ニュース

森の深さと闇の存在に惹き付けられる 辰野清写真集『余韻』

辰野清さんが写真集『余韻』を上梓した。

 

辰野清写真集『余韻』

 

モノトーンの深い陰影の中に、微かに色彩が加えられている。冬の凛とした光景に、木々が細い枝を重なり合わせている。森の深さと闇の存在に目を惹き付けられて見飽きない。大木ではなく、細い枝を幾重にも伸ばした樹木の生命力に静かに圧倒される。辰野清さんは「自然の本質のみを簡素な組み合わせで構成し、それを内面性に繋げる」と記す。観る者を圧倒する絶景もいいが、すべてを語り尽くさず“余韻”を響かせる表現もこれから増えていきそうな気がする。

 

■辰野 清『余韻』

210×270mm・64ページ
本体 2,000円(税別)
2018年9月13日発売
風景写真出版
 

 
〈文〉市井康延