富士フイルムは、写真・映像用品展示会「フォトキナ2018」(2018年9月26日〜29日 ドイツ・ケルン)の開催前日に行ったプレスカンファレンスで、新製品を数多く発表した。その中心となっていたのは、フルサイズを超える大判イメージセンサー(43.8x32.9mm)を搭載する中判ミラーレスカメラGFXシリーズの強化だ。もっとも注目されるのは、1億2百万画素の新開発「FUJIFILM Gフォーマット」イメージセンサーを搭載したフラッグシップモデルのコンセプト「GFX 100Megapixels Concept」の開発を公開したことだ。
カンファレンスの冒頭、富士フイルムホールディングス株式会社 代表取締役会長・CEOの古森重隆氏から、富士フイルムのカメラ開発に向けたコンセプト「NEVER STOP」をキーワードとした企業姿勢が語られた。
■フルサイズを超える「スーパーフルフレーム」
次に登場した富士フイルム株式会社 光学・電子映像事業部 事業部長の飯田年久氏は、「The world does not fit into the 35mm format(世界は35mmフォーマットに収まりきれない)」と、ユージン・スミスの言葉「The world just does not fit conveniently into the format of a 35mm camera」を借りて、昨今のフルサイズミラーレス寄りの風潮に釘を刺した。
富士フイルムの中判ミラーレスカメラ「GFXシリーズ」が採用するGマウントは、35mmフルサイズイメージセンサーの約1.7倍となる43.8x32.9mmの大型イメージセンサーを搭載する。これを、フルサイズを超える「スーパーフルフレーム」と称して、その優位性を強調した。
■レンジファインダースタイルの中判ミラーレスカメラ「FUJIFILM GFX 50R」
はじめに新製品として紹介したのは、レンジファインダースタイルの「FUJIFILM GFX 50R」だ。
「FUJIFILM GFX 50R」は、FUJIFILM Gフォーマットの5140万画素イメージセンサー、高速画像処理エンジン「X-Processor Pro」を搭載する。発売は2018年11月予定。
重さ約775g(バッテリー、メモリーカードを含む)の小型軽量ボディとシンプルな操作性が特徴で、軽快な撮影が可能。スナップやドキュメンタリー、ポートレートなどの撮影に適したカメラだ。レンズを外すと、コンパクトなボディに加えて、Gマウントの径の大きさとイメージセンサーの大きさがわかる。
■1億2百万画素!フラッグシップ中判ミラーレス「GFX 100Megapixels Concept」
もう一つ、大きな発表があった。登場したのは、GFXシリーズで現在開発を進めているフラッグシップのコンセプトモデル「GFX 100Megapixels Concept」だ。
「GFX 100Megapixels Concept」は、世界最高を誇る1億2百万画素の「FUJIFILM Gフォーマット」イメージセンサーを搭載。また高速画像処理エンジン「X-Processor 4」、超高解像を可能にする「フジノンGFレンズ」により、80年以上にわたって蓄積された独自の色再現技術との組み合わせで、緻密な描写と高い写真画質を生み出す。
センサー全面に位相差画素を配置し、高速・高精度なAFを実現するほか、ボディ内手ブレ補正機構の搭載や4K動画撮影に対応するなど、中判ミラーレスカメラとしては世界で初めての機能が盛り込まれている。2019年に10,000USドルでの登場を予告した。
富士フイルムの中判ミラーレスカメラ「GFXシリーズ」は、発売中の「GFX 50S」に加えて「FUJIFILM GFX 50R」と「GFX 100Megapixels Concept」がラインナップされることで、一気に充実することとなる。
■2020年までにGFX用レンズ3本を開発
GFX用のレンズロードマップとして、標準単焦点レンズ 「GF50mmF3.5 R LM WR」が2019年に登場することも発表された。パンケーキレンズとも呼べる薄型の「GF50mmF3.5 R LM WR」を「FUJIFILM GFX 50R」に装着することで、中判ミラーレスカメラで最軽量のセットアップが可能になる。また望遠ズームレンズ 「GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR」を2019年に、中望遠ズームレンズ「GF45-100mmF4 R LM OIS WR」を2020年に登場させるべく開発していることも示された。
■フェーズワンのRAW現像ソフトに対応
もう一つのニュースとして、富士フイルムのカメラがPhase One(フェーズワン)のRAW現像ソフト「Capture One Pro」シリーズに対応することも発表された。RAW現像はもちろん、テザー撮影にも対応し、フィルムシミュレーションを適用させる機能を備える。プロの撮影現場では、富士フイルムのカメラが活躍する場面が増えそうだ。
すでにフェーズワンのサイトからダウンロードできるようになっているが、テザー撮影まで対応するソフトは「Capture One Pro」「Capture One Pro FUJIFUILM」の2つ。「GFX 50S」「GFX 50R」「X-H1」「X-T1/T2/T3」「X-Pro2」が対応する。
また、RAW現像だけで充分という場合には、上記の2本のソフトに加え、無料でダウンロードできる「Capture One Express FUJIFUILM」がある。こちらはGFXシリーズ、Xシリーズの全機種に対応する。フィルムシミュレーションについては、現時点ではどのソフトウェアでも利用することができないが、後日ファームアップで対応する予定になっている。
富士フイルムのプレスカンファレンスでは、ノートやボールペンのおみやげも配られた。リリースや画像のプレスキットは、カメラ型のUSBメモリーに収められている。
〈会場写真・文〉柴田 誠