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光学100年の足跡をタイムトリップできる! ニコンミュージアムが堂々オープン

2017年に創立100周年を迎えるニコン。その記念事業の一つとして、同社の製品や技術などを一堂に展示する「ニコンミュージアム」がオープンした! カメラ関連を中心に見所を紹介しよう。

 

ニコンミュージアム

 

ニコンミュージアム
館内に足を踏み入れてまず驚かされるのが、最新の半導体露光装置用に作られた巨大な合成石英ガラスのインゴット。ライトアップされた輝きと、その透明度の高さに目が眩む。

ニコンの伝統と革新を体感 本邦初公開の “お宝” が続々

ミュージアムの壁面いっぱいに広がるショーケースには、ニコンI型からDfなどの最新デジタルカメラまで、約450台ものカメラが整然と並ぶ。「カラーバリエーションなどを除き、国内で発売されたほとんどの一眼レフを展示。あわせてエポックメイキングなレンズも並べています」。こう解説するのは館長の今常嘉さん。今さんは、史上、最も精密な機械と呼ばれるステッパー(縮小投影型半導体露光装置)関連事業に長らく関わってきた。

 

ニコンミュージアム
最初期のニコンⅠ型から最新デジタル機まで、歴代のカメラに加え、さりげなくNASA仕様のF3や幻の二眼レフの設計図なども並ぶ。

 

ご存じAFニッコールレンズのナノクリスタルコートは、「ステッパーの投影レンズで使われているナノ粒子膜の技術を応用して開発」したもの。また、一般用のマイクロニッコールと工業用のウルトラマイクロニッコールの性能は、互いに切磋琢磨し時代とともに飛躍的に向上、現在の半導体、液晶、印刷業界の発展に貢献している。まさに、ニコンの光学技術と精密加工・検査技術の広がりと深さを体感できる展示内容となっている。

カメラのジャンルで注目したいのは、1971年のAFニッコール80mmF4.5だ。よく知られているF3AF用レンズの12年も前の製品で、ついに実機が大井製作所の倉庫で発見されたというもの。現状、残念ながら可動はしないが、同社の後藤研究室・後藤哲朗さんが鋭意解析中とのことで、いずれはAFが作動する様子を目の当たりにできるかもしれない。また、1961年に発表された “幻の標準ズーム” オートニッコールワイドズーム35-80mmF2.8-4も、本邦初公開の公式展示となる。

「実はスペースの関係などで展示できていないカメラやレンズもまだある」のだとか。今後、常設展示だけでなく、企画展も計画しているというから、すでに訪れた人も、Webなどをまめにチェックしておきたい。ニコンファン、カメラファンなら、新たな発見に興奮すること間違いなしだ。

 

ニコンミュージアム
冒険家の植村直己さん愛用のF3チタンウエムラスペシャル(協力:植村冒険館)。

 

ニコンミュージアム
1971年、米シカゴのフォトエキスポに出品されたAFレンズ。ぜひ実機をご覧あれ。

 

ニコンミュージアム
nm(ナノメートル)の極小スケールから「光年」単位の宇宙まで広大な範囲をカバーする製品群をインタラクティブな映像で鑑賞できるスペース。
※10億分の1メートル=0.000001ミリ

 

ニコンミュージアム
レンズ設計の基本や最新レンズの実力をわかりやすく学べる「レンズの実験室」コーナー。子どもから大人まで楽しみながら体験できる。

 

ニコンミュージアム

所在地 東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟 2F
アクセス JR品川駅 港南口から徒歩約7分、京急品川駅から徒歩約10分
開館時間 10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日 日曜・祝日(ほか定休日あり)
入館料 無料
TEL 03-6433-3900

 

 

〈文〉金子嘉伸 〈撮影〉高原マサキ