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もっと高い場所からの景色が見たい! 4度目の大きな壁に立ち向かう逗子葉山高校写真部に密着!

全国の頑張る写真部を紹介する本企画。今回は、創立初年度から3年連続で写真甲子園本戦大会への出場を果たしている、神奈川県立逗子葉山高等学校を計2回にわたり取材しました。

We are 写真部 #12 神奈川県立逗子葉山高等学校 写真部

逗子葉山高校は2023年4月に逗子高校と逗葉高校の2校を統合再編し、開校した学校です。旧逗葉高校の校地や設備を継承使用しており、逗子市と葉山町の間に位置しています。

校門横には、卒業生のサッカー日本代表・伊東純也選手の応援幕などと並んで写真部の祝幕が飾られていました

写真部は逗葉高校時代の2022年度に創立されたばかりの新しい部ですが、創立初年度から3年連続で写真甲子園の本戦大会に出場しています。活動日は週2回、日頃から熱心に活動している部員は8名ほどの少数精鋭なチームです。

部で所有する撮影機材は写真甲子園の副賞で手に入れたカメラ3台とプリンタ3台のみでしたが、今年度ようやく部に予算が付いて、Macを1台購入することができました。また、念願の部室も与えられ、活動の質は上がっているそうです。

初予算で購入したMacは部員の作品管理やプレゼンテーションの練習時に活躍
【部室の様子】

3回連続出場しても写真甲子園本戦大会では勝てない

そんな写真部を率いているのは写真家としての顔も持つ、鬼頭志帆先生。鬼頭先生は出産や転居、そしてコロナ禍を機に、これまでのキャリアを見直し、2022年度から教員としての新しいスタートを切りました。初任の2022年当時、写真部はまだ同好会で、会員もゼロ。学校からはそろそろ廃止になると言われていましたが、写真自体は誰でもスマホで撮影できるため、誰か入会をしてくれるのではないかという期待を込めて、写真同好会の顧問を名乗り出ました。

「楽しいことだけ真剣に」を合言葉に、技術よりは写真の見せ方に比重を置いて生徒たちと写真を楽しんでいると語る鬼頭先生(写真左)、写真同好会設立時のメンバー、そして顧問の𠮷川佳吾先生(写真右)

その目論見通り、当時の2年生が4月後半に3人入会してくれて、まずは写真同好会としてスタートしました。1年目はカメラ歴ゼロで機材もゼロ。写真甲子園もスマホで撮影した作品で応募しました。しかし、顧問の的確な指導もあり、設立初年度にして本戦大会への出場という快挙を成し遂げました。

▽スマホ写真で勝ち取った、初出場の写真甲子園2022初戦応募作品

「日進月歩」

創立初年度にスマホ写真で本戦大会出場という鮮烈なデビューと同時に、出場した選手たちは主催者側から貸し出される共通使用機材の一眼カメラに初挑戦。カメラの基本設定はもちろん、機材を恐る恐る扱いながらのデビューでしたが、写真甲子園という大舞台に全力でぶつかり、彼女たちらしいフレッシュな作品を残してくれました。

▽技術面以外の課題に直面した、写真甲子園2023ファイナル公開審査会作品(テーマ「えん」)

「迷い」

2度目となる2023年度は部員も増えて、本選大会出場が決まった際、出場希望者を募りました。手を挙げたふたりと鬼頭先生が推薦した1年生~3年生までの混合チームで出場しましたが、選手の学年やそれぞれの感性などにばらつきがあり、方向性の擦り合わせにはかなり苦労をしたそうです。ファイナル公開審査会では、選手たちの心情とも読みとれるような「迷い」という作品が生まれました。

▽3度目の正直で挑んだ、写真甲子園2024ファースト公開審査会(テーマ「またたき」)

「えめ」

そして、3度目の挑戦となる2024年度。出場希望者が4名以上いたので、参加希望者同士で部内で作品制作とプレゼンテーションを行い、投票で出場者を決定。過去2回の経験なども踏まえ、生徒同士の相性や強みなど、チーム全体のバランスと実力を見極めながら編成し、満を持して本戦大会に挑みました。しかしながら、結果は3度目の敢闘賞。

「3年連続で本戦大会に出場できても、勝てない、、、」

生徒たち以上に熱い想いをお持ちの鬼頭先生は「本戦大会時、顧問は活動制限も多く、歯がゆいことばかりですが、写真甲子園は毎回新しい仲間と新しい課題が見つかる、素晴らしい機会です」と目を輝かせて話していました。

「次こそ4度目の出場を果たして全国で勝ち、新しい景色を見たい」そんな決意を胸に、逗子葉山高校写真部は、すでに前を向いて歩き始めていました。

4度目の写真甲子園に向けての準備に余念なし! 部内プレゼンテーション

取材に訪れたこの日は、部内で作品のプレゼンテーション会を行うとのことで、筆者も見学させてもらいました。

プレゼンテーションはひとりずつ順番に前に立ち、写真甲子園の本番さながらに行われます

「作品を先に見せる?それともプレゼンが先?」鬼頭先生からの質問の後、生徒たちは前方のモニターに映し出された、8枚組の作品をプレゼンしていきます。

プレゼンが終了すると、聞き手側の参加部員たちが作品に対しての感想やなぜそのタイトルにしたのかなど、作品の意図について質問をしていきます。時には「作品の並び順を変えた方が良いのではないか」「それだと意図が伝わりにくい」など審査員の写真家先生たちのような、鋭い意見も飛び交います。

プレゼンの下書きにスマホを活用するのは令和の常識のようです

事前に2024年度の写真甲子園の本戦大会の動画を見た際にも感じましたが、逗子葉山高校の生徒たちはプレゼンテーションが上手です。きちんと抑揚をつけた話し方やプレゼン内容を詩的にまとめる要約力などは、大人でも難しいこと。そんな生徒たちの心強い味方が、3人いる写真部の顧問のひとり、国語教諭の𠮷川佳吾先生。作品名やプレゼンテーションの文章を生徒たちと一緒に考えてくれます。

こうしたプレゼンテーションの練習を普段から2〜3週間に一度、甲子園期間ともなると、2〜3日に一度のペースで行っているそうで、部のレベルが高いのも頷けました。

その一方で、鬼頭先生は「生徒たちには、もっともっと写真の量を撮ってもらいたい」とも話してくれました。その言葉の裏には「ただ撮るだけではなく、写真を通して、何を見て、何を考えて、何を表現したいのか、それぞれの世界を発見してもらいたい」という強い想いが込められていました。

生徒たちにもその想いはしっかりと届いているようで、日頃のプレゼンテーションの練習を通じ、必死に己を磨いている様が感じ取れました。

写真甲子園の初戦応募まではまだ時間があります。焦らずに、しっかりと自分たちの世界を見つけてほしいです。

みんな仲良し! 良きライバルでもある個性豊かな仲間たち

西陽が綺麗に射す教室にて。青春映画みたいな雰囲気になりました!

この日集まってくれたのは、2年生の幹部4名と3年生1名の計5名。先生や部員のみんなに逗子葉山高校写真部の特徴を聞くと「それぞれ個性が強い(笑)」と教えてくれました。せっかくなので、インタビューを通じて全員の個性を探ってみました。

島田英澄(ひでと)さん・2年生

いろんな視点で写真を見て、活動の成果を出せた時にとてもやりがいを感じるそうです

中学校から少し写真を撮っていて、逗子葉山高校への入学も写真部が決め手だったという部長の島田さん。部長になって大変だったことがないか聞いてみたところ、「みんなと役割分担しているので、大変だと感じることはありません」と語ってくれました。その言葉通り、いつも朗らかで個性的な部員たちの中和役なんだそう。でも、写真だけは誰にも負けたくなくて、「今後の目標は部として4度目、そして自身2度目の写真甲子園出場です」とブレない目標を掲げていました。

近藤空冶(くうや)さん・2年生

本戦では写真撮影以外の他校の雰囲気や作品づくりにも多くの刺激を得られたそうです

「写真甲子園出場メンバーに選ばれたのは当然かなと思いました(笑)」高校生とは思えないくらい落ち着いた口調で、ひょうひょうとインタビューに答えてくれたのは、副部長を務める近藤さん。写真甲子園の印象的なエピソードを聞くと、その大人びた話しぶりとは異なり、本戦大会時の緊張感は凄まじかったそうで、ファースト審査の撮影中には逃げ出したくなってしまったとのこと。それでも、多くの刺激が得られた写真甲子園にはまた出場したいとも語ってくれました。

小澤咲良(さくら)さん・2年生

写真部の活動はお父さんがとても応援してくれて、写真甲子園本戦への出場も一番に喜んでくれました

「まさか本戦大会に出場できると思っていなかったから、本当にびっくりしました」そう話すのは、島田さんと近藤さんと共に写真甲子園に出場した、もうひとりの副部長の小澤さん。写真甲子園を通じて、苦手だった子どもが大好きになったそう。「ホームステイ先にお子さんがいたのですが、最初は意思疎通できるか怖かったけど、思った以上にコミュニケーションをちゃんと撮ることができて、苦手意識を克服できました。」写真を撮る上では大切なコミュニケーション能力を、北の地でしっかりと自分のものにしていました。

アレバロ・アマーラさん・2年生

取材日はカメラマン係も手伝ってくれました。「初めてにしては上手くできたと思います」と語ってくれました

学校を訪問して対面した最初から、とてもフランクに接してくれたアマーラさん。部では書記と会計を担当しています。惜しくも昨年の写真甲子園のメンバーには選ばれなかったアマーラさんですが、実は並々ならぬ想いで写真甲子園出場の機会を狙っているそうです。「来年こそは、私が絶対に北海道に行きます!」と強く語ってくれました。

炭谷柾太朗(しょうたろう)さん・3年生

そして、この日3年生で唯一参加してくれたのが炭谷さん。「恥ずかしいので、カメラマンに徹します」とみんなの取材の様子を黙々と撮影してくれました。愛用のカメラはキヤノンEOS 6D MarkⅡで、部内で一番機材に詳しいそうです。状況写真の撮影では、「撮りたいものを感性のままに撮る普段の時とは異なりましたが、日頃からどうボカすと良いかなどの焦点距離を考えていることが役立った」と語ってくれました。「卒業しても写真は続けます」という嬉しい言葉も。

こうして、ひとりひとりと話をしてみると、先生と部員のみんなが言っていたそれぞれの個性というものが、しっかりと理解できました。

互いの個性を活かしたチームワークで、次の写真甲子園に向けても、悔いの残らないように頑張っていただきたいです。

先輩たちの想いも力に!実地練習を兼ねた3年生の卒業記念撮影会

1回目の取材から約1ヶ月半後の、去る2月15日。春の暖かさも感じられたこの日は3年生の卒業記念撮影会が浅草で行われるとのことで、再び取材をさせていただきました。
3年生との最後の思い出を作るための慰労会ですが、2025年度の写真甲子園に向けての強化練習の意味合いも兼ねています。写真甲子園では、被写体と出会ってから撮影するまでのスピードなどが重要なポイントとなるため、街中へ出ての実地練習には大きな意味があります。
この日参加したのは卒業生を含めて10人の生徒たち。横浜駅で集合し、その場でチーム分けとこの日のテーマ「てん」が発表されました。

▲くじ引きの結果、このチーム編成になりました▲

<この日の主なルール>
①テーマ:「てん」
②2人1組で4〜8枚の組写真を作ること
③撮影時間は10時30分に浅草寺をスタートして、13時15分までに浅草駅に戻ってくること
④初対面の人に話しかけて撮影させてもらった写真を含めること
⑤セレクトした作品にはタイトルをつけ、それぞれのチームがプレゼンテーションを行う
⑥全員の投票でグランプリを決める

写真甲子園本戦大会さながらのガチ練習会に密着同行

スタート地点の浅草寺で、チームに分かれた後、筆者は部長の島田さんと3年生の石井颯人(はやと)さんペアに密着させていただくことに。浅草は何度か遊びに来たことはあるものの、撮影は初めてというふたり。土地感ゼロのこの地でふたりが狙うのは、下町ならではの光景。いざ、出発です!

横浜駅からの移動中に調べた地図をもとに、まずは押上方面を目指します

スカイツリーを目標に進んでいくと、隅田川にぶつかりました。何か被写体はないかとまわりをキョロキョロ。すると、向こう岸のスカイツリーではなく、何やらふたりは下方面が気になった様子。

島田さんは一眼カメラ。石井さんはスマホでそれぞれ狙いを定めます

川沿いを散策した後は隅田川を渡り、碁盤目状の住宅街に入りました。下町らしい1枚を狙って路地に入りますが、土曜日ということもあり、なかなか良い被写体に出会えません。スタートから1時間、これだという写真を撮れないまま時間が過ぎていく中、どこからともなくドスンドスンという音が。少し開いている扉から見えたのは、大きな板金用の機械。「チャンスだ!」と思ったふたりは、緊張しながらも「すみません。写真を撮らせてください」と町工場の扉をくぐりました。

ただ撮影するだけではなく、用途や目的までしっかりと工場の方に聞き、コミュニケーションを図っていました

撮影協力のお礼を言って町工場を後にし、次に向かったのは、スカイツリー横の浅草通り。ランチタイム間際で、通りからは良い匂いが漂ってきます。雰囲気のある定食屋、レトロなパン屋さん・・・と魅力的なお店が立ち並ぶ中、気になって立ち止まったのは焼き芋屋さん。こちらのお店でも意を決して、撮影許可をもらいます。

無事に撮影許諾をいただき、壷の中のお芋にいたるまで、快く撮影させていただきました

焼き芋屋さんを撮影した時点で残り時間はあと半分。でも、撮れ高はまだ足りません。先ほどのお店で購入した焼き芋をお昼ご飯替わりに頬張り、さらに進みます。次に目についた人形焼き屋さんにも果敢に撮影依頼をしましたが、残念ながらこちらは丁重にお断りをされてしまいました。

これだけだと作品の仕上がりには少し弱いと感じたふたりは、さらに足を進め押上駅近くの商店街までやって来ました。精肉店、青果店、洋品店などこちらもレトロな雰囲気のお店がたくさん立ち並びます。どの景色も雰囲気があって、被写体選びがなかなか決まりません。でも、この商店街のどこかで絶対に撮りたいと考えたふたり。最後は部長の島田さんが、先輩に意見を求めます。意見を求められた石井さんは「じゃあ、珈琲屋さん!」とお店のネーミングが気になったことが決め手で、狙いを定めます。

珈琲屋のお兄さんも、快く撮影に応じてくれました

時間的に最後のチャンスということで、被写体のお兄さんへのポージングのリクエストにも余念がありません。店外から店内まで、いくつかのバリエーションで撮影を済ませて、無事に終了。ほっとしたのか二人の顔には笑顔が見られました。

この時点で撮れ高を聞くと、「何とか作品にできそうです!」という心強い回答が。 帰りは時間短縮のため、押上駅から電車で集合場所の浅草駅に戻ります。

ただ、これだけで終わらないのが3年連続出場の常連校。集合時間までまだ15分ほど残っていた為、浅草駅周辺の風景写真などもおさめておきたいと集合場所のプラットフォームを飛び出します。組み写真は全体のストーリーが重要な要素。時に風景やスナップ写真などがそのストーリーの説得力に効果的に働きます。そんな時まで見越して、最後の最後まで抜かりがないのは流石でした。

最後にふたりをパチリ!初めての場所での実地練習にも関わらず、終始頼もしかったです!

本戦の写真甲子園では遅刻も減点対象となるため、厳しくルールを設定した鬼頭先生。部長チームは無事に時間も守り、集合場所に戻りました。

【他のチームの撮影の様子】

部長チームに同行してみて、写真甲子園で行っている作品制作がいかにハイレベルな要求しているのか、改めて体感できました。2時間半で1万歩以上を歩き、見知らぬ人に声を掛け続けるなど、相当ハードな内容です。写真甲子園の採点基準は「心・技・眼」となっていますが、「体」もなければ務まらないことも良くわかりました。

本日の成果をみんなで共有! 懇親会を兼ねたプレゼン会

撮影会の後は、休む間もなく横浜市・関内のレンタルスペースに移動し、プレゼン会を行います。生徒たちは再度チームに分かれ、浅草駅から関内に向かう電車内で、写真のセレクトやタイトル考案、プレゼンテーション用の原稿作成に取り掛かります。

プレゼン会場到着後もチームごとにギリギリまでプレゼン内容を推敲します

休憩時間もそこそこに、生徒たちは普段通りGoogle Drive上の指定の共有フォルダに次々にセレクト作品とプレゼン内容をアップロード。全チームが見事時間内に作品を完成させました。

全員の作品が揃ったところで、いよいよプレゼン会の始まりです。制限時間は1チーム10分。各チームのプレゼン終了後は、質問なども受け付けます。「良かった点」「もっと工夫した方が良い点」という観点からの講評と10点満点の評価で採点を行い、一番グランプリにふわさしいと思った1作品に全員が投票を行います。こうした公平な審査基準のもと、全員の投票でグランプリを決める形式もガチとなっています。

さあ、各チームはテーマを受けて、どんな作品を作り上げたのでしょうか?

いつもの様に、前方のスクリーンに作品を上映します

ゲストエントリー ・中村萌先生

「繋がる」

エントリーNo.1 アマーラさん&近藤さんチーム

「夢の現象」

 

エントリーNo.2 永田倖士(ゆきと)さん&小澤さんチーム

「ほし」

 

エントリーNo.3 山本雪月(ゆづき)さん&沖田哲典(てつのり)さんチーム

「焦点」

 

エントリーNo.4 久冨木慧(くぶきさとい)さん炭谷さんチーム

「みつけた形」

 

エントリーNo.5 石井さん&島田さんチーム

「こころを、」

 

今回、僭越ながら筆者も審査員として参加させていただきました。どのチームの作品も2時間半の撮影でつくりあげたとは思えない仕上がりで、思った以上に審査が難しく、写真甲子園の審査員の先生方の苦悩も思わぬかたちで体感。

そして、全員が投票した後は、いよいよ結果発表です。まずは特別賞の発表から。

特別賞ーCAPA賞ー:エントリーNo.2 永田さん&小澤さんチーム
<CAPA齊藤のコメント>
全作品の中で一番自然な笑顔のポートレート作品が目につき、こちらのチームに決めました。
初めましての方に声をかけて、写真を撮らせてもらうだけでも難しいこと。さらに、自然な笑顔をおさえられていて素晴らしかったです。


特別賞ー萌先生賞ー:エントリーNo.4 久冨木さん炭谷さんチーム
<顧問・萌先生のコメント>
全作品の中で構図・色味・ボケ感がとにかく好みでした。
今回の撮影で初めて単焦点レンズを使用したと聞き、驚きました。


特別賞ー鬼頭先生賞ー:エントリーNo.5 石井さん&島田さんチーム
<顧問・鬼頭先生のコメント>
それぞれのチーム良いところがあったのですが、組み写真として全作品の中で一番の構成力と力強さを感じました。
土地勘のない場所で、ふたりで協力して、短時間で8枚の構成を揃えてきたところに、頼もしさも感じました。

自走する力を!これからの逗子葉山高校写真部

特別賞の発表の後はグランプリ作品の発表です。グランプリは大人も含めた全員投票の結果、4票を獲得した久冨木さん&炭谷さんチームの作品に決まりましたが、全チームに票が割れるという驚きの僅差となりました。久冨木さんは2回目の写真甲子園代表メンバーのリーダーで卒業生。「写真甲子園に行って、見える世界が変わったから、後輩たちにも、ぜひあの舞台を体験してほしい」と話してくれました。

鬼頭先生からは「最終結果も大事ですが、それよりも投票時にそれぞれが書いてくれたアドバイスをちゃんと見てください。良かったというコメントよりも、もう少しこうしたほうが良かったというプラスαのアドバイスをくれる仲間の存在を、特に大切にしてほしいです」と伝えました。

グランプリ:エントリーNo.4 久冨木さん&炭谷さんチーム

そして、グランプリ発表の後は全員のチェックアウトで締めます。逗子葉山高校では部活動の開始時にはチェックイン、終了時にはチェックアウトといって全員がその日の活動に関する意見や感想などをひと言コメントする決まりになっています。

この日、在校生から先輩や仲間への労いの言葉や感謝の気持ちを伝えると、3年生と卒業生からは別れを惜しむ率直な想いがそれぞれ伝えられました。

鬼頭先生からは「今日の卒業記念撮影会は、ここにいる全員が役割を分担してくれて、私がいなくてもスムーズに実現することが出来ました。みんなの成長を本当に感じます。これからも、今日みたいにどんどん自分たちで進めていって欲しいです」と静かに語りました。

「高い壁を乗り越えるためには、生徒たちだけで”自走する力”が必要」最初の取材時からずっと強い決意を語ってくれていた鬼頭先生の覚悟を改めて感じた会にもなりました。

先生と生徒たち、そして卒業生と強い絆で結ばれた逗子葉山高校は、今よりも高い場所からの景色を必ず見ることができると確信できました。

最後にみんなで記念撮影。このかけがえのない仲間をいつまでも大切にしてほしいです

 

<撮影>逗子葉山高等学校写真部、サイトウアヤコ
<取材・文>サイトウアヤコ