キヤノンは、APS-Cサイズのセンサーを搭載した一眼レフカメラ「EOS 80D」の後継モデル「EOS 90D」を2019年9月中旬に発売する。価格はオープンで、キヤノンオンラインショップ直販価格はボディ150,000円、EF-S18-135 IS USM レンズキットが197,500円(いずれも税別)。
<2019.9.15> 発売日が2019年9月20日(金)に決定。
<2019.9.11> 台風15号の影響により発売延期。
「EOS 90D」は、「EOS 80D」のデザインやサイズを維持しながら、本格一眼レフカメラとしての性能を着実に進化させたモデル。上位機種に匹敵する機能、性能を搭載したAPS-C一眼レフの完成形というコンセプトで開発されている。
■高速性能
ファインダー撮影時に最高約10コマ/秒、ライブビュー撮影ではAF固定で最高約11コマ/秒の高速連続撮影を実現する。これはAPS-C一眼レフの上位モデル「EOS 7D Mark II」(ファインダー撮影時・ライブビュー撮影時とも最高約10コマ/秒)と同等の高速連写性能となっており、スポーツや乗り物、動物などの撮影でシャッターチャンスを逃すことは少なくなりそうだ。
最高1/8000秒のメカシャッター(ファインダー撮影時)と、最高1/16000秒の電子シャッター(ライブビュー撮影時)を搭載。絞り・ISO感度の設定の幅が広がり、明るい場所でも絞りを開けて撮影できたり、ブレを防ぐことができるなどのメリットがある。
■高画質
有効約3250万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載する。画素数はキヤノンのAPS-Cデジタル一眼レフカメラにおいて最高となり、ハイエンド機に迫る高い解像感が得られる。映像エンジンは最新のDIGIC 8を搭載。常用ISO感度はISO 100〜25600で、拡張でISO 51200相当を実現する。「EOS 80D」や「EOS 7D Mark II」の常用ISO感度はISO 100〜16000だから、高感度に強くなっているのがわかるだろう。暗所での手持ち撮影を可能にするだけでなく、ノイズを抑えた撮影ができるので、撮影の幅が広がりそうだ。
■AF性能
「EOS 80D」と同じ45点オールクロスAFセンサーを搭載する。全測距点でF5.6対応のクロス測距(縦/横)となっており、最大27点でF8に対応する。さらに、約22万画素の新AE(測光)センサーとDIGIC 8により、顔検出と測距点を移動しながら顔を追尾するEOS iTR AF(顔優先)を実現。顔に合わせてピントと適正露出が得られるようになった。
ファインダー撮影時には「1点AF」「ゾーンAF」「ラージゾーンAF」「自動選択AF」に加えて「スポット1点AF」を新たに搭載。1点AFよりもさらに小さいフレームでフォーカスが可能になっている。スポット1点AFはライブビュー撮影時にも使用可能だ。
■デュアルピクセルCMOS AF
ライブビュー撮影時には、デュアルピクセルCMOS AFによる高速AFが威力を発揮する。対応レンズ装着時には、横約88%×縦約100%のエリアでAFが可能で、自動選択時AFエリアは最大143分割となっている(一部のレンズでは横約80%×縦約80%・最大99分割)。AFフレーム選択可能ポジションは最大5481ポジション(AFエリア任意選択時)、「顔+追尾優先AF」時の自動選択時AFエリア分割数は最大143分割で、AFフレームが被写体を追尾してくれる。
また、ライブビュー撮影時には、サーボAF/動画サーボAFでの瞳AFの設定が可能になった。これにより、検出した顔の瞳を自動でフォーカスし続けることができる。
低輝度限界はEV−5で、測距輝度範囲はEV−5〜18を実現。暗いシーンでの撮影でもAF撮影が可能なのはありがたい。
■流し撮りアシスト
ファインダー撮影時でも活用できる「流し撮りアシスト」機能をEOSで初搭載。流し効果を3段階から選ぶだけで、シャッター速度をカメラが自動設定してくれる。「EF24-105mm F4L IS II USM」をはじめとする対応レンズ装着時には、被写体の速度とパン二ングの速度のズレをカメラが自動補正して、被写体ブレを抑制してくれる嬉しい機能も搭載されている。
■操作性
上位機種に搭載されている独立型のマルチコントローラーと従来のダイヤル式マルチコントローラーの2つを搭載する。独立型のマルチコントローラーを測距点の選択に割り当てることで、素早くAFフレームを選択することができるなど、操作性が向上。また従来型のマルチコントローラーは、バッテリーグリップ装着時に縦位置でも指が届きやすいといったメリットがある。いずれにしてもファインダーを覗きながら、親指で直感的な操作が可能で、これまで以上に操作性に配慮された設計となっている。
シャッターボタンへのこだわりも「EOS 90D」の大きな特徴で、上位機種に搭載されているシャッターボタン機構を採用。半押しと全押しで圧力が変化し、中間のポジションで待機してレリーズを繰り返すことが可能になるなど、高品位な操作感を実現。力を込めて押し続けなくても同じポジションをキープする感覚で連続撮影ができるため、連続撮影時にも疲れにくいといった配慮が施されている。
■4K動画
4K動画は、4K 30p/ 25pの撮影が可能。クロップする/しないの選択が可能となっており、レンズの画角を生かした映像を撮影することもできる。フルHDによる120p/100pのハイフレームレート動画も撮影できるので、スロー再生で表現したい場合など、必要に応じて使い分けることもできる。ただし、4K動画撮影時にはデュアルピクセルCMOS AFによるAF撮影が可能だが、フルHDハイフレームレート撮影時はAF固定となるので注意が必要だ。
■Wi-Fi/Bluetoothに対応
スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスへ、撮影と同時に画像や動画を自動送信する「撮影時画像自動送信」機能を搭載。4K動画はそのまま転送することも可能だが、フルHDに変換しながら転送することで、SNSへのアップロードやスマートデバイスでの再生などもストレスなく楽しむことができる。
EOS 90D・EF-S18-135 IS USM レンズキット
オープン価格(直販価格:税別 197,500円)
高倍率ズームレンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」が付属する。
EOS 90D 主な仕様
有効画素数 約3250万画素
撮像素子 CMOSセンサー(APS-Cサイズ)
マウント キヤノンEFマウント
ISO感度 ISO 100〜25600(拡張ISO 51200相当)
シャッター速度 1/8000〜30秒
ファインダー ペンタプリズム使用アイレベル式 光学ファインダー [視野率]上下左右 約100%(アイポイント約22mm アスペクト比3:2設定時) [倍率]約0.95倍
画像モニター ワイド3.0型 約104万ドット TFTカラー液晶モニター(バリアングル)
記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリカード(UHS-I/II対応)
サイズ(幅×高さ×奥行き) 約140.7×104.8×76.8mm
質量 約619g(本体のみ)/ 約701g(バッテリー、メモリーカードを含む)
付属品 バッテリーパック LP-E6N、バッテリーチャージャー LC-E6、ワイドストラップEW-EOS90D ほか
〈文〉柴田 誠