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ニコン「Z 9」は想像の斜め上をいくフルサイズミラーレスだった! 縦横4軸チルト液晶モニター搭載、メカシャッターは非搭載

ニコンイメージングジャパンは、ニコンZシリーズ初のフラッグシップモデルとなるフルサイズミラーレスカメラ「Z 9」を2021年10月28日に発表した。発売は2021年内の予定。価格はオープンで、参考価格は698,500円 (税込)。

<2021.12.13> 発売日が2021年12月24日に決定。

Z 9 + NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」装着例。

■メカシャッターは非搭載

有効画素数4571万画素の積層型CMOSセンサーと画像処理エンジンEXPEED 7を搭載。「Z 7II」に比べてセンサーは約12倍の高速読み出しを、画像処理エンジンは約10倍の高速処理を実現する。

Z 9

 

「Z 9」はメカシャッターを搭載しておらず、電子シャッターのみとなる。無音でのレリーズも可能だ。ローリングシャッターによるひずみは、世界最速のスキャンレートで極限まで抑制されている。シャッター速度は1/32000~30秒。常用感度はISO 64~25600で、ISO 32相当までの減感、ISO 102400相当までの増感、感度自動制御が可能となっている。

Z 9
電子シャッター音のON/OFF、音量や音の高さも調節できる。

■AF性能

ニコン初となる120回/秒の高速AF演算処理と、ディープラーニング技術を応用した被写体検出、高速AF情報通信を融合し、優れたAF追従性能を実現する。−8.5EVまでの低輝度でAF撮影が可能だ。

オートエリアAFは「Z 7II」よりもフォーカスポイントが小さくなり、点数は81点から405点に増えている。9種類 (人物、犬、猫、鳥、車、バイク、自転車、列車、飛行機) の被写体検出が可能で、ピント合わせはカメラに任せて、構図やシャッターチャンスに集中した撮影ができる。

Z 9

 

さらに「3D-トラッキング」をZシリーズで初めて搭載した。ディープラーニングによる被写体検出性能との相乗効果で、高速で近づいてきて遠ざかる被写体や素早く動く被写体も遠く離れたところから追尾し続けることができる。

■約20コマ/秒で1000コマ以上の高速連写が可能

約20コマ/秒で1000コマ以上の連続撮影が可能 (JPEG FINE Lまたは高効率RAW設定時)。さらに最高120コマ/秒のハイスピードフレームキャプチャ+を搭載する。[C120] では約120コマ/秒・約11メガピクセル、[C30] では約30コマ/秒・約45メガピクセルの静止画撮影が選択できる。

Z 9

 

記録メディアは高速書き込みを実現するCFexpress Type BカードとXQDカードを採用する。

Z 9

■多彩なアングルに対応する縦横4軸チルト式画像モニター

背面の液晶モニターは4軸のチルト機構を採用した。横位置では画面を上90°/ 下43°、縦位置では上90°/ 下23°まで傾けることができる。また、縦位置での静止画撮影時には、画像モニターと電子ビューファインダー内の情報表示類が縦位置で表示される。

Z 9

Z 9 Z 9

■瞬間を逃さないリアルライブビューファインダー

実際の被写体の動きを常にそのまま表示するReal-Live Viewfinder (リアルライブビューファインダー) を搭載する。メモリーカードに記録するための静止画画像データと、電子ビューファインダーや画像モニターに表示するライブビューデータを個別に同時処理する新開発のデュアルストリーム技術によるもので、従来のブラックアウトフリーとは異なり、シャッターを切る瞬間の映像もリアルに見ることができる。

Z 9

■最大6.0段の手ブレ補正

5軸補正のボディ内センサーシフト方式VRと2軸補正のレンズシフト方式VRが連動するシンクロVRにより、最大6.0段の手ブレ補正効果を発揮する。対応レンズは、2021年10月現在で「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」と、2022年2月発売予定の「NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S」。

Z 9
左が「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」装着例、右が「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」装着例。

■最長125分の8K動画撮影が可能

最長125分の8K UHD/30p動画の内部記録に対応する。効率的な放熱技術によるもので、 ProRes 422 HQ 10ビット、H.265 (HEVC) 10ビットおよび8ビットでの内部記録を実現。用途に応じて階調モード (SDR、N-Log、HLG) を選択できる。9種類の被写体検出は動画撮影でも有効だ。「被写体未検出時のAF駆動」をOFFにすると、被写体が一時的に隠れてしまうシーンでもピント位置を維持できる。

4K UHD動画は、120pで最大125分までの内部記録に対応する。8Kで読み出したデータをオーバーサンプリングして4K UHD画像を生成することもできる。動画撮影中は、ボディ内VR、シンクロVRに加えて電子手ブレ補正も使用できる。

■操作性

一眼レフの「D6」と比較して、体積で約20%の小型化を実現した。独立したフォーカスモードボタンを新たに設置し、ファインダーから目を離すことなくフォーカスモードとAFエリアモードの変更ができる。再生・拡大・縮小ボタンは、縦位置でも横位置でも右親指で素早く操作できる位置にレイアウトされている。再生機能をプロテクトボタンに割り当てて「D6」と同様の操作性にカスタマイズすることもできる。

D6、Z 9
左が「D6」、右が「Z 9」。

 

夜景や星景撮影に便利な「スターライトビュー」を搭載。撮影画面が明るくなって、被写体の確認がしやすくなり、AFの低輝度限界も−8.5EVまで拡張される。また、暗さに目が慣れたときにメニューや被写体を見やすくする「赤色画面表示」も搭載。明るさを抑えた赤色の表示に切り替え、目の負担を軽減する。画像モニターとファインダーの表示をニーズに合わせて変更できる撮影画面カスタマイズも搭載されている。

Z 9
暗い場所でも見やすいボタンイルミネーション。

■信頼性

「D6」と同等の高い防塵・防滴性能、堅牢性を確保。マグネシウム合金を採用した前面・背面カバーは、底面カバーとの一体構造により、高い放熱効率を実現。また、−10℃の低温でも支障なく作動する。

Z 9
シーリング
Z 9
マグネシウム合金を採用。

ボディ内のVR機構にはロック機構を搭載し、電源オフ時などにイメージセンサーを固定して保護する。また、メカシャッターを搭載しないことで、シャッターの耐久性やシャッター幕の摩耗によるダストの発生を気にする必要がなく、故障のリスクも大幅に減少する。

先行展示

ニコンプラザ東京/大阪にて2021年10月29日より「Z 9」を先行展示。事前予約制で体験会も実施する。

Nikon Z 9 主な仕様

有効画素数 4571万画素
撮像素子 35.9×23.9mmサイズCMOSセンサー (ニコンFXフォーマット)
マウント ニコンZマウント
ISO感度 ISO 64~25600 (拡張 ISO 32相当〜102400相当)
シャッター速度 1/32000~30秒 (電子シャッター)
ファインダー  0.5型 約369万ドット OLED電子ビューファインダー (倍率 約0.8倍)
画像モニター 3.2型 約210万ドット チルト式TFT液晶モニター (タッチパネル)
記録媒体 CFexpress Type Bカード、XQDカード
外寸 (幅×高さ×奥行き)  約149×149.5×90.5mm
質量 約1160g (本体のみ) / 約1340g (バッテリー、メモリーカードを含む)
付属品 Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL18d (端子カバー付)、バッテリーチャージャー MH-33、本体充電ACアダプター EH-7P、HDMI/USBケーブルクリップ、ストラップ AN-DC24、ボディーキャップ BF-N1、USBケーブル UC-E24、アクセサリーシューカバー BS-1

 

〈撮影〉青柳敏史