伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2023年11月号 アザーショット【後編】
ニコンZマウントの望遠レンズは「Z 9」の登場以降、拡充してきたが、どのレンズもハイグレードのS-Lineシリーズだった。そこに登場したのが、お手ごろ価格帯の望遠ズーム「NIKKOR Z 70-180mm f/2.8」と、超望遠ズーム「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」。テレコン使用時も含めた描写性能をチェックしてみた。
後編では「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」の実力を検証する。
伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』の人気連載「レンズパラダイス」。本記事では2023年11月号の「レンズパラダイス」に掲載しきれなかったアザーショットとインプレッションを紹介します。
- NIKKOR Z 70-180mm f/2.8 実写チェック
- NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR 実写チェック
NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR
[マウント] ニコンZマウント [最大径×長さ] 約φ110×315.5mm [重さ] 約2140g (三脚座リングを含む) [レンズ構成] 17群25枚 [最短撮影距離] 1.3m (180mm時) 〜2.4m (600mm時) [最大撮影倍率] 0.25倍 [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ95mm
参考価格 249,700円 (税込)
絞り開放でも周辺減光は気にならない
羽田イノベーションシティから離陸機を撮影。日中は空気の揺らぎが大きくまともに解像しないことが多いので、気流が安定する日没間際を狙い、できるだけ撮影距離を短くできるシチュエーションで撮影するのがポイント。離陸直後としては非常にシャープな描写で、絞り開放でも周辺減光はまったく気にならない。
前後の微ボケは穏やかで、口径食も見られない
多摩動物公園のバードケージで撮影したコウノトリ。被写体までの距離が短く、340mm域の撮影ということもあり、絞り開放でも解像性能は抜群。背景や前景の微ボケも非常に穏やかで、枯れ草に二線ボケ傾向はほとんどなし。口径食も少なく、背景が均質にボケているのは◎。
頭部やくちばしの反射に色にじみは見られない
同じく多摩動物公園のバードケージで撮影したツクシガモ。前ボケも後ボケも非常に柔らかで美しく、口径食や縁取り感はほとんどなし。それでいて、頭部やくちばしの反射に色にじみはなく、黒っぽい羽毛もしっかり解像できている。
揺らぎの影響もなく細かな部分までとてもシャープ
羽田エアポートガーデン近くの多摩川土手から離陸機を撮影。1.4倍テレコンを併用して840mmで撮影しているが、両翼が画面からはみ出すほどギリギリまで引き寄せて撮影しているので、空気の揺らぎの影響は少なく機首の細かいパーツまでシャープに描写できている。AFスピードも申し分なしだ。
■Z TELECONVERTER TC-1.4x 使用
開放F13と暗くなるが羽の模様もしっかり解像
被写体までの距離が約7~8mというかなりの好条件でカワセミを撮影。陽が傾いて曇天に近いフラットな光線状況なので、撮って出しJPEGだとコントラストは少し低めだが、羽の細かい模様までしっかりと解像。2倍テレコンを併用した非S-Lineレンズとは思えないほどの解像性能だ。ただ、開放F13と暗くなるので、感度を抑えて撮影するとスローシャッターになり、手ブレや被写体ブレのリスクは高くなる。
■Z TELECONVERTER TC-2.0x 使用
本記事で紹介していない実写作例と詳しい解説は『CAPA』2023年11月号でご覧ください。
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。