「ロモグラフィック・ソサイエティ・インターナショナル」 は、1992年にオーストリアのウィーンで設立され、アナログ、実験、クリエイティブな写真活動を中心にグローバルに展開している。昨年30周年を迎えたロモグラフィーの創業者であるマティアス・フィーグル・ビバウィーさんとサリー・ビバウィーさんが来日したのを機に、インタビューを申し込んだところ、快く受けてくれた。
写真を撮ること、いい写真との出会いを楽しんでほしい
── ロモグラフィーのモットー “Don’t Think, Just” について教えてください。
ひと言で言えば毎日の瞬間、何でもない日常をスナップするように撮る。カメラマンではない普通の人が、写真を撮ることを楽しんでほしいということで生まれた考え方です。90年代は写真はしっかりカメラを構えて、1カット1カット大切な瞬間を撮るものでしたから。
マティアス・フィーグル・ビバウィーさん |
サリー・ビバウィーさん |
── ロモグラフィーの製品はどんな人たちに使ってもらいたいと思って開発していますか?
ロモグラフィーとしては、ピントが合っていないとか、ぶれている写真もいい写真だと思っています。その瞬間はもう戻らないから、瞬間を収めるということが意味のあることなんです。そんな時間を大事にする人、みんなに使ってもらいたいと思っています。
── ロモグラフィーのビジネスモデルを教えてください。
販売している商品はフィルムなどアナログの製品ですが、オンラインで写真のコミュニケーションを目的にしたサイトを運営して、デジタルな活動も行なっています。オフラインではワークショップをやったり、イベントを企画しています。商品の販売は基本は卸売りです。大企業やチェーン店ではなく、個人経営のお店を重視しています。その方が強いつながりが持てますから。
── ロモグラフィーのサイトはどんな特徴がありますか。
いろいろな人のアーカイブを見ることができて、作品の発表もできるのが特徴です。みんなで撮って、一緒に写真を飾るような感じです。SNSが普及する前からこうした活動をしてきました。根本的な理由としては、もっと写真を撮ってもらいたいからです。
「マガジン」のページでは取引のあるお店が扱っている商品やサービスを紹介しています。お客さんを呼び込むだけでなく、お店同士もつながれるものにしています。最近始めたのが「スクール」のページで、多重露光の撮り方のコツなどをアドバイスしています。
── フィルムやフィルムカメラの未来をどのように考えていますか。
デジタルカメラに比べたら、フィルムカメラのマーケットはものすごく小規模です。それでもまだフィルムで撮りたいという人が世界中にたくさんいます。芸術表現として一定数のニーズがあるので、会社としてはそこまで心配はしていません。工場に関しても、ドイツにフィルムのパートナー工場がありますし、中国にカメラの製造工場を持っているので、商品の供給はこれからも問題ありません。
── 今後はフィルム、レンズ、アクセサリーのどの分野を充実させていく予定でしょうか。
全てのカテゴリーで、毎年新しい商品を出していく予定です。また、地域の良さを取り入れた商品を作ることにも注力しています。オンライン、オフラインの活動も充実させていきます。近々、新製品を発表できるでしょう。
── 次の30年に向けた目標があれば教えてください。
これまでの30年間、さまざまな冒険をしてきました。設立当時はまだ私たちは学生だったので、たくさんのアイデアを持っていました。挑戦して失敗を繰り返して今に至っている感じです。今ではスタートアップするときに資金を出してくれるところはたくさんありますけど、昔はそういうものもなかったですから。数字的な成長目標はないですが、これからも冒険し続けたいと思っています。さらにユーザーの期待を超えて驚かせていくことも大事なことだと考えています。
── 新製品の登場が楽しみです。残りの日本での滞在を楽しんでください。
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