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ファンの声が届いた! 富士フイルムの黒白フィルムが劇的復活

富士フイルム株式会社は、黒白フィルム「ネオパン100 ACROS(アクロス)II」を新たに開発し、35mmサイズとブローニーサイズの2種類を2019年秋に発売すると発表した。

<2019.11.17> 発売日が2019年11月22日に決定。

ネオパン100 ACROS(アクロス)II

 

富士フイルムは、需要の減少と原材料の入手が困難になったとの理由から、富士フイルム製最後の黒白フィルムとして販売されていた「ネオパン100 ACROS」の販売を2018年10月に終了。これをもって、富士フイルム製黒白フィルムは全て市場から姿が消えてしまっていた。

 

ネオパン100 ACROS
▲2018年10月に販売終了した「ネオパン100 ACROS」。

 

しかし、フィルム愛好家などから黒白フィルムの販売継続を望む声が多く寄せられ、それを受けてあらゆる角度から販売再開に向けた検討を進めてきたとのこと。フィルム独特の風合いを好むSNS世代の若年層からの声も後押しとなった。

入手困難になった原材料については、代替品を研究。さらに、新たな原材料に合わせた製造プロセスの抜本的な見直しを行なったことで、世界最高水準の粒状性と立体的な階調再現で超高画質を実現する「ネオパン100 ACROS II」の開発に成功した。

 

「ネオパン100 ACROS II」は、「ネオパン100 ACROS」に比べ、ハイライト部の階調をメリハリのある設計とし、立体的な階調再現が可能。世界最高水準のシャープネスにより、被写体の輪郭を強調した描写ができる。富士フイルム独自の「Super Fine-Σ粒子技術」を採用することにより、感度ISO100の黒白フィルムとして世界最高水準の粒状性を実現。風景や山岳写真、ポートレート、製品写真、建築写真、長露光撮影の天体・夜景写真など、幅広い分野の撮影に適している。感度は「ネオパン100 ACROS」と同じISO100だ。

※写真フィルムに含まれるハロゲン化銀粒子のサイズと、その組成を精密にコントロールすることで、感度と優れた粒状性を両立させ、プリントの高画質化に寄与する技術。

 

時代の流れで消えかけてしまった黒白フィルムが、さらなる時代の流れでSNSを駆使する若年層からも支持されて復活するという劇的な展開に。まだしばらくは、モノクロ銀塩写真という「伝統技術」は、受け継がれていくことになりそうだ。

 

 
〈文〉佐藤陽子