超広角から標準域までをF4通しでカバーする広角ズームレンズ「17-50mm F/4 Di III VXD」が、タムロンから登場。ズームレンジの広さと近接撮影力の高さが特長です。桃井一至さんがレビューします。
超広角から標準域までカバー
ミラーレス一眼用レンズの充実を進めるタムロンに「17-50mm F/4 Di III VXD」が仲間入りした。タムロンの近年のラインアップを眺めると17-28mm F2.8、17-50mm F4、20-40mm F2.8、28-75mm F2.8、70-180mm F2.8と、従来主流だった16-35mm、24-70mm、70-200mmという「オーソドックスな」レンズではない。変則的なズームレンジである点が特徴だ。
これらはフィルター径を主に67mmにすることで、増えつつある動画ユーザーや、小型化を図り独自路線のメリットを提供しようという流れだ。
17mmの画角で高画質なワイド撮影が楽しめる
17mm開放では周辺まで比較的良好な解像を見せるが、光量は若干落ちる。フォーカスは滑らかで、作動音は耳をすませば多少聞こえる程度だ。なお、この写真では伝わらず申し訳ないが、逆光や画面に太陽が入るシーンでも、耐ゴーストなどもかなり健闘していたのが印象的だ。屋内外問わず、安心して使える。
最短撮影距離0.19mで「寄れる」のが魅力
最短撮影時には17mm時にはハガキ、50mm時ではLサイズプリント程度の被写体を画面いっぱいまで撮影できる。なお、広角時のワーキングディスタンスは約5.7cm。多くのシーンは寄りすぎると撮影者が光を遮るので注意したいが、常用マクロとしては十分な性能。ボケの質もクセがなく、被写体を自然な雰囲気で生かしてくれる。
高い次元でバランスのとれた使いでのある超広角ズーム
本レンズは、超広角から標準域を担う製品になるが、開放F値は変動なしのF4。あえてF2.8でないのは、先のフィルターサイズの制約からくるものだろう。やや細身でワイド系の焦点距離を思うと長めの鏡筒だが、持ち心地は上々。フォーカスリング、ズームリングともに適度な幅を持ち、操作性は悪くない。なお、ズーム操作しても全長が変わらないインナーズームが採用されている。
側面には1か所だけになるが、フォーカスセットボタンも設けられ、好みの機能を割り当てることができる。また、緻密なセッティングが可能なタムロンレンズユーティリティ用のUSB端子も備わる。なおAF/MF切り替えスイッチはない。
特別な「必殺ワザ」はないが、高次元でバランスがとれ、実直に作り込まれた隙のない印象だ。長く付き合えそうな優秀ワイドズームである。
「F4通し」の明るさ・使いやすさ
しっかり「開放F4」の明るさが確保されていること、ズーム全域で開放F値が一定であることは、露出決定時の扱いやすさにつながる。その期待を裏切らない高画質なワイドズームだ。超広角域から標準域を受け持ち、広角寄りのスナップならこの1本で撮影も可能。APS-Cでは35mm換算 約26-75mmになるので、APS-Cボディとフルサイズボディを併用する時にも便利に使えるはずだ。
全長が変化しないインナーズームを採用
13群15枚のうち、異常低分散レンズを3枚、複合非球面レンズを2枚、ガラスモールド非球面レンズは1枚。ズームしても全長が変わらない、インナーズーム方式が採用されている。
タムロン 17-50mm F/4 Di III VXD
発売日 2023年10月19日
参考価格 99,000円 (税込)
対応マウント ソニーEマウント
焦点距離 17〜50mm
レンズ構成 13群15枚
絞り羽根枚数 9枚 (円形絞り)
開放絞り F4
最小絞り F22
最短撮影距離 0.19m (ワイド端)
最大撮影倍率 0.22倍 (ワイド端)、0.26倍 (テレ端)
フィルター径 67mm
最大径×長さ φ74.8×114.4mm
質量 460g
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。