影後の写真の編集も禁止されているため、「撮って出し」の写真で勝負しなければならない。また、監督が選手のカメラのファインダーを覗いたり、撮影画像を確認したり、撮影機材に触れたりすることも厳密に禁止されており、選手の自主性を大切にしたアドバイスのみが許される。
使用機材
キヤノンマーケティングジャパンからEOS RPとRF24-105mm F4-7.1 IS STMが各3台、ほかにRF24-240mm F4-6.3 IS USM、RF35mm F1.8 MACRO IS STM、ストロボなどが貸与される。
撮影テーマ
撮影競技が行なわれる3日間の提出作品には2つのテーマが与えられる。今年は初日のファースト公開審査のテーマが「あふれる」、最終日のファイナル審査は「えん」。
審査員について
審査員は6名。写真家の立木義浩氏、公文健太郎氏、中西敏貴氏、須藤絢乃氏、鵜川真由子氏、浅田政志氏。採点はテーマ性、技術力・構成力、表現力・独創性の観点で行なわれる。「一緒に考え、悩み、汗をかいて作品を発表する」選手主体の大会だ。
まるで運動部!? 3人で挑む撮影競技
大会1日目
撮影地:上富良野町、東神楽町・旭川市
撮影は1ステージ約2時間で行なわれ、例年東川町周辺の上富良野町、美瑛町、旭川市、東神楽町が主な撮影地となる。しかし、毎年エリアが異なるため誰も撮影地を予測できない。撮影地は撮影日の前日に発表されるため、選手たちの日ごろの練習や瞬発力が試される。
撮影ステージではチーム全員で行動する学校や、個人で動く学校などさまざま。通常は個人種目の写真部だが、写真甲子園ではチームワークも重視される。
初日は北海道を感じる広大なエリアがステージ。農村地帯から鉄工場まで、高校生の自由な目線で撮影された。
大会2日目
撮影地:美瑛町、東川町
大会3日目
撮影地:東川町
夢の舞台・東川町で表現する「私たちの写真」
セレクト会議
撮影後は公開審査会に向け、膨大な写真を2時間かけてセレクト。3人で8枚組を作り上げ、タイトルを付ける。監督の先生は限られた20分間のみ指導が許される。ファイナル公開審査では得点が1.5倍となるので、最後まで諦めないモチベーションも必須だ。
8色染料インク搭載のキヤノンPRO-S1が各校に貸し出された。
審査会
審査会では各校1分間作品をアピール後、プロジェクターに作品が投影され、審査となる。作品を講評する言葉の中には厳しい内容もあったが、次の撮影へのアドバイスや鼓舞する言葉など、普段なかなか聞くことのできない写真家からの講評に選手たちは夢中で聞き入っていた。
上記のハードスケジュールに加え、今年の大会は連日猛暑に見舞われ、朝早くから夜遅くまで続く写真づけの日々は、体力や精神力も求められた。