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「写真部に入って世界が広がった」 神奈川県最優秀写真部の秘密は“夢中になれる環境”にあった!

全国の頑張る写真部を紹介するこの企画。今回は、神奈川県立川崎北高等学校写真部を訪ねました。

We’re 写真部#7 神奈川県立川崎北高等学校 写真部

実力派の高校生が勢揃い! 実際にその腕前を見せてもらいました

川崎北高校は2023年創立50周年を迎え、場所は東急田園都市線・鷺沼駅から徒歩15分ほどの静かな高台の上にあります。

現在写真部は1年生が6人、2年生が15人で活動中。活動は月曜日と水曜日の週2日ですが、週末に撮影会を行ったり、月に1度部内コンテンストを定期開催するなど、日ごろから精力的な活動をしています。こうした活動が実を結び、1年生でも県展の入賞者を輩出。2022年度は神奈川県の最優秀写真部にも選ばれました。

そんな実力派の写真部が日ごろどんな活動を実施しているのか、当日集まってくれたみんなで撮影会を再現。さらにCAPAの取材カメラ班として、2年生の阿部七菜子さんと上石大揮さんに活動の様子を撮影してもらいました。

左から:阿部さん(ニコン Z 6II)、上石さん(オリンパス PEN E-PL10)

▽取材日の様子はこちら

撮影会で撮影した作品

鳥海結菜さん撮影(キヤノン EOS R6 Mark II): ポートレート撮影時は部員同士交代しながらモデルを務める
都丸和香さん撮影(キヤノン EOS Kiss X5): 鏡を見つけたので、みんなでミラーリング撮影
寺島圭さん撮影(キヤノン EOS R6 Mark II):歩道橋でカメラを構える2人の構図に思わずパシャリ!

川崎北高校の撮影会では個々で自由に撮影するスタイルを重視しています。ある人は風景、ある人はポートレート、というように。それぞれが「ココだ!」と思う瞬間で楽しそうにシャッターを切っているのが印象的でした。

サッカー部出身! 広い視野で部員をまとめる頼れる部長

相原葵乃さん

カメラは祖父から借りている、キヤノン EOS Kiss X4

中学生までサッカーを続けていた相原さん。高校に入学したら新しいことに挑戦したいと思い、写真部を選んだといいます。「運動以外のことに挑戦したいと考え、同じクラスの友達と一緒に入部。写真部に入っていろいろなところを見る癖がついて、世界が広がりました。」

部長になったきっかけも“挑戦”。「もともと興味があり、最後は先生の推薦で決まりました。主に活動終わりのミーティングをしたり、文化祭や県展、フォトコンテストの作品をまとめたり。サッカーをやっていた時のポジションがディフェンダーだったので、幅広い視野でみんなの事を見られるのかもしれません(笑)」

高校生の力作が一堂に! 神奈川県高等学校総合文化祭・第50回高校生写真展


2023年12月20日〜24日まで横浜市民ギャラリーで開催されていた第50回高校生写真展。参加校41校、総勢324点の作品が一堂に並びました。

神奈川県では年に3回(6月・9月・12月)県大会が行われ、全国大会や関東大会への出場権は賞ごとに与えられるポイントを合算し、個人単位で争います。

毎年12月に開催される高校生写真展に参加できる作品は1校10点まで。部員の多い川崎北高校などは、学内で選抜された作品を出展しています。

所狭しと作品が並ぶ

第50回高校生写真展で受賞した3人にインタビュー

左から:寺島さん、都丸さん、堀川大地さん(キヤノン EOS R)

3人とも写真は高校入学からスタートの2年生。2023年は、1年生の時からの頑張りが報われた年となりました。それぞれ入賞作品の意図を聞きました。

■都丸さん『幽寂』(入選)

弓道の静かさを伝えたくて、『幽寂』というタイトルにしました。撮影会でいろいろな角度やパーツを撮ることで、雰囲気が出ると教えてもらったので、弓道の凛々しい姿を切り取りました。写真部に入部していろいろな視点を持てるようになったので、今後も頑張りたいです。

■寺島さん『交差するノイズ』(佳作)

銀座の歩行者天国で部内の子を撮影。1年生の時に先輩や先生に流し撮りや、長時間露光を教えてもらい、それを実践した作品です。受賞の知らせを聞いてまさかと思いましたが、新聞に掲載されたのを見て実感しました。入賞の結果が出て、より写真が楽しくなりました。

■堀川さん『摯』(佳作)

学内の茶道部をモデルに撮影。影を印象的にしたかったのでライティングを意識して、写真が曲がらないよう水平や歪みに気をつけました。真摯に向き合っている姿を上手く写し出せたと思います。

第48回全国高等学校総合文化祭への出場を決めた2人

全国高等学校総合文化祭は「文化部のインターハイ」と呼ばれ、全国各地から高校生が集まります。2024年は岐阜県での開催が決まっており、川崎北高校からは2人が神奈川県の写真部門代表に選ばれました。

左から:浅井美乃さん、相原さん「岐阜県で全国の写真部と会えるのを楽しみにしてます!」

■相原さん作品『約束』(特選)

2023年の6月に開催された、江ノ島・鎌倉合同撮影会で撮影された作品。「撮影会の終了後、暗くなってからも撮影を続けました。好きな写真だったので自信がありましたが、まさか特選になるとは思わず、驚きました。」

■浅井さん作品『カメラ女子!』(特選)

キラキラと眩しい高校生らしい作品。この作品も6月の撮影会で撮影された。「ガラスの反射を利用して、部内の子をモデルに撮影しました。大きくプラス補正して、明るい色で幻想的な作品に。私たちにとってカメラを持っている時は”青春”なんです。」

2人の顧問がやさしく生徒の活動を見守る

左から:安倍穂美先生(国語科)、金子卓人先生(英語科)

2人は川崎北高校の入職時から写真部の顧問を希望していたとのこと。金子先生「大学時代から写真をやっていたので、指導していて楽しいのは写真部だと思い希望しました。写真は自分の気持ちを視覚で訴えられるツールだと考えています。」

安倍先生「写真は撮っても、見ても楽しい。大人になっても趣味として卒業後も続けてほしいというのが、顧問2人の共通認識です。そのために、まず私たちが楽しんでいるところを言葉ではなく姿で見せています。大人が楽しんでいるのはいいお手本です。」

部活のオフィシャルInstagram
写真部の公式Instagramアカウントがある川崎北高校。生徒の素敵な作品が並ぶアカウントの運営は、金子先生が担当しています。「毎月開催される部内コンテストの優秀作品や、コンテストの応募作品を投稿しています。来年の入学生に興味を持ってもらえるような投稿を目指しています。」

生徒との年齢が近いからこそ作れる距離感

顧問の先生が生徒と年が近いこともあり、先輩後輩のような距離感で会話をしている姿が印象的でした。部員たちが気軽に相談できるようです。また、先生2人共SNSで写真活動をしていることもあり、柔軟で新しいアイディアを提案してくれるため、部活動がより多様で活発的なものになっていました。

大人が楽しんでいる姿を見たら、生徒たちも自然と写真に夢中になれる。神奈川県最優秀校に選ばれたのも頷ける、素敵な環境でした。

川崎北高校初の写真展を開催

全国・関東大会出場作品をはじめ、普段の活動で撮影した作品が集まります。ぜひご来場ください!

会期:2024年3月9日(土)・10日(日)
時間:10 : 00〜18 : 00(最終入場は17 : 30まで)
入場:無料
住所:神奈川県川崎市宮前区宮前平2丁目20-4

全国の頑張る写真部を応援します!

CAPA CAMERA WEBではぜひ取材をしてほしいという熱意ある写真部を募集中。部員が一人でも大丈夫! 全国の仲間たちに君たちの想いを届けよう! 写真部はみんながレギュラーだ。

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