シグマは、写真・映像用品展示会「フォトキナ2018」(2018年9月26日〜29日 ドイツ・ケルン)開催前日のプレスイベントで、新レンズ5本の開発を発表した。
映像制作用シネレンズ3本も含めた合計8本について、山木和人シグマ代表取締役社長が解説。
■クラス最小のAPS-C用中望遠レンズ「SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary」
F1.4 DC DNシリーズのクラス最小となる「56mm F1.4 DC DN | Contemporary」は、小型軽量かつ高画質を実現したAPS-C用中望遠レンズ。広角の「16mm F1.4 DC DN |Contemporary」、標準の「30mm F1.4 DC DN | Contemporary」に続く3本目のレンズとなる。高い光学性能とコンパクトネスを両立させるContemporaryラインのコンセプトに基づき、中望遠域でもF1.4の明るさとボケ味を楽しめるレンズとなっている。
長さが59.5mm、最大径66.5mm、重さ280gと非常にコンパクトなレンズであることが紹介された。マイクロフォーサーズ、ソニー Eマウント対応で、発売日や価格などは未定。
軽量コンパクトな「SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary」。
■映像用レンズのハイスペックを写真でも「SIGMA 40mm F1.4 DG HSM |Art」
続いて発表されたのが、Artライン単焦点レンズの2本。「40mm F1.4 DG HSM | Art」は、映像制作用の「SIGMA CINE LENS(シネレンズ)」として要求される画角と性能を前提として開発をスタートさせた初めてのレンズ。ハイエンドのシネレンズには、Artラインのコンセプトである「光学性能最優先」の設計が求められることから、映像制作用プロフェッショナル機材という新たな視点で開発されたものだ。シグマ、キヤノンEF、ニコンF、ソニーEマウント用がラインナップされる予定。
ArtラインシリーズのF1.4単焦点レンズ「35mm F1.4 DG HSM」「50mm F1.4 DG HSM」に比べて、「40mm F1.4 DG HSM」がもっとも大きいことが示された。40mmとは思えないほど大きなレンズだが、写真用レンズとしての性能は大いに期待できる。価格は未定だが、2018年11月の発売を目指していることが語られた。
■ファンの要望に応えた28mm広角単焦点「SIGMA 28mm F1.4 DG HSM | Art」
「28mm F1.4 DG HSM | Art」は、これまでのArt F1.4単焦点レンズのノウハウを基盤に、最新の設計と素材、加工技術を惜しみなく投入して開発されたレンズ。広角レンズを代表する画角をArtラインのクオリティで実現してほしいという要望に応えたものだ。シグマ、キヤノンEF、ニコンF、ソニーEマウント用の各マウントが用意され、海外での発売時期は2019年1月予定。日本国内での発売日、価格は未定。
高画質を目指したArtラインシリーズのレンズらしく、ズシリとした重量感のある「28mm F1.4 DG HSM | Art」。28mmで開放F値1.4の描写やボケは気になるところだ。
■手ブレ補正4段の高倍率ズーム「SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports」
「60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports」は、標準60mmから超望遠の600mmまで、10倍の高倍率ながら、19群25枚のレンズ構成により「150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Sports」とほぼ同等の高画質を実現する。また、最新のアルゴリズムを採用した手ブレ補正機構「Intelligent OS」を搭載し、4段分の手ブレ補正を達成した。高倍率・高画質・高機動性の新次元の高倍率ズームレンズだ。
軽量化や剛性を考えた素材が効果的に配置されているとともに、高い防塵・防滴性能を備えることが紹介された。シグマ用、キヤノンEF用は2018年10月12日(金)発売、ニコンF用は10月26日(金)発売。価格は250,000円(税別)。
組込式の三脚座を備えるほか、フォーカスや手ブレ補正の切り替えスイッチが鏡筒部に並んでいる。
「60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports」は、機動性を高めるために、直進ズームが可能になっている。また、ズーミングしやすいようにズーム先端部には指がかかりやすいカーブが設けられている。
■究極のオールラウンド望遠ズーム「SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」
「70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」は、報道、スポーツ、風景、ポートレートなどオールラウンドに使えるF2.8通しの望遠ズームレンズ。光学性能、堅牢性、機動力の面でプロの要求に応えるべく開発された究極の70-200mm F2.8と自信を滲ませた。シグマ用、キヤノンEF用、ニコンF用が登場予定で、価格は未定。
「70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」の登場により、F2.8通しのズームレンズが「14-24mm F2.8」「24-70mm F2.8」「120-300mm F2.8」「200-500mm F2.8」と合わせて5本が揃うことになる。山木社長は、超望遠レンズを買うにはたくさんお金を貯めなくてはいけないだろうというジョークで会場を和ませていた。
10枚の特殊低分散ガラス(FLDガラス9枚+SLDガラス1枚)を採用し、思った以上にコンパクトな印象の「70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports」。フラッグシップ大口径望遠ズームレンズと位置付けられている。
■映像用の新レンズ3本も出展
フォトキナに先立って、オランダ・アムステルダムで開催された「IBC 2018」(2018年9月14日〜18日)で発表された3本のシネレンズ「28mm T1.5 FF」「40mm T1.5 FF」「105mm T1.5 FF」も実際に手にすることができた。大型のイメージセンサー搭載のデジタルシネマカメラにも対応することから、今後のミラーレスカメラへの対応なども大いに期待される。
〈会場写真・文〉柴田 誠